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企業内ジョブコーチの支援〜うつ病を乗り越えて:新たな職場での再出発〜
今回の事例
30代半ばのCさん。長期のうつ病治療を経て、高齢者施設での清掃業務に挑戦する、繊細で勇気ある一人の働く人のストーリー。
Cさんのプロフィール
- 年齢:30代
- 前職:システムエンジニア(うつ病を発症し
休職をへて退職となる)
- 診断:うつ病(中等度)
- 現在:高齢者施設清掃スタッフ
初回面談時:再出発への第一歩
静かな相談室。ジョブコーチの私は、Cさんの微妙な表情をしっかり観察します。
私
「Cさんの今の気持ちを話せる範囲でいいので、私に教えてください。これからの仕事に対して、どんな不安を感じていますか?」
Cさんはゆっくりと、震える声で語り始めます。
Cさん
「正直、『自分は安定して働けるのだろうか』という不安でいっぱいです。うつ病で長期休職したことで、自信を完全に失っているんです」
私は、Cさんの言葉に深くうなずき、共感的な態度で聞き続けます。
私
「休職中の経験も、Cさんの大切な人生の一部ですよ。だから、それを恥じる必要は全くありません」
Cさん
「でも、以前のように『即戦力』になれるか分からない。精神的な疲労に耐えられるか、同僚との関係が築けるか…」
私は、Cさんの不安の本質を理解しようと、しっかりとCさんの話に耳を傾けます。
Cさんが抱えていることとして考えられることは、単なる職務上の課題ではなく、自己肯定感の回復が最も重要な課題であると感じ取ったからです。
私
「Cさんの今の気持ちは、とても自然なものです。うつ病からの回復は、勇気ある挑戦で自分のペースで進めていけばいいですよ」
上記の面談を経てCさんへの支援アプローチ
メンタルヘルス面でのサポート
1. 週1回の定期面談
2. ストレス対処法を共に考え実行
3. 段階的な業務負荷の調整
職場適応面でのサポート
1.短時間勤務からのスタート
2.明確で具体的な業務マニュアルの提供
3.上司・同僚への病状理解の促進
面談後の変化
数ヶ月にわたる継続的なサポートにより、Cさんに驚くべき変化が生まれました。
- 業務に対する自信の回復
- 同僚の手本となる働き方
- メンタルヘルスの安定
- 清掃業務への誇りと意欲
-1日4時間勤務から7時間勤務に変更
Cさんの現在
Cさんは、うつ病を単なる「障壁」ではなく、自己成長の機会として捉えることができるようになりました。
また欠勤することもほとんどなく、他のスタッフへの指導や、悩みを聴いてあげるなど、入職時から大きな変化がありました。
私は、彼の繊細さと丁寧さを高く評価し、重要な戦力としてすごく頼りにしています。
おわりに
社会復帰の道のりに「正解」はありません。一人ひとりのストーリーがあり、それぞれの回復の形があると思います。
Cさんの挑戦は、その一つなのです。
#メンタルヘルス #うつ病 #職場復帰
#ジョブコーチ #インクルーシブ職場