意思決定のストレス
ヌーラボのTATSURUです。
本日は「真夏のブログリレー」という事でマネジメント関係の事をまた書こうかなと考えていたのですが、Classmethod Odyssey関係で一気にネタを放出してしまいましたので、ネタ切れ感のある中、ひねり出していきたいと思います。
この暑い中、皆さんストレスを溜めてしまっていませんか?
本日のテーマは「意思決定のストレス」です。
意思決定にはストレスがかかる
マネジメントに限定しない話かもしれませんが、意思決定はあらゆる場面で最も重要なタスクです。
何かを決めるという事は、事の大小に限らず、ストレスの伴うものだと私は考えています。
それが経営上の重要な事項であろうと、プロジェクトを左右する意思決定だろうと、タスクの優先度を決めるという事であっても相応のストレスがかかっている事に気づいて頂きたいのです。
例えば、家族旅行の計画を立てる、今日の献立をどうするか、家事分担をどうするか、こういった身の回りの事であっても、意思決定には少なからずストレスがかかるのです。
何がストレスなのか
意思決定には、決定した人に必然的に責任が発生します。そのため意思決定者は判断を間違わないように良く考えて意思決定をする必要がありますよね。
性格にもよりますが、ストレスのかかり方はその決定によって受ける影響の大きさにも比例するとは思いますが、重要なのはたとえどんなに小さな意思決定であったとしてもストレスは蓄積されるという事です。
そんなささいな事で、と思う人も居るかもしれませんが、チリも積もればというやつです。本人も気づかないレベルでストレスは蓄積されますので、細かい意思決定を数多く行っている人は身体を壊さないか心配です。
投資をやっている人で、先日の大暴落に一喜一憂している人も居ると思いますが、買うタイミング・売るタイミングを考えるとストレスですよね。個人的には長期投資を念頭に下がったら買う、上がっても売らない、老後資金として持っておく事をお勧めします。
何かを決めれば、その結果が気になるのは誰しも理解できるのではないでしょうか。人によっては気にしないという人も居ると思いますが、それは気にしない性格(または気にしない対処)をしているだけでストレスが蓄積するが、すぐに解消されるだけではないでしょうか。
ストレスは悪いのか
ストレスは病気の原因になったりと悪いもののように見えますが、実際はそれだけではありません。過度なストレスが急にかかったり、長期間かかる事は良くありませんが、適度なストレスはやる気を出したり達成感を感じたりするためにも必要な要素でもあります。
以前の記事でストレッチ目標について書きましたが、ストレッチするとストレスが溜まりますが、達成したときの達成感や充足感はストレッチした分大きくなります。
筋トレをしている人は解ると思いますが、筋肉は適度なストレスをかけて強化していきます。メンタルにおいても少し似たところがあるのですが、どちらかというとストレスは脳内物質の分泌に関係しており、うまくコントロールできれば達成感や充足感を感じる事ができるのです。
この脳内物質がコントロールできないほどのストレスは身体に毒なので、過度なストレスや長期間のストレスは避けなければなりません。脳内物質は脳内麻薬とも言われ、モルヒネなどと同じ作用のある物質がありますので、注意が必要な理由が解るかと思います。
ストレスをコントロールする
では、どうやってストレスをコントロールすれば良いのでしょうか。今回のテーマである「意思決定のストレス」に繋がってきます。
結論から言ってしまうと、「意思決定の分散」「意思決定の自動化」「意思決定のアウトソーシング」を行う事をお勧めします。
意思決定の分散
これは簡単な話です。意思決定しないといけない事を、うまく分散して一人に集中しないようにしましょう。例えばとある部署の部長がなんでも一人で決めていたらあっという間にパンクしますし、ストレスで心を病んでしまうでしょう。
もしくは、キャパシティを超えてしまって決められなくなったり、決めるのを諦めたりして、その部署の仕事のボトルネックになっていく事が想像されます。
こういったとき、権限を委譲し、ある一定のものは課長が決めて良いとするなりして、分散する事が効果的です。
これは、家庭においても同じで、家での日々の決める役割を何かについては誰が決めるという具合にしておくことはストレスを溜めないコツかもしれません。
意思決定の自動化
これも簡単ですが、ルールを決めておくという事です。なんでも1から検討して決めるというのはムダも多く、ストレスが溜まってしまいます。
ある程度定期的におきるイベントであるならば、判断基準を設けて自動化してしまいましょう。自動化してしまう事でストレスから解放されるだけでなく、本来集中すべき本質に集中力を使えるというメリットも現れます。
