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SDGsの向こう側

column vol.338

昨日、プライド月間についてお話ししましたが、ここ最近、SDGsについて少し考えさせられた記事が2つあったので、今日はそちらをご紹介したいと思います。

まずは、サステナビリティ(環境保護)についてです。

「サステナビリティ」では地球を救えない?

サステナビリティとは、持続可能性を意味する言葉。SDGsの文脈では、主に自然環境の持続可能性という意味合いで用いられています。

しかし、環境破壊が加速する昨今、このサステナビリティという考えだけでは根本解決しないのではないかという意見もあるそうです。

〈AMP / 2021年6月20日〉

そんな中、注目を集めているのが「リジェネレーション」「ネットポジティブ」という考え方です。

サステナビリティや最近よく聞かれる「ネットゼロ(カーボンニュートラル)」という言葉は、これまでのマイナスをゼロに戻すというもので、どちらかと言うと受け身的/守りの発想です。

一方「リジェネレーション」「ネットポジティブ」は、破壊された自然環境の再生に積極的に取り組み価値を生み出そうという攻めの発想になります。

この攻めの発想で見込まれるメリットが経済面にあります。

「リジェネレーション」で4億人雇用の実現へ

リジェネレーティブという攻めの姿勢で環境への取り組みを進めていく場合、その経済価値は10兆ドル(約1100兆円)に上り、4億人近い雇用が生まれると言われています…(驚)

世界経済フォーラムによるレポート「The Future of Nature and Business 2020」によると、「食料・土地・海洋」「インフラ」「エネルギー・採取産業」の3分野でリジェネレーティブ・シフトした場合、2030年には年間の経済規模は10兆ドル以上となり、それによって3億9500万人の雇用が生まれるとのこと。

分かりやすい事例として、AMPの記事では生物多様性条約事務局の呼びかけにより始まった活動「GreenWave」の海洋ファーミングの取り組みが紹介されています。

この取り組みは、海洋で海藻や貝類を育成するのですが、それによって5つのベネフィットが生まれます。

1. 二酸化炭素と窒素の吸収
2. 雇用創出効果
3. 海洋の水質改善
4. 陸上の温室効果ガスの削減効果
5. プラスチックを含めた様々なモノへの海藻の応用

その中で、雇用創出については、世界銀行の推計によると、世界の海の0.1%の面積で海洋ファーミングを行った場合、5000万人の雇用を創出することが可能に。

20エーカー(約8万平方メートル)の面積で海洋ファーミングを行うと、海藻9万トン貝類9万トンを生産することができ、その価値は10万ドル(約1100万円)に相当するそうです。

ただ、やらなくてならないこととして対応する受け身のサステナブルなのか、積極的に取り組むリジェネレーションなのか、意識の差で大きく未来が変わるのかもしれません。

リジェネレーション、注目のキーワードです。

男性は理詰めで選択?

考えさせられた記事、もう1つは「ジェンダーレス」についてです。

男性アイドルやK-POP人気の影響で、メンズ美容に関心を持つ男性が増えてきています。

一方、同じ商品でも女性と男性で若干商品選びのポイントが異なるそうです。

〈FASHIONSNAP.COM / 2021年6月21日〉

「アットコスメトーキョー」では、男性向けサービスは全くしてなく、売り場も男女で分けておらず、ジェンダーレス化が進行しています。

最近、男性はメイクやスキンケアもレベルが高い方は男性用ではなく女性用を探しているので、男性・女性と分ける必要がない状況と言えます。

一方で、男性は感覚では買わず、アイテムに対するスペックが重要で、なんのために使い、どんな成分が含まれているか、理論的に詰めていく傾向にあるそうです。

「ジェンダーレス」の向こう側の性差

この理詰めで選択していくというのは私もそうなので、とても共感できます。

購買だけではなく「納得」が意思決定のトリガーになっているのです。

ただ、これは傾向値なのか?それとも性差なのか?当然、判断には慎重さが要するでしょう。

とはいえ、東京五輪のニュージーランドの重量挙げ代表に選ばれた、トランスジェンダーのローレル・ハバードさんの一件に議論が巻き起こっているのも、権利・尊重科学的な性差がミックスしてしまっていることに一因があるかと思います。

トランスジェンダーを尊重しつつも、一方で筋肉量の差をどう考慮するのか。

この辺のことはまだまだ勉強不足ではありますが、肉体的(筋肉)の性差があるように、もしも脳の働かせ方にも性差があるのだとしたら、そのことも考慮する必要はあるのかもしれません。

今回の事例で言えば、意思決定に性差が存在するならば、マーケティング手法もそれぞれで変わるでしょう。

権利としてのジェンダーレスと、性差をどのようにバランスよく考えていくのか?そもそも、性差がどこまで存在しているのか?

そんなことを、より深く考えるきっかけになる記事でした。

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