「小売業」本日のヒント
column vol.58
63年の歴史を持つ渋谷地下商店街「しぶちかショッピングロード」が9月いっぱいでいったん閉店し、大規模な改装工事に入るそうです。
〈シブヤ経済新聞 / 2020年9月14日〉
渋谷で働いて約20年。学生の頃から、しぶちかに慣れ親しんでいたので、改装となると寂しいものですね。昭和の趣が残る場所だっただけに、この雰囲気が味わえなくなるのは残念です。
時が経てば新しいものが生まれる。ということで、今回は変わることが前向きに捉えられるような消費に関わる新トピックスを紹介したいと思います。
お下がりは下から上へ
博報堂生活総合研究所とメルカリ総合研究所が「フリマアプリ取引構造の実態分析」を実施。その結果、下の年代から上の年代にモノが「逆お下がり」する商品カテゴリーが多く存在することが明らかになりました。
〈FNNプライムオンライン / 2020年9月7日〉
逆お下がり商品だったのは、「コーヒー」などの嗜好性飲料、「ドライブレコーダー」などの安心ツール、「入浴剤」などの“温もり”関連商品、 ボールを中心とした「野球の練習機器」などだったそうです。
この流れをつくっている1つが「Webプラットフォーム」であること。確かに、実世界と比べると、Webの中では年齢を意識することは少ないかもしれません。
逆にWebプラットでのコミュニティやコミュニケーションがいずれは実世界でも年齢意識を薄める可能性はありますね。習い事でも年下先生がイヤで通わない人もいるようで、個人的には年齢への意識で自分の新しい可能性を閉ざしてしまうのはもったいないと感じています。
私があまり年齢にこだわらないタイプであることもあり、早く実生活でも年齢を意識しないフラットな付き合いが増えればいいなぁと願っています。
ビューティー×ゲームの新企画
資生堂のグローバルブランド「SHISEIDO」は、ニンテンドースイッチのゲーム「あつまれどうぶつの森」を舞台にした参加型企画「みんなで撮影!スペシャルムービープロジェクト”Camellia”」を始動しました。
〈WWD JAPAN / 2020年9月11日〉
ユーザーが「SHISEIDO」のスペシャルムービーの絵コンテをもとに「あつ森」で動画を撮影し、作品をツイッターに投稿するという内容で、撮影を盛り上げるための企画として、ブランドカラーである赤を意識したワンピースといったオリジナルのデザインを公式ツイッターで配布しているそうです。
プロモーションがよりインタラクティブになってきていることの好例です。あつ森しかり、フォーナイトしかり、ゲームと企業のコラボから今後も目が離せません。
車の販売店がファッションステージに
トヨタカローラ中京が、ファッションレンタルサービス「EDIST. CLOSET」とコラボレーションしたサービス「おでかけクローゼット」を、カーシェアリングなどを行う店舗モビリティゲート吹上で実施。9月17日から期間限定で展開します。
〈FASHIONSNAP.COM / 2020年9月13日〉
ネットで申し込んで店舗で受け取り。例えば、沖縄旅行やハワイ旅行では必ず車を借りるので、そういう時にはこのサービスの組み合わせはありがたいです。
今までもこのような事例は多く見られますが、今後は生活動線を意識したコラボはますます多く見られるでしょう。
テクノロジーの進化や、今回のコロナのような環境の変化に合わせ、生活様式やマインドは刻々と変わっていきます。大仰な顧客調査をする前に、まずは自分や身近な人の生活の変化を棚卸ししてみると、新しい時代の顧客像が見えてくるはずです。
ちなみに、横浜家系ラーメンの老舗「六角家」本店が破産したようです…(涙)。家系ラーメンを初めて食べたのがこのお店。学生時代の思い出の場所でした。
冒頭のしぶちかのニュースもそうですが、ワクワクとシクシクが交差する一日でした。