例えば不具合が発生するたびにプロジェクトのリーダーやマネージャが会議を招集して意思決定するという事はあまり効率的とは言えません。
まずは、トリアージが必要なので不具合のレベル分けを判断基準を設定して自動的に行い、レベルに応じた対処を決めておけば、レベルの高い不具合についてはリーダーやマネージャの判断が必要ですが、低レベルな不具合は現場判断で処理できると思います。
不具合に限らず、様々な問題はかなりの確率で自動化可能だと私は考えています。むしろ自動化を前提に仕組みを作って、閾値の見直しについてはデータを蓄積して定点観測して適時改善するのが良いのではと考えています。
意思決定のアウトソーシング
専門的な分野などはアウトソーシングする事をお勧めします。自分達で判断する事が難しい分野や自分達のバイアスがかかる事を避けた方が良い分野というものがあるように思います。
例えば、セキュリティに関してなどは外部の専門家の手を借りると良いでしょうし、法律については弁護士、税金については税理士、労務については社労士といった具合に専門家に意思決定を手助けしてもらう機会は多いかと思います。
上記は解りやすい例ですし、多くの人が当然のように活用していると思いますが、それが意思決定のアウトソーシングだという認識は少ないかもしれません。
専門家に頼む効果としては、意思決定をしやすくする事でストレスを軽減できる効果もあるのです。
ただし、専門家と言っても個別の会社の事情に詳しいわけではありませんので、質問の投げ方には注意が必要です。意思決定に必要な要素に関して、根拠を補強する意味合いが強いと考えています。
なぜストレスをコントロールする必要があるか
前述の通り、過度なストレスや長期間のストレスは身体を壊すと言いましたがもう少しストレスの悪影響について書いておきます。
経営者やマネージャやリーダーは常にストレスに晒されます。上記のようなコントロールをしていないと脳内物質(ドーパミンやノルアドレナリンやセロトニン)が放出される機会が多くなり、これらが正常に作用しなくなる可能性があります。
ストレスと脳の因果関係は完全に解明されているわけではありませんが、脳内物質の放出に影響があると考えられていますし、それが放出され続ければ神経が麻痺してしまって本来の効果が失われる可能性が考えられます。
私は前職の経験ですが、自己体験的に意思決定のキャパシティーオーバーを経験したことがあり、科学的な根拠があるわけでは無いのですが、だんだんと意思決定に時間がかかるようになり、意思決定が億劫になって辛くなり、仕事の事で手一杯になって家庭の事は何も決められなくなってしまいました。
私はメンタルヘルスケアの資格も持っていましたので、自分の異変に気付いていましたが、もうこれ以上はマズイと考えどんどん人に権限を委譲してなんとかキャパシティの範囲内に納める事ができましたが、無理をしていたらどうなっていたことか。
周りが気づいてくれると良いようにも思いますが、ストレスは目に見えないですし、人前では誰しも恰好をつけて元気に振る舞おうとするので、可能であれば自分を客観視して自分でストレスをコントロールできるのが安全な気がしています。
ピンチのときは、弱音は吐いてもいいのです。
まとめ
今回は、意思決定のストレスについて書いてみました。
これを読んだ方が意思決定って大変なんだなと感じてもらえると良いのですが、これを機会に少し考えてみて欲しい事があります。
いつも何かを決めてくれている同僚や上司や経営者に感謝していますか?
もし決定した事があまり良い結果を生まなかったとしても、意思決定をするというストレスを抱えてくれていると思ったら、何も決めていないよりは良いのではないでしょうか。
マネージャーやリーダーがしてはいけない事の一つが「決めない事」です。誰かが決めないと先に進まないのですから、決める人は偉いと私は思いますし、決める事はスタートラインでしかないので、そこから調整していく事が本質的には大切です。
もし、あなたの方が得意な事や詳しい事があったら、ぜひ意思決定に関わってもらって、あなたが決める側になってみてください。
逆を言うと、なんでも誰かに意思決定を求めたり委ねたりするのは、あまりよくないかもしれませんね。少しだけでも意思決定のストレスを一緒に持ってあげると良いのかもしれません。
ご家庭においては、もし料理の献立は何がいいか聞かれたら、家族の好みや今ある材料などを元に、「これはどう?」と意思決定に参加していきましょう!そして家庭でも色んな事を決めてくれているパートナーに感謝しましょう。(でも、手間がかかりすぎる料理はNGですよ!自分が作るならOKですが。)
ではでは。