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企業経営において、女性役員、女性社外取締役が必要な2つの理由

ワーキングペアレンツの転職サービスwithworkを運営する、XTalentの上原です。

先日、第二弾のサービスとして、withwork executiveをリリースしました。

さっそく候補者、企業の方から多くお問い合わせを頂き、沢山打ち合わせをさせて頂いております。リアルな経営者のニーズとして「自分と同じ目線で経営・事業をドライブさせられる、かつ30~40代の女性候補者をちょうど探している」とお声をいただき、まさに!と感じている最中です。

また、

「そもそも、企業が女性役員、女性社外取締役を入れるべき理由は?」

についてまとめてみます。

理由1:偏りのないスキルマトリックスが、経営力を高め、企業成長を加速させる

端的には、企業の業績を最大化するためです。

以下に記事を紹介しますが、取締役の「スキルマトリクス」を公開する企業が国内でも徐々に増えています。海外の例だと、以下はウォルマートが公開しているスキルマトリックスです。グローバル、テクノロジー、マーケティングなどが挙げられ、「ダイバーシティ」という言葉もありません。まだ「とりあえず女性を入れたい」という風潮は日本ではあるかもしれませんが、その先に進んでいる印象です。(2017年のものですが、Yahoo!元CEOのマリッサ・メイヤーの名前もありますね)

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取締役会を刷新する-米国の動向を参考として(ニッセイ基礎研究所)

そして国内上場企業でも、このマトリックスを公開している企業が増えています。ここでは資生堂の事例を紹介します。

上場企業が取締役の専門性やスキルをマトリクス図で紹介する動きが広がっている。企業統治(コーポレートガバナンス)の強化を目指し、女性や外国人などダイバーシティ(多様性)への配慮や全体としてバランスのとれた運営が求められているからだ。

専門性を開示するのは女性活用をアピールするためではない。女性取締役がいる企業ではジェンダー平等の実現や年齢、国籍など様々なダイバーシティを考慮する実務が定着している。「女性であるという理由だけで登用していない」(資生堂)。取締役のスキルや経験、視点のバランスも考え、あくまで本人の人格や識見を見込んでの選任であることを示している。

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株式会社 資生堂 第120回 定時株主総会 招集通知より

ただ単に「ダイバーシティの観点から女性を入れたい」ではなく、その先にある多様性から生まれる価値に、企業としては着目していく必要があるのです。

ここで、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』などの著書でも有名な入山教授の記事をご紹介します。

日本企業がダイバーシティ経営で気をつけるべきこと(入山 章栄/早稲田大学商学学術院准教授)

経営学では、ダイバーシティには大きく二種類があることがわかっています。それは「タスク型のダイバーシティ」と「デモグラフィー型のダイバーシティ」です。

 前者は、その人の能力・経験・知識など、目に見えない部分が組織で多様化されることです。それに対して、デモグラフィー型のダイバーシティは、性別・国籍・年齢のような、目に見えやすい部分を多様化するダイバーシティです。

ここで言及されている、タスク型ダイバーシティは、明確にイノベーションへの好影響があると言われています

「イノベーションとは新結合である」とイノベーションの概念を提唱したシュペンターは述べているように、多様な知見、経験の組み合わせこそが新しいアイデアに繋がるとされています。

一方で、デモグラフィー型のダイバーシティは組織への悪影響があると、社会心理学の研究によるデータがあります。「上層部が女性管理職を増やすために無理やり女性を昇進させ、社内が混乱して・・」といったエピソードは確かに何度も聞いたことがあるのではないでしょうか。入山教授も以下のように締めくくっています。

こう考えると、日本企業には、安直なダイバーシティ賞賛論からは一歩引いて、冷静にその意味を考え直すことが必要といえます。グーグルですら、苦労しているのです。組織に必要なのはあくまでタスク型のダイバーシティであり、あとは女性や外国人を登用したら、どうやってデモグラフィー型の効果を取り除いていくかを、徹底して考える必要があるのです。

ただやみくもに「女性を入れよう」ではなく、多様性×経営上必要な専門性の観点からボードメンバーを再考する必要性があるのではないでしょうか。

また、最近ジェンダーに関連して企業広告の炎上が非常に多いですが、これもタスク型ダイバーシティの欠如によるものと言えます。イノベーションという攻めの観点だけでなく、SNS時代においてはリスクマネジメントの観点からも欠かせないものになってきています。

理由2:機関投資家からの7割が女性活躍情報を重視している現実

これは、理由1で言及したことの結果として、機関投資家がそのような観点を持っている、ということでしょう。

内閣府が出した『ESG投資における女性活躍情報の活用状況に関する調査研究』のレポートが非常によくまとまっています。

同アンケート調査では、7割近くの機関投資家が、投資判断や業務において女性活躍情報を活用する理由として、「企業の業績に長期的には影響がある情報と考えるため」と回答しました。

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内閣府のレポートより

非財務情報としてこうした実態を機関投資家が重要ししており、企業価値に明確に影響を与えています。米ゴールドマン・サックスが女性が取締役にいない企業のIPO支援を引き受けない旨のコメントをしたニュースは非常に話題になりました。


また、役員の女性比率が上がれば社内の女性管理職が増える、とは必ずしもならないでしょう。実際、海外ではクオータ制(役員における男女比率の割り当て制)を取り入れても、それが女性の待遇向上につながったというデータは得られていないようです。

とはいえ、執行役員クラスを見ると女性比率は上がっている企業も増えてきています。(前述の資生堂も執行役員は15人中3人が女性です)中から人材を育成していくボトムアップの動きとセットで、社外からボードメンバーの比率を変えていく、という両軸がやはり必要です。


ちなみに、上述のクオータ制については国内でも議論にあがっており、いよいよ導入に向かうのでは、という見方もあります。

―― 社会のあらゆる分野で、2020年までに指導的位置に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標「202030」を、政府は達成できずじまいで断念しました。これについて政府の責任は?

野田 企業こそ法律を作ってあげたほうが、経営者はやりやすいと思います。

 だから法律を作って、企業にクオータ制を導入してもらえばいい。男性経営者に「国の命令だから、女性を入れなきゃいけないんだ」という大義名分を与えて実行してもらうわけです。ドイツの場合は、政治にクオータ制を導入せず、企業で導入したことで経済が好転しました。


終わりに:DXとD&Iの根底の課題は同じ?人材の若返りによって新しい価値を

withwork executiveに登録頂いている方のほとんどは、30~40代でまさに最前線で活躍しています。そうした方々の活躍機会を増やしていくことで、これから企業の中核を担う人材の若返りにも繋がると信じています。

経営共創基盤・富山さんの著書にあったこの内容がまさにだなと。

ここまで書いておいてですが、「女性の社外取締役を企業に紹介する」という事業だけで実現できるものはまだまだちっぽけなものです。ただ、そこからできることを考え続け、企業成長や多くの人材への機会創出に繋げられるような事業へ育てていく覚悟です。

XTalentのミッションは、「フェアな労働市場をつくる」ことです。最初はママの転職支援から始まり、そして労働市場にある深いジェンダーの溝を痛感しました。この溝を埋め、その人のバックグラウンドや属性によらずフェアに活躍できるような社会を目指し、このミッションを定めました。

そしてその実現のため、意思決定層の多様性を高める。その想いからこのサービスを始めるに至っています。


ぜひ、興味を持って頂いた企業の方はお問い合わせ下さい。

社外取締役のポジションに興味がある、という方はこちらからどうぞ。




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