どうなる!?「子ども」の未来
column vol.646
本日は「子どもの日」。
端午の節句でもあり、子どもたちみんなが元気に育ち、大きくなったことをお祝いする日です。
…とはいえ…、4月1日現在における15歳未満の人口は、前年に比べ26万人少ない1465万人で、1982年から41年連続の減少。過去最少を更新しました…。
ちなみに、日本の子どもの割合は先進国(EUを除いたG20)では最低水準。今、「少子高齢化社会」の「少子」はとてつもなく早いスピードで進行していることが分かります。
出生率を下げる4つの要因
出生率で見ても、専門家の予想を裏切る事態となっております。
国立社会保障・人口問題研究所はかつて、2039年頃に出生数が75万人になると予測していましたが、コロナで出生率が大きく減少し、昨年すでに到達。18年も前倒しになりました。
〈NEWSポストセブン / 2022年4月29日〉
世界的経営コンサルタントの大前研一さんは、少子化を加速させる4つの要因を以下のように挙げています。
(1)結婚していない人が増えている
(2)晩婚化が進み高齢出産が増加。年齢的に2人目を産むことが難しい
(3)出産・育児支援制度の不備
(4)感染リスクによる結婚・妊娠・出産の減少
(1)(2)は「選択的な理由」と、例えば経済的な問題など「止むを得ない理由」があるかと思います。
また、(4)は当人同士の感染リスク回避もありますが、例えば、里帰り出産が難しくなることも課題となっています。
(3)については、OECD平均ではGDPの2.34%を家族問題に使っていますが、日本はその平均を下回っています。
加えて待機児童の問題や不妊治療の所得制限などがあり、出産・育児のために国が全面的に支援するという形にはなっていない状況が垣間見えます。
さらに、もう1つ大きな問題が戸籍制度。
結婚していないカップルの場合、子どもが生まれても戸籍に入れられずに「非嫡出子」という扱いになる可能性があり…、妊娠しても結婚していないから子どもを産めない、もしくは産んでも可哀想と考える人も多いのです。
出生率を高めるための「大胆提言」
子どもを産みたいけど経済的な理由で産めないという人への施策案として、2ちゃんねる創設者のひろゆきさんが「子ども1人生んだら1000万円支給」という考えを提言し、話題になりました。
〈PRESIDENT Online / 2022年5月3日〉
「財源はどうするんだ!」という声に対しては
日本人1人あたりの生涯賃金は2.7億円(大卒の場合)、生涯納税額は約4000万円とも言われています。こう考えると、1人に1000万円配っても、子どもが増えたら国としてはしっかり元がとれるんですよね。
と語り、子どもが増えることによる経済の活性や税収の増加を指摘しています。
このひろゆきさんの大胆提言には当然賛否両論はありますが、結婚・出産したい人がしやすい環境を整えていくことをさまざまな角度から議論していくことは必要でしょう。
「実の子」ではない子を育てるという選択肢
子どもは間違いなく日本の未来であるとともに、子を産む産まないということだけではなく、さまざまな選択肢を社会で内包していく必要があります。
最後は、「実の子ではない子」を育てるという選択をとっている事例を2つご紹介いたします。
一つ目が「特別養子縁組」です。年間の成立数は2019年で711件になっています。
〈alterna×s / 2022年5月2日〉
東京都東久留米市を拠点に活動する一般社団法人「ベアホープ」・団体理事の橋田じゅんさんは、実親から『育てることが難しい』『産んでも育てられない』という悩みを受けれています。
橋田さんは
「背景はそれぞれですし、中には予期せぬ妊娠が自己責任だといわれることもありますが、実際に話を聞くと、DVや性暴力・性虐待、家庭崩壊や機能不全家族、貧困、ホームレスや性風俗…、女性一人だけの責任だという一言では解決できない、さまざまな社会問題が複雑に絡み合っています」
と語ります。
産まれてこようとする子に最善の選択肢は何か?
そういった子どもを引き受けて親になるという選択肢も、その子の、そして日本の未来のためには必要です。
また、アメリカでは「PANK」という言葉が広がっています。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2022年4月29日〉
PANKとは「professional aunt, no kids」。
「子どものいない、仕事を持っている親戚のおばさん」という意味で、自らの愛情を甥や姪に注いでる人のこと。
「子なし」という汚名が「子どもから解放されている」という人気トレンドに変わる中、今では"親戚のおばさん"のペルソナは20代や30代の多くの女性に人気のアイデンティティーになっているそうです。
実の親子は関係が近すぎる分、上手くいかないこともあるかと思います。
そこに少し距離の離れた「おば」がサポートする。
私の幼少期は、まだ子どもは地域で育てるという考え方が根付いていた時代だったので、PANKsの存在価値はよく分かります。
ちなみに、TikTokでは「#auntielife」とタグ付けされた動画が6200万回再生されていて、「#auntie」とタグ付けられた動画は9億8800万回再生されているそうです。
上記はほんの一例ですが、出産・育児に関する課題は複雑化し、考え(選択)は多様化しています。
さまざまな視点に触れながら、最適解を生み出していくことが「最善の未来」に繋がるのでしょうね。
まずは自分自身も今以上に見識を広げないといけないと思う今日この頃です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?