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「コテージコア」の時代

column vol.246

2020年のトレンドとして急浮上した「コテージコア」ですが、フォーブスでは一過性のブームに終わらず生活文化として定着するではないかという見解を示しています。

〈Forbes JAPAN / 2021年3月20日〉

コテージコアとは自給自足によるシンプルな暮らしを理想化した文化的なムーブメント。田園で牧歌的な生活を送りたいという欲求を捉え、自然とともに過ごしたいというムードが高まっています。

一言で言うと「カントリーライフ」です。

今までもこのような傾向はありましたが、コロナによるロックダウンを経て、本質的なライフスタイルとして確立しようとしているというのがフォーブスの主張です。

世界的セレブがこぞって田舎暮らし

デヴィッド・ベッカムハチの巣箱を作る様子をYouTubeにアップしたり、カニエ・ウェストがインスタグラムで農場でのスローな暮らしの様子を投稿したり、セレブたちがコテージコアのストリームを牽引。

テイラー・スウィフトの最新アルバム『フォークロア』はタイトルからしてコテージコアのエッセンスを表現しています。

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不動産のポータルサイト「Rightmove」の昨年の調査によると、引っ越しを考えているロンドン市民の51%、つまり半数以上が「田舎に新しい家を探している」と答えたそうです。

ノーフォークに住みコテージコアの人気を牽引しているライフスタイルブロガー「ポーラ・サットン」はこのように語っています。

「私のコテージコアは古いイギリスのカントリーハウスでの暮らしをベースにしています。インド更紗、ニワトリ、ポットで入れたお茶。たくさんの色に溢れたインテリア、アンティークと受け継いだヴィンテージアイテム、新しいものをミックスする。私の家具は大抵壊れて色あせた年代ものです」

ロックダウンによって唯一の居場所である家での時間を過ごすうちに、生活の本質に気づいた人たち。

確かに、これはトレンドという単純なもので終わらないように思えます。

Z世代からの熱狂的な支持

特に、サスティナブル意識の高いZ世代の若者たちからの支持が見てとれます。

昨年8月のELLEの記事を読むと、「#cottagecore」とハッシュタグが付けられた投稿はインスタグラムだけで50万件以上もあったそうで、メディアミックスブログサービス「Tumblr(タンバー)」では昨年3月以降、コテージコアに関する投稿が以前の153%に増加

TikTokではお菓子やパン作り、畑の中に佇む様子を写した動画が2億5,200万回以上、閲覧されていたそうです。

昨年8月時点での数字なので、今はさらに伸びています。

リサイクルショップやガレージセール、のみの市での買い物が一般的なZ世代は、再利用や、既存のものの別用途での再使用に関心を持っている傾向にあり、コテージコアがこの世代から評価されているのも理解できます。

フランスで人気の「リペアカフェ」

2020年は、人工物の量が、地球上の生物量を上回ってしまった年でもありました。

そんな中、環境意識が高い国々では、使い捨て文化に対する法改正や対抗運動がスタンダード化しつつあります。

フランスでは2020年2月に、在庫や売れ残り品などの商業廃棄の禁止を法制化。さらに、電化製品に修理のしやすさを示す「リペア指数」を付与することも可決されています。

〈AMP / 2021年3月18日〉

こういった流れもあり、フランス・パリなどでは、地元住民が集まって壊れた電化製品を修理する「リペアカフェ」が人気を博しているそうです。

日用品や電子機器が壊れた際に無料で持ち込みができ、熱心なボランティアスタッフのもとで、自分自身で修理するのです。

その熱はヨーロッパ中に広がり、店内のツールを使って自転車の修理を自分でできるウィーンの「Bike Kitchen」など、電子機器に限らず、さまざまな分野で生活者の修理文化が浸透しているとのこと。

同じアジアでも台湾には日用品を中心に、さまざまなものを自分たちで修繕できる「古風小白屋」というスペースがあるなど、今後は世界でもスタンダードになるのではないでしょうか?

よりミニマリスト的な志向の「ヒュッゲ」がより主張的だとすると、コテージコアはより自然に生活文化に溶け込んでいきそうな予感です。

この潮流をしかと注視していきたいと思います。

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