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「IMAGINE」やさしい世界
column vol.208
ジョン・レノンさんとオノ・ヨーコさんの「イマジン」が発表されて、今年で50周年になるそうです。
「国なんてない、宗教もない、財産なんかない――そう想像してごらん。そうすれば、私たちが争いの種にしてきたものがなくなるのだから。想像してごらん、その結果、世界中のすべての人々が平和に暮らしていることを」
〈共同通信社 / 2021年2月11日〉
中国はBBCの国内放送を禁止し、ミャンマーのデモ隊は中国大使館で抗議し、韓国軍が自衛隊の竹島侵攻を懸念する…etc。
今日一日だけでも、数多の火種がニュースの風にのって世界に広がり、不安を芽吹かせています。
冒頭のイマジンの歌詞は、半世紀経った今も色鮮やかに、私たちに平和を訴えかけています。
そして、共同通信社の記事では、最後に「脱成長コミュニズム」について触れていますが、最近、仕事を通して「新しい豊かさ」について考えさせられています。
「稼ぐだけ」の企業が脱落する時代
SDGsは今、世界中で大きなムーブメントになっていますが、取り組みを強化する企業が増えてきているのをヒシヒシと感じています。
〈PHPオンライン衆知 / 2021年2月2日〉
ESG問題が深刻化する時代では、社会が企業に求める評価基準が変わります。
これからの評価基準は、「どれだけ稼ぐか」ではなく「どのように稼ぐか」となります。
「どのように稼ぐか」とは、「企業がESG問題の抑制/解決によって経済的、社会的価値を創造できているかどうか」という評価基準です。
つまり、これからはどれだけ稼ぐ企業であっても、それがESG問題を生み出す企業であれば、社会の持続可能性を脅かす存在として厳しい社会的制裁を受けることになるわけです…。
記事の中にある以下の言葉がとても実感を促してくれます。
自然災害や資源の枯渇をはじめとする環境問題(E)は、事業拠点の被災や資源価格の高騰といった形でビジネスの成長を脅かします。
貧困や少子化をはじめとする社会問題(S)は、顧客の購買力低下や市場の縮小といった形でビジネスの成長を脅かします。
違法なサービス残業や不正会計をはじめとする組織統治問題(G)は、法的規制の強化といった形で企業の自由を狭め、ビジネスの成長を脅かします。
ESGとビジネスの成長は切っても切り離せない関係なのです。
このような取り組みを日本でリードする経営者の一人が、ユニクロを擁するファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長、柳井正さんでしょう。
今週火曜日に執筆した【本気人、現る】でもご紹介したフォーブスジャパンの記事をもう一度掲載させていただきます。
〈Forbes JAPAN / 2021年2月7日〉
「サステナビリティを経営の柱にする」
この覚悟の表明には心が震えます。
「水」を守る
エコというと「グリーン(草木)」のイメージがありますが、2020年は「ブルー」が目立った年だったのではないでしょうか?
ブルーは「水」。昨年、レジ袋の有料化がスタートしましたが、美しい海を守っていくための取り組みが加速しています。
私は小売業のマーケティングが専門ですが、美容業界は「ウォーターレス」「ブルービューティー」がトレンドになっています。
人口増加に伴い世界の水の消費量は年々増加する傾向にりますが、水不足を踏まえて水資源の保護に取り組むビューティー企業が増えているのです。
〈VOGUE / 2021年1月31日〉
スキンケア製品、ヘアケア製品、化粧品など、美容製品のほとんどは大量の水で作られていますが、水の消費を減らしたウォーターレス商品が次々と生まれています。
アメリカ発の「Vapour」は、97%の製品に水資源を使用しないなど、その徹底ぶりは目を見張るものがあります。
単に、自然に良いというだけではなく、水を極力使わないことで、保存料や防腐剤などの添加物の使用を抑制できるので、お肌にもやさしくなるというわけです。
人間も自然の一部。本来なら、地球にやさしい取り組みは自分たちにもやさしいはずなので、当然なのかもしれませんね。
僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
そして世界はきっとひとつになるんだ
イマジンの最後の台詞です。
なかなか世界は1つになれませんが、これからはますます地球全体や一人の個人に対する想像力や共感力が求められることは間違いないような気がします。
ジョン・レノンが今の世を見たら、何と思うのでしょうか?