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人生を「マーケティング」で考える
column vol.567
キャリアデザインについて。
これまでも、自分軸で「好きなこと」を仕事にするのか、他人軸で「人が求めていること」に応えていくのか、といった話をコラムの中で繰り返してきました。
私の中の結論は、どちらの要素も必要で、喩え好きなことを仕事にしたとしても期待に応えないといけないですし、期待に応えられることを仕事にしたとしても好きにならないと苦しいだけです。
特に後者は、お金のために我慢したとしても、モチベーションを維持するのは難しいですし、やる気が保てなければ、結局は期待にも応えられなくなる、そんな予感がします。
特に100年人生時代は、長く働くことが求められますからね…(汗)
そんな中、この「キャリアデザインの本質」についての話で、とても上手くまとめられていると感じた記事があったので共有させていただきます。
〈NIKKEI STYLE / 2022年2月6日〉
「マーケティング」って何?
日経スタイルの【マーケター思考でキャリアづくり 「役立つ」で充実感 やりたいことは未定でOK】という記事なのですが、ソフトバンクコミュニケーション本部メディア統括部長の井上大輔さんの解説が秀逸なのです。
簡単に言うと、キャリアデザインを「マーケティングで捉えてみると明確!」という話となります。
しかし、マーケティングについて日頃そこまで触れる機会がない方もいらっしゃるので、まずはマーケティングとはなんぞやