XTalent、2024年の振り返り

XTalent代表の上原です。27日で仕事を納め、つれづれとこの1年を振り返ってみました。

5周年を迎えた感じたこと

2024年、withworkは5周年を迎えまして、今年は新たな取り組みにも挑戦しました。

11月23日の勤労感謝の日に、withwork経由で転職した方々をお招きして、感謝を伝えるをコンセプトに「withwork5周年感謝祭」を開催しました。祝日だったので、お子様連れだったり、ご夫婦で来ていただいたりと、すごく盛り上がる場となりました。

事前に30組以上のお申し込みがあり、確保していた会場に入りきらなくなって、お申し込みを早めに停止するという事態にも…。

当日はワーキングペアレンツあるあるですが、お子様が熱を出して急遽行けなくなったという方もいらっしゃいましたが、会場は満杯になりました。

サービスが始まって間もない頃にご登録いただき、転職された方が参加してくださって、いまも同じ会社で働かれたりもしているというのは、個人的にも非常に嬉しかったです。

withworkにとっても2024年は節目の1年となり、感謝祭を通じて、5年間の事業の積み重ねを実感することができました。

詳しくはこちら、当日の写真もたくさん掲載しています。

男性育休取得が当たり前になり質が問われ始めた今年

事業規模もありがたいことに拡大してきており、累計2万人以上の方にご登録いただいています。昨年に引き続き、男性の登録比率は増えています。ただ、社外でサービスについて話す機会があると、未だに「女性が登録するサービスなんですか?」と聞かれることが多い。そこで、「男性も結構登録していただいていますよ」と言ったら、結構皆さん驚かれるんです。

この事業領域に取り組んでいる身として、ずっと感じていることではあるのですが、やはり当事者のニーズと、社会からの見られ方にギャップがまだまだ存在するということです。

ただ、この1年を振り返ると、 男性の働き方の変化や男性が育休を取得したり、それを機に転職を考えるということが、メディアでも取り上げられることが多々ありました。2024年7月31日、厚生労働省は男性育休の取得率が30%超えと過去最高を記録したと発表しましたし、企業側も男性の育休取得率を公表したり、取得率の目標を掲げたりと積極的な動きがみられました。「男性の生き方」を見直す社会的な認知やムーブメントが着目されるようになった1年間だったとも感じています。

しかし、「男性育休取得率」といった数字だけを追うだけで形骸化してしまうことも懸念としてあげられます。withworkが今年公開した「男性育休の実態調査(期間、過ごし方、取得後の変化等)〜とるだけ育休を防ぐには〜」では、育休取得後に仕事面で「ネガティブな変化があった」と答えた男性当事者も8割に上り、「予期しない配置換え」や「ボーナスの減少」などがその理由としてあげられました。

取ることが当たり前になってきた一方で、取得したという事実だけでなく、取得日数や復職後のケアの有無に目を向けて行かなければなりません。実際に、取得率は上がったものの、退職者が多いという企業の声を聞くこともありました。それは、制度の問題というより、辞めたくなる職場環境・風土が課題だと思います。


男性育休の取得率公表については、また法令が変わり、 今までは大企業中心だったところから、開示が必要な従業員規模の範囲も広がってきてるので、 企業にとってはもう本当に避けて通れない、向き合っていかないといけない大きなテーマになってきてるのかなと感じています。


ジェンダーギャップは“女性”の問題だけではない

男性のキャリアとライフに注目が集まっていると感じた1つの例が、今年の「国際男性デー」でした。国際女性デーは数年前から着目されていて、様々な企業や団体が発信・企画をしています。しかし、11月19日の「国際男性デー」は2023年までは毎年「無風」で終わっているという感覚でした。2024年、各新聞社が取り上げるようなったことはすごく大きな変化だったと思います。


この流れは、女性活躍やジェンダーギャップ周辺の課題というのは、女性だけではなく、男性の生きづらさや働き方の変化、ひいては社会を構成する全ての人、そして社会のあり方そのものが問われているということを象徴しているように思います。


いま、男性が仕事と家事育児を両立する大変さに向き合う中で、それはもう何年も前に女性が味わってきたものであり、あえて「男性も大変」と取り沙汰されるということは、女性からの「何を今更」という見方も1つあったかもしれません。そう感じるのも確かにわかります。


ですが、本当にこの問題を解決していくには、対立構造にしないことが大事だと思っています。男性が家事育児に参画してくれない限り、女性の悩みは解消されません。「どっちが大変か」という対決ではないですよね。


大変さの質やその中身も性別によって違うというのも、調査やユーザー様との会話を通じて感じています。「男は仕事」といった代表的なジェンダーバイアスに沿った期待役割を社会から求められている男性が未だに多い中で、家事育児と両立をする大変さは、女性が感じているものと物理的にも精神的にも違うものがあるんじゃないかっていう見方は、研究としても取り扱う人も出てきています。それぞれが感じている「大変さ」をお互いに理解しながら、変化して、お互いがより良い環境になっていくということができるようになるといいなと心から思います。


各所で話題になった「子持ち様」

先述の男性の生きづらさも含め、今年は「分断」を大きなテーマに、象徴的な事象がいくつかあったなと感じます。2024年前半に話題になったのが、「子持ち様」というキーワードです。withwork、XTalentでもこのキーワードに関連して、たくさんのメディアに取材していただきました。

▼掲載メディア
https://www.huffingtonpost.jp/entry/komochisama_jp_6609f770e4b0c4621eb7702b
https://project.nikkeibp.co.jp/HumanCapital/atcl/column/00077/052800014/
https://career.nikkei.com/nikkei-pickup/003082/
https://diamond.jp/articles/-/343450
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102749/childcare

後日談としてnoteも書きました。

ちょうど次女の入学式の前日に、ハフポスト日本版に取材いただいた記事がYahoo!ニュースのトップになって、同じ保育園から入学式に行った人たちに「上原さん、見ましたよ」と言われるほど、たくさんの方の目に触れた言葉だったのではないかと振り返って思っています。(身バレしました)


SNSではかなり話題になっていた「子持ち様」実際の職場で対立構造として存在するのかといった話もポッドキャストで話したりもしました。

子どもがいる人も、そうではないに人も、お互いに自分が置かれてる状況を大変だと主張し合うことによって、分断だけが生まれて、それをどうやって解決するのかというところまでは、 必ずしも議論が進んでいかないというシーンも見受けられました。そういう事象だけを見ると、 誰かだけが生きづらいのではなく、全員が生きづらい世の中になっていってしまうのではないでしょうか。全員生きづらいから、子どもを持ちたくないという流れができてしまっている。まさに、少子化問題についても、こういった「分断」がその温床になっていくような感覚を持っています。


スポットワークの興隆が象徴する「人材不足」

もう1つ、2024年に社会的に大きな課題として耳にすることが多かったのが「人材不足」です。

労働人口がどんどん減っていき、人手不足はどんどん加速。スポットワークのプラットフォームが上場を果たしたように、新しい働き方が 一気に普及してきたというのが今年のトレンドとして挙げられますし、今後も拡大していくのではないでしょうか。

そして、少子化問題。直近の出生率が発表されるたびに、「こんなに少ないんだ…」と強い危機感も感じるぐらいになっています。


人手不足については、業種・業界による偏りもあると思います。パーソル総合研究所が発表した「労働市場の未来推計 2035」では、労働力の需要と供給の変化について興味深いデータが提供されています。


労働市場の未来推計2035
労働市場の未来推計2035

業種や産業別で、需要がどんどん増えているところ、逆に需要があんまり増えてないところが分かれています。たとえば介護・福祉関連の職種や産業については、2024年時点でも高齢化を背景に需要が増えているのは、皆さんも肌で感じているところかと思います。

