vol.11 世界の企業が必要とするCPOとは?
前々回(vol.9)でユーグレナさんのCFO(Chief Future Officer/最高未来責任者)についてお話しましたが、もう1つ注目なのが「CPO」というポジションです。
CPOは「Chief Philosophy Officer」。つまり、最高哲学責任者です。
えっ?哲学!?何それ?と思うと思いますが、グーグルやアップルは企業専属哲学者をフルタイムで雇っていますし、スカイプやツイッター、フェイスブックは、哲学コンサルティング企業と提携しています。
〈BUSINESS INSIDER/2020年7月11日〉
CPOは経営会議をより本質的なものへと導き、経営者へ直接助言を与える役割です。日本でも出口治明さんの『哲学と宗教全史』や山口周さんの『武器になる哲学』など、哲学本と呼ばれる本がヒットしていますが、日本の場合はよりビジョンに近いと、この記事では指摘しています。
ビジョンというよりアイデンティティ。海外では、そもそも我々の企業がなぜ存在しているかという観点から考えているそうです。確かに私もなぜ私が勤めているジャパンライフデザインシステムズが存在する必要があるのか?まで考えられていませんでした…(汗)そこまで、突き詰めていくと、社会的に果たすべき役割が見えてくると思います。
また、成功するために何をしなければならないか?という問いの前に、「なぜ、成功しないといけないのか?」「そもそも成功とは何か?」という問いがあります。確かに、さまざま「これが理想だ」、「こうあるべきだ」という前提を一度見直すことは重要だと感じました。
「挑戦文化」と「調整文化」の違い
私の尊敬するイノベーターに柴田昌治さんというプロセスデザイナーがいらっしゃいます。柴田さんは企業のイノベーションを専門に実績を積まれた方ですが、著書『なぜ、それでも会社は変われないのか(日本経済新聞出版)』という一冊を読むと日本企業の課題がよく分かり、さらにビジネスインサイダーの記事の内容が頭の中で整理されます。
日本人は「なぜ、やるのか?(挑戦文化)」を飛ばして、「どうやるか?(調整文化)」に頭が向かってしまいます。
例えば、さまざまな企業からよく「イノベーションしないといけない」と聞きますが、たいていその心は「そうでないと生き残れない」からでしょう。では、なぜ生き残らないといけないのか?と問うと「会社が生き残らないと生活できないから」が答えになるのではないでしょうか?
これでは、企業の存在価値は一向に見えてきません。企業価値が見えないまま、どういうビジョンにするか、どういう座組みでチームを組むか、どのように全社的にコンセンサスを得るかに走ってしまいます。
企業専属哲学者を雇うかということは置いておいて、これからの経営にとって、そして本当のイノベーションにとって「哲学」が求められることは理解できます。
トヨタは自動車メーカーではなく、モビリティをデザインする企業に変貌していっているというのはよく分かります。良い車をつくることが企業価値ではなく、豊かなモビリティ社会を築くのが自分たちの役割だと。本質がよりシャープに顕在化されました。
豊かな社会を築くためになぜ我々が存在しているのか?最近、ヴァイスプレジデントとして、そのことを私も探求しています。自分でもまさに課題として感じていたことだったので、noteでもそのことを共有させていただきました。あなたの企業の経営に、何かのきっかけになればと願っております。
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