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広がる「失敗したくない消費」
column vol.333
当社では若年層ターゲットのショッピングセンター(クライアント)を担当しており、3年前ぐらいから「失敗したくない消費」という言葉がよく使われていました。
実際に、当社で行なった若年層調査でも「買い物は失敗したくない」という心理傾向は強く、そういったマインドを捉えてマーケティング活動をしていたのです。
そんな中、ビジネスインサイダージャパンの【Z世代に流行する「ネタバレ消費」とは?“失敗したくない”若者のホンネ】という記事が、その傾向をとても的確に、そして分かりやすく解説していたので、今日はこちらの記事をもとにお話しさせていただきたいと思います。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2021年6月16日〉
「ネタバレ」がトレンドに
ビジネスインサイダージャパンの記事では「ネタバレ消費」という言葉になっておりますが、Z世代の間では今、観たい映画や行きたいライブの中身、友達に渡す誕生日プレゼントなど、何でも事前に「ネタバレ」することがトレンドになっています。
記事を寄稿した株式会社SEEDATAの調査では、約6割のZ世代がプレゼントの内容を事前に明かす、ネタバレ経験があると回答しています(SEEDATAオリジナル調査2021年、19~25才男女224名)。
私が若い頃は、誕生日といえば「サプライズ」を演出することが普通でしたが、Z世代は仲が良い友人のお祝いほど、サプライズ型を避けるようです。
なぜなら「写真を撮ってSNSでアップする」ことが当たり前になっているからです。
誕生日の主役はSNSで自分を発信するための念入りな準備が必要というわけで、サプライズでは困るということでしょう。
SNS発信が前提になっているから、祝う相手の想いを汲んだ「間違いのない」誕生日会をつくりあげていくことが重要になっているのです。
「確実な100点」を狙う
もちろん、プレゼントも同じ考えです。これも全て、本人のリクエスト通りの品物を用意します。
それもリップ、ピアス、アクセサリーケースなどの商品カテゴリだけでなく「どこどこブランドが出してる色は02番のピンクベージュで!」というように品番まで聞くそうです。
ここで、若い方々の意見を聞いてみましょう。
「相手が欲しくないものをあげて失敗するのが嫌だから、先にネタバレしている」(Yさん・21歳)
「20歳になり、全然連絡をとっていなかった小学生の頃からの友人に祝ってもらったが、プレゼントはいまの自分が絶対使わないような物でした。せっかくもらったけど、使わないからどうしようと困ってしまいました」(Sさん・20歳)
なるほど…。「期待値以上」をハイリスク・ハイリターンで狙いに行くより、相手が確実に喜んでくれる「確実な100点」を狙いに行くのが主流になってきているのでしょう。
ちなみに、キリンビールが2年前に行なった20〜30代が対象の調査でも、若年層の多くは新商品をすぐに手に取らず、新しいものよりも失敗のない良い物を探し、気に入れば繰り返し購入するという消費トレンドを発見したと発表しています。
〈livedoor NEWS / 2019年7月9日〉
「新しい商品を見て飛びつくよりも、周りの評価をよく見てから買うようになった」という問いに、7割を超える若年層がそう思う・ややそう思うと回答。
しかも、「安く手に入れられる商品だからといって失敗したくない」と答えた若年層の割合が8割超にのぼっています。
私の肌感覚では「失敗したくない消費」はこの2年前の調査から、ますます強くなっていると感じています。
SNSによる「リアル検索」の標準化
インスタグラムはもはや検索ツールになっているというのは有名な話でしょう。
もはや最近では「ググる」(グーグル検索)から、「タグる」(ハッシュタグ検索)が主流になりつつあります。
ユーザーがググらないで、タグるのは、ユーザーのリアルな投稿を参考にしたいからです。
企業のWebサイトの情報は、当たり前ですが自分たちに有利に情報発信をしています。
よく、企業のWebサイトや広告でメニューを見て、おいしそうだと思ってお店で注文したら、写真に比べて乏しい現物が提供されて、ガッカリした経験はありませんか?
最近では、来店したお客さまが自分のアカウントでそのお店やメニューに関連するハッシュタグをつけて発信することが当たり前になっているので、ハッシュ検索をすれば、そのリアルな声、リアルなメニューの様子を簡単に見ることができます。
実際、広告の写真に惹かれて興味を持ったとしても、タグって現実を知り、来店を見送るお客さまは増えています。
私たち中年世代も当然買い物を失敗したくないですが、今は、いくらでも失敗を防ぐためのインフラが充実しており、それを若い世代は巧みに使いこなしているので、この傾向が強まっていると言えます。
「失敗したくない消費」の背景には大検索時代という今の世の中が色濃く反映されています。
当社の若い社員も、SNSを駆使してクライアント企業を利用しているユーザーの投稿を細かくみんなチェックしています。
実際、こういった関連投稿が顧客調査でのターゲット仮説になっており、そう考えると、プレ調査などで仮説をつくっていた我々の世代に比べて、マーケッターにとっても便利な世の中になったなぁとしみじみ感じます。
ゆえに、企業側の方々もマーケティングしやすいインフラは整っています。ぜひ、こういったインフラを利用して、より的中率の高いマーケティング活動に役立てていかれると良いかと思います。
ちなみに、今日は妻と新しいランニングシューズを買いに行こうと思います。
いくつかお目当てはあるのですが、ちょっとタグってから店に行きたいと思います(笑)
それでは、皆さまも良い土曜日をお過ごしくださいませ。