実際、withworkでも、介護や保育、教育現場のお仕事から「キャリアチェンジしたい」というご登録者をお見かけすることも一定あります。長時間労働、土日祝出勤、低賃金など、仕事と家事育児の両立という文脈で、とても悩みやすいのではないでしょうか。


また、相対的に女性が多い職場だと、出産をきっかけに辞めてしまうケースがまだまだ多く、リモートワークが叶わない仕事だったりします。もはやインフラ、エッセンシャルワークを担う職場で人材が不足しているというのは、余計に子育てがしづらくなり、他の仕事も成立しなくなったり、それこそ少子化を加速してしまったりと、構造的な難しさをはらんでいると思います。


2025年、生成AIが労働市場にダイレクトに影響を与えるか

今年は生成AIの進化も話題になりましたが、先述のパーソル総合研究所の調査データによると、今後(2024年以降)、生成AIを活用し続けた場合、2035年時点では、1日あたり398~2,450万時間分の省力化につながる可能性があると言及されています。

生成AIの進化が、労働力不足に与える影響はもちろんですが、淘汰される職業に就いている人材が余ってしまうということだけではなく、 働き方、あるいは仕事への向き合い方とか、その辺りもAIがもっと活用されるようになると変わってくるのではないでしょうか。


2024年12月初旬、Open AIは最上位モデルとしてChatGPTの月額3万円のプランを発表しました。更に次は新推論モデル「o3」の登場も発表されました。極めて高度な指示にも応えられるとしたら、人を1人雇うよりも、 このプランを契約した方が生産性が上がるっていう論理なんだとしたら、それこそ大きな変化を起こすことになると思います。


それぞれの企業、それぞれの業務で最適化が必要となってくるとなると、ChatGPTの導入だけではなく、高度なレベルで駆使できるコンサルタントのような市場も大きくなってくるのではないでしょうか。

生成AIをフックに、特定の産業や業務のプロセスを大きく変革していったり、ビジネスチャンスを探しに行こうという人たちがたくさん出現しています。ある意味、ゴールドラッシュのような現象ですね。

ソフトウェアだけではなく窓口業務にAI音声会話が活用されるなど、リアルなシーンにAIはどんどん取り入れられていくことになります。


もちろん新しいものを生み出すとか、感情の機微など複雑なものを生み出すところは、メインは人間が担っていくと思いますが、生成AIが日常生活、職場に浸透していくという変化は2025年の予測として言及しておきたいと思います。


人材不足のパートでも書きましたが、人が減っているというのは、ある意味、「この先、どうやっていくのか」を考える機会に1番恵まれているのだと思います。ですので、AIやロボットでは完全に置換できない、まさにエッセンシャルワークの部分、おもてなしといった日本ならではのサービスの部分といった、人間の手を介した方がより価値が高いようなものっていうものは、 日本が付加価値を高めていけるものなのかもしれないと思います。

2025年は、昭和が始まって100年

昭和が64年で終わり、平成が31年まであって、令和7年は昭和が始まって100年になります。様々な側面において、まだ“昭和”の延長線上を私たちは生きているのか、それとも、“令和”な社会になっているのかというのが議論される1年になるんじゃないかと思っています。


男性の働き方と育児参加における社会課題や、地方と呼ばれるエリアの企業や観光地のデジタル化が進んでいないという光景は、昭和からそこまで変わっていないのではないでしょうか。


なので、日本がちゃんと昭和100年の次に行けているのかというのは、2025年、議論されるべきだなと思っています。

私たちwithworkが扱う、ワーキングペアレンツのキャリアとライフだったり、リーダーやマネジメント層における女性比率といったテーマは、その変化の最中にあると思うので、“令和”に進める1年にしたいなと思います。

そのために、withworkとしても、XTalentとしても、様々な変化を生み出していきたいです。
noteの更新は今日で最後になると思います。また2025年もよろしくお願いします。


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