第3話: イケメンは何でもできる?! ~ハロー効果にご用心~
ストーリー
広告代理店で働く莉奈は、新しいプロジェクトメンバーとして配属された新入社員の翔太に目を奪われた。
すらりとした長身、爽やかな笑顔、そしてどこかミステリアスな雰囲気を漂わせるイケメン。
「こんな完璧な人、見たことない…!」
莉奈は、翔太に一目惚れしてしまった。
プロジェクトのキックオフミーティングで、翔太は自己紹介をした。
落ち着いた口調で、ハキハキと話す姿もまた、莉奈の心を掴んだ。
「きっと、仕事もできるに違いない!」
莉奈は、翔太に大きな期待を寄せていた。
しかし、実際にプロジェクトが始まってみると、翔太は莉奈の期待とは裏腹に、ミスを連発する。
具体的には、次のようなことが起こりました。
●資料作成:プレゼン資料に誤字脱字が多く、クライアントに提出する前に莉奈が何度も修正しなければならなかった。
●情報収集:インターネットで必要な情報を探すように指示しても、表面的な情報しか集められず、莉奈が改めて情報収集をし直すことになった。
●アイデア出し:斬新なアイデアを出すように言っても、ありきたりなアイデアしか出てこず、莉奈が頭を悩ませた。
●コミュニケーション:クライアントとの打ち合わせで、緊張してしまい、うまくコミュニケーションを取ることができなかった。
●時間管理:締め切りを守れないことが度々あり、莉奈や他のメンバーに迷惑をかけてしまった。
莉奈は、翔太のミスをフォローするために、自分の仕事量が増えてしまい、疲弊していく。
「なんで…こんなに仕事ができないんだろう…?」
莉奈は、翔太のミスを見るたびに、疑問に思うようになった。
しかし、翔太はイケメンで、いつも笑顔で、周囲の人たちからは好かれていた。
「もしかして、私が厳しすぎるのかな…?」
莉奈は、自分を責めることもあった。
しかし、翔太のミスが続くにつれて、莉奈は、翔太に対する評価を変えざるを得なくなった。
「顔が良いからって、仕事ができるとは限らないんだな…。」
莉奈は、ハロー効果の罠に陥っていたことに気づいた。
解説
ハロー効果とは?
ハロー効果とは、ある対象を評価する際に、その対象の目立つ特徴に引っ張られて、他の特徴についても同様の評価をしてしまう現象のことです。
莉奈の場合は、翔太の「外見の良さ」という目立つ特徴に引っ張られて、「仕事ができる」という評価をしてしまいました。
しかし、実際には、翔太の仕事ぶりは期待外れだったのです。
ハロー効果はなぜ起こる?
ハロー効果は、私たち人間が、限られた情報の中で、迅速に判断を下す必要があるために起こると考えられています。
私たちは、ある対象の全体像を把握する代わりに、目立つ特徴を手がかりにして、その対象を評価してしまうのです。
特に、外見は、私たちが最初に目にする情報であり、強い印象を与えるため、ハロー効果が起こりやすいと言えます。
ハロー効果の影響
ハロー効果は、採用活動や人事評価など、様々な場面で影響を与えます。
例えば、
●採用活動:外見の良い応募者を、能力が高いと評価してしまう。
●人事評価:上司に気に入られている部下を、仕事ができると評価してしまう。
●商品評価:パッケージがおしゃれな商品を、品質が良いと評価してしまう。
などがあげられます。
ハロー効果への対策
ハロー効果に陥らないためには、以下のことが重要です。
●目立つ特徴に惑わされない:目立つ特徴だけで、対象を評価しないようにしましょう。
●多様な情報を得る:対象について、様々な情報を収集しましょう。
●客観的な基準で評価する:事前に評価基準を明確にしておき、その基準に基づいて評価しましょう。
●複数の人の意見を聞く:一人で判断するのではなく、複数の人の意見を聞きましょう。
まとめ
ハロー効果は、私たちが陥りやすい認知バイアスの一つです。
ハロー効果に陥らないためには、目立つ特徴に惑わされず、多様な情報を収集し、客観的な基準で評価することが重要です。
次回予告
第4話では、「みんなと同じが良い? - バンドワゴン効果」について解説します。
お楽しみに!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?