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ヒットを生み出す「マーケティング」の力

column vol.691

昨日は、ヒット商品から ”これからの在り方”を推察してみましたが

そもそもヒット商品をどのように生み出したら良いかのかと悩まれている方も多いはずです。

予測不能なVUCA時代において、改めて重要視されているのが「マーケティング」です。

それは社会全体で感じているようで、各社優秀なマーケター獲得に奔走しています。

例えば、ファミリーマートが、P&Gを経て日本マクドナルド「グランドビッグマック」「Pokemon GOコラボ」などを仕掛け、同社の業績をV字回復させた足立光さん初代CMO(最高マーケティング責任者)に据え、「ファミマル」シリーズをヒットさせたのは有名な話です。

そして、新商品に走りがちなコンビニ業界において、「ツナマヨおにぎり」「クリームパン」などの定番商品をテコ入れし、強化することで、利益率を上げブランドにも磨きをかけてきました。

他にも外部から優秀なマーケターを招いて売上を伸ばしている事例があるので共有させていただきます。

〈JIJI.COM / 2022年5月25日〉

優秀なマーケターの招聘が勝機のカギに

まずはキリンホールディングスについてから。

山形光晴常務は足立さんと同じP&G出身で15年にキリンに入社。手始めに「生茶」を改革しました。

2000年に発売され、緑茶ブームを牽引してきた同商品ですが競合の追随により当時は販売が低迷

そこで「緑茶の良さをまるごと感じられる」をコンセプトに、味わいやパッケージを大幅に変更。

瓶をイメージしたボトルの底に茶の粉がたまるさま急須から注いだ緑茶を思わせ販売は急増しました。

さらには、18年に第三のビール「本麒麟」をヒットさせております。

また、ビールと言えば、ライバルのアサヒビールが起用したのは、松山一雄専務。

鹿島建設サトー(現サトーホールディングス)などを経て、18年に入社されています。

松山さんの名を知らずとも、昨年大ヒットした「スーパードライ 生ジョッキ缶」を手がけたマーケターと言えば、凄い方だということは説明いらずになるでしょう。

スーパードライ自体も今年2月にフルリニューアルし、テレビCMや飛行船の日本縦断など、同社として過去最大規模の広告投資を実行。

3、4月の缶製品の販売はコロナ禍前の19年比で14%増と、幸先のいい滑り出しとなりました。

山形さん、松山さんに共通するのは「マスマーケティングは今の世に通用しない」という考え。

一人のお客さまの心が動くか動かないか

「個」から「全体」に広がっていく。ここの探究こそがこれからのマーケティングには必要になるでしょう。

マーケティング本に集まる注目

最近は、マーケティング本も百花繚乱。多くのヒット本が誕生しています。

個人的にまず気になったのが、昨年発売された『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』

こちらは、NHK Eテレ『先人たちの底力 知恵泉』カリスマ経営コンサルタントとして紹介された神田昌典さんが、衣田順一さんと共に書き下ろした一冊。

神田さんと言えば、アメリカの広告業界で58年間も活躍し続けた伝説的コピーライター、ジョン・ケープルズ『ザ・コピーライティング――心の琴線にふれる言葉の法則』監修を務めたことでも有名ですが、こちらは私も新人の頃に読み、勉強しました。

ただし、どうしても訳書ならではの独特の表現が気になりましたが、新書は非常に読みやすいと評判です。

最近、ダイヤモンドオンラインでもピックアップされていたので、併せてこちらもどうぞ。

〈DIAMOND online / 2022年5月29日〉

また、最近読んだ中で良かった本が『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』です。

こちらは、販売実績日本一のオリゴ糖食品「カイテキオリゴ」や2年連続ギネス世界記録認定 売上シェア世界一となった「ディープパッチシリーズ」など数々のヒットを連発している北の達人コーポレーション代表取締役社長、木下勝寿さんの一冊。

“現役最強Webマーケター”と呼ばれる木下さんのノウハウがバッチリ学べる名著だと思います。

ちなみに、新R25で同書の抜粋記事【「“35歳女性、丸の内勤務”では共感が減る」のはなぜか? “ペルソナ設定”の大いなる誤解】が掲載されていたので共有させていただきます。

〈新R25 / 2022年5月22日〉

「ペルソナ設定」の落とし穴

このブロックはマーケティング業務に携わっている方にはご存知の話になるとは思いますが、意外とペルソナ設定においての誤解を持たれている企業さんを目にするので、この「落とし穴」についてお話しさせていただきます。

ちなみに、ペルソナとは「サービス・商品の典型的なユーザー像」のこと。

実際にその人物が実在しているかのように、年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方、ライフスタイル……などリアリティのある詳細な情報を設定していきます。

例えば、木下さんが「しわ対策化粧品」の例として設定したペルソナが以下の通りです。

【Aさん】
・女性
・35歳
・既婚
・丸の内勤務
・埼玉県郊外の一戸建て
・夫は38歳
・子どもは小学2年生の女児1人
・3年前からヨガにハマっている
・半年ほど前から目尻の小じわが気になり始めている

ここで気をつけなければいけないのがペルソナ設定すべきは「プロダクト用」ではなく「メディア用」であるということです。

マーケティングには4P理論があります。

Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)

この内の「プロダクト」設計においてペルソナ設定してしまうと、ターゲットが狭くなり過ぎて、反応数が極端に減ってしまいます。

ペルソナ設定を見ていただけるとわかりますが、シワに関する項目は「半年ほど前から目尻の小じわが気になり始めている」のみ。

しかし、シワに悩む人は多種多様。丸の内に勤務していない人もシワに悩んでいる人はいるでしょうし、10年間悩んでいる方もいるのです。

プロダクトを考える時は「最大公約数」で考える

ですから、プロダクトで考える時は、USP(その商品特有の強み)やベネフィット(利益)を起点に、「最大公約数的」に設定することになります。

先述のファミマの足立さんもファミマルを考えるにあたって、マーケティングチームにこのように伝えたそうです。

「青森県の35歳子持ち女性や、長崎県の24歳男性・子ども2人家族4人」。この人たちを思い浮かべながら考えなさい。

これは「東京に住んでいたら見えてこない地方のライフスタイルを想像しなさい」という意味なのですが、商品は東京限定で売られるワケではありません。

つまり、なるべく最大公約数を「最大化」して考える必要があります。

一方で、メディアはペルソナ設定により、イメージをセグメントして伝えることで効果を発揮する場合が多いのです。

先ほどのペルソナをもとに「イメージターゲット(戦略ターゲット)」にアプローチしていく。

例えば、丸の内レディ必読の雑誌があったとして、その雑誌とタイアップします。

それより、丸の内レディを震源地に認知と共感を広げていくことができるというわけです。

「どうやら、知的な丸の内レディ御用達の『しわ対策化粧品』らしい」というイメージが定着したら、丸の内勤務以外の知的女性たちや、そういった方に憧れを持ち近づいている女性たちに拡散していけるというわけです。

こういったペルソナの使いどころなど、成果を生み出すためのマーケティング理論がたっぷり詰まった一冊となっているので、まだご覧になっていない方はぜひぜひオススメです。

と、本について語っていたら、いつか自分もマーケティング本を出してみたいと思ってきました(笑)

なんとな〜くの夢として、考えていきたいと思います。

…私のことは置いておいて…、これからますますマーケティングの力が必要になる時代だと思いますので、マーケターの方も、そうでない方も、ぜひぜひ名書、名理論との出会いを果たしてくださいませ。


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