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感謝できるまで待とうね

感謝をすることで自分も周囲も幸せになれる。
感謝できることは幸せ。

誰もが知っていることですね。

けれど、感謝できない心理状態のときもあります。

なんでこんなに理不尽な出来事が襲ってくるんだろう。
からだも心もボロボロになってしまった。
なんでこんなに生きづらいんだろう。

そんなときには、心の底から感謝する力が失われています。
感謝する力が心に満ちるまでの時間が必要です。

何年も前の話ですが、私の妻は長らくうつ病でした。

「どうしてこんなことになってしまったんだろう?」
と、妻は思いました。

「夫として、自分はどうすればいいんだろう?」
と、私は悩みました。

妻は仕事を辞め、私は脱サラしました。

謎を解きたいと、2人でメンタルヘルスを学びに、毎回一泊して、かなり遠方の教室に通いました。


数ヶ月がたったとき、その教室で一緒になった方が、私に言ったひと言を覚えています。

うつ病になるのは、感謝が足りないからです

その言葉を聞いたとき、一瞬耳を疑いました。

その教室に通う受講生の多くは、自身が心の病気を病んだという人が大半でした。
授業中のワークで、チームにわかれてのディスカッションのとき、その人は、もしかしたらいろんな方に同じ言葉を口にしてきたのかもしれません。

その根拠のない言葉に、それこそ感謝などできませんでした。


その教室には、
親からDVを受けてきた人
パートナーを自殺でうしなった人
いろんな経験から心の病気を経験した人が通っていました。

そんな方の耳に入れたくない言葉でした。

そのときの私は、心の苦しさから死まで考えた妻の顔を思いだし、おそらく表情が変わっていたのだと思います。
2人の長い苦しみの時間を、あっさりと否定されたように感じたのです。

その人は、それきり話をつづけることをやめました。

誰もが「感謝」のたいせつさを知っています。
教室に通う人たちも、おそらくは、今までたくさんの感謝を感じて、表してきた人たちばかりだと思います。

しかし、長い人生では、思わぬ出来事にでくわすこともあります。

心無い言葉を投げかけられたり
気持ちがすれ違ったり
愛する人と別れたり
大切な人を亡くしたり

自分の感情なのに、自分の思いどおりにならなくて、苦しむこともあります。

感謝できない時期、感謝さえもがつらく思える時期をすごし、ようやく通りぬけて、以前よりもっと深い感謝に満たされる経験をするのだと思います。

あの発言を私にした人は、あれからメンタルヘルスの本質を学んだんだろうか。
本当に深い感謝の思いを感じ、人の心の痛みを知ることができたんだろうか。

私とて、どれだけ本質に近づくことができたのかは、はなはだ疑わしいものです。
あの人の言葉のおかげで、私はより強く心理学の学びに惹かれたのかもしれません。

あのときには気づかなかったけど、
もしかしたらあの人自身がつらい思いをしていた時期で、自分に向かって言っていた言葉なのかもしれない、
そう思いました。


感謝できないということは、
今の自分は感謝する心の力がないほど弱っている
ということ。

焦る気持ちをなだめながら、ゆっくりじっくり過ごして、感謝できるまで待とうね。

それから長い時間がかかりましたが、ようやく妻は笑顔でたくさんの感謝ができるようになりました。

もしサポートしていただけたら、さらなる精進のためのエネルギーとさせていただきたいと思います!!