「プラチナエイジ」の新しい挑戦
column vol.660
シニア世代というと今までは「シルバー」と表現することが多かったのですが、それは今や昔。
最近では「プラチナエイジ(世代)」という言葉が浸透してきたと感じます。
夢を持ち活動的で創造的で自分の人生を楽しんでいらっしゃる人生の先輩方。確かに私の周りにもキラキラしている方が多いと感じます。
メルカリの利用もプラチナ世代が急増しているのをご存知でしたか?
60代以上の平均年間出品数は20代の約2倍!
メルカリと言うと若い人たちがよく利用しているイメージがあるかと思いますが、実は60代以上のシニア層の利用が激増しています。
〈PRESIDENT Online / 2022年5月13日〉
メルカリがネット上で60代以上の男女1236人を対象に行った調査では、会員1人当たりの平均年間出品数が20代の39個に対し、60代以上が72個と2倍近くに。
年間の利用者数と購入商品総数がともに前年度比約1.4倍、出品商品総数も同約1.6倍と「激増」という言葉が過言ではないことが分かります。
この理由が肝なのですが、単に売買をしているということではなく、アプリ内でのコミュニケーションを通じて、自分と価値観が合う人との対話を楽しんでいるのです。
例えば、自分が欲しいと思う本を買おうとすると、いつも同じ出品者に行き着く。何度か購入しているうちに、仲が深まり、交流が生まれているのです。
確かに考えてみると、欲しいもの、趣味のものの先に同じ価値観を持った人がいる。
フリーライターの西川修一さんは、メルカリはコロナによって奪われた密なコミュニケーションの場を提供し、シニア世代の孤独感を和らげている可能性があると分析しています。
実際、メルカリの調査でも「売買相手に親近感を覚えますか?」という問いに「覚える」「やや覚える」と答えた人が計34.8%にも上ります。
また、自由回答には
「繋がっているささやかな嬉しさを感じた」(60代女性)
「ちょっとした一言がとても良いコミュニケーションになっていると感じる」(70代女性)
「送った商品へのアドバイスに感謝され、しばらく売買から離れた会話を繰り返していた」(60代男性)
などなど、コミュニケーションそのものに意義を見出しているのが分かります。
新しいツールを使い社会との接点づくりをデザインする。この心の若さがプラチナ世代の輝く所以ですね。
「70代」の仕事探し、5年で53倍に急増
さらに社会人として活躍し続けたいという意欲を感じるデータがありました。
Indeed Japanによると、同社が提供する求人検索サイト内での「70代」の仕事検索数は、2017年2月~2022年2月の間に、53.7倍に急増しているそうです。
〈Forbes JAPAN / 2022年5月18日〉
ちなみに「60代」の検索数も、同期間で7.9倍に増加しているとのこと。
背景には、昨年4月に施行された「改正高齢者雇用安定法」があります。
これにより、65~70歳の労働者の就業機会を確保するため、 事業主に対し「70歳までの定年引き上げ」「70歳までの継続雇用制度」などの措置を講ずる努力義務が新設されました。
また、今年4月には「年金制度改正法」などの施行によって年金制度の一部が改正され、 繰下げ受給の上限年齢が引き上げられたことも影響しているでしょう。
100年人生時代であるならば、70代はまだまだ若い。
やはり、社会で活躍したい、人と繋がっていたい、そういった願望が根底にあるのではないでしょうか。
それに、今後は少子高齢化の中で多様な労働力が求められるのは必然です。
この動向は、非常に興味深いトピックではないでしょうか。
プラチナ世代向けオンラインサロンに注目
そんな活動的なプラチナ世代向けに事業を展開している企業に耳よりな新しいオンラインサロンサービスがあります。
〈朝日新聞【and】 / 2022年5月16日〉
法人向けオンラインサロン制作・開発業務を専門で承る株式会社ビルドサロンが、高齢者向けオンラインサロン開発パッケージ「ビルドシニア」を提供開始。
通常のオンラインサロン開発サービスと比較して、インターフェイスを高齢者向けに設計し、会費決済などを分かりやすくサポートできるようになっています。
絵画教室など、高齢者向け教室を運営している方々には、非常に便利ですね。
ちなみに、オンライン上での新しい傾向として、もう一つ面白いと思ったニュースがプレジデントオンラインの【ついに団塊世代のテレビ離れが始まった…高齢者がテレビからYouTubeに流れた根本原因】という記事。
〈PRESIDENT Online / 2022年5月11日〉
マーケターの原田曜平さんによると、テレビは現在、コア視聴率(一般的には13歳から49歳)にシフトしたことで、デジタルデバイスを扱えるプラチナ世代の方々がYouTubeに流れているそうです。
今後は「上の世代の方々へのマーケティングはYouTube主流に!」ということがなくはないのでしょうか?
メルカリからYouTubeまで、従来の固定概念を崩してくれる、本日の事例記事でした。