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「Yahoo!ニュースさんありがとう問題」って何? 意外と多い“報道の誤解”

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「Yahoo!ニュースさんありがとう問題」というものがある。
これまで何度かXで語っているのだが、毎度けっこうな反応がある。

上の投稿の内容の繰り返しになるけれど、Yahoo!ニュース、LINEニュース、ライブドアニュース、スマートニュースといったポータルサイトは配信社(新聞、出版社、ウェブメディア等)から記事を配信してもらい、それをそのまま掲載している。

つまり、いろんなところから集めたニュースをまとめる箱がYahoo!ニュースなのだ。

ニュースを入れる大きな箱=Yahoo!ニュース

箱には政治、経済、エンタメ、スポーツ、ITなど各ジャンルごとに、それぞれのメディアが独自に取材した面白い記事が一つの箱に集まっている。

読者側にとっては本来ならそれぞれのメディアに行かなくては読めない記事が一つの場所で読めて便利だし、メディア側にとっても読者が集まる場所に記事を置くことでより多くの人に読んでもらえるメリットがある。

その結果、毎日約7500本の記事が配信され、月間50億PVとも言われるモンスターサイト「Yahoo!ニュース」が出来上がった。

ところが、このニュースを入れる箱というイメージはウェブメディアに携わっている人ならともかく、一般にはなかなか認知されていない。結果「Yahoo!ニュース」というメディアが記事を書いているように勘違いする人はかなり多い。

さらに以前は「われわれはあくまでポータルサイトで、ニュース制作には携わらない」と言っていたYahoo!ニュースが翻意し、Yahoo!ニュースオリジナル特集という独自記事を始めてから、さらにややこしくなった。
(※このオリジナル特集に裏切られたと思っている古いウェブメディアの人は結構いる)。

結果、各媒体の記者やライター、編集者が手間も暇もかけて作った記事が「Yahoo!ニュース」として世間には認知され、そして何もしてない箱なのに「Yahoo!ニュースさんありがとう」と感謝までされてしまう事態となっている。

この派生で「Yahoo!ニュースに掲載してもらいました」という感謝もあるが、Yahoo!ニュースに配信する作業をしているのはニュースを配信している各社だ。「【媒体名】にYahoo!ニュースに配信してもらいました」が正解である。

<Yahoo!ニュースさんありがとうの例>

自分の取材して書いた記事に対して「Yahoo!ニュースさんありがとう」と投稿されたときの虚しさたるやない。時に膝から崩れ落ち、背中に徒労感がズシンとのしかかる。あれはウェブメディアをやっていないとなかなかわからない感覚かもしれない。

感謝されたいのかというのとはまた違う。取材しても感謝されないことはよくあるし、それなら感情に波風は立たずゼロのままだ。

取材を受けた人が自分とも仲間とも全く関係のない、何にもしていないYahoo!ニュースに感謝をしていたら、それは心中複雑になっても仕方ない。ましてウェブメディアをちょっとやっていれば、Yahoo!ニュースの理不尽さには何度かぶち当たるため、Yahoo!ニュースが嫌いな人は少なくない。自分たちの代わりに嫌いなYahoo!ニュースが感謝される。ちょっとマイナスが大きすぎる。

そして「Yahoo!ニュースさんありがとう」という人は仕組みをわかっていないだけで、悪気があるわけではないのもわかる。だからこそ、余計にやるせなくなるのだ。

逆に「Yahoo!ニュースさんありがとう」な人が多い分、きちんと媒体名や取材した人間の名前を出す人は好感を持たれ、次の取材につながる可能性が出てくるかもしれない。ウェブメディアも結局、人間が作っているのだから。

「Yahoo!ニュースさんありがとう」はまだ感謝の言葉だけで済むが、取材した記事に後日大きな反響があると、その成果が全て「Yahoo!ニュースさんのおかげ」となってしまうケースもしばしばある。

本当は存在しないにも関わらず、一般の人の中には存在すると勘違いされている「Yahoo!ニュース」という報道機関。この存在が大きくなることで、深刻な問題を引き起こそうとしている。

※ここからは「Yahoo!ニュースさんありがとう」の根底にある大きな問題について書いています。マガジン登録なら月額500円で読めます。ぜひマガジン登録よろしくお願いします

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フリーランスライターとして働く44歳の私が直面した、突然の仕事喪失。安定を失い、途方に暮れながらも新しい道を模索する日々を綴ります。ただ明…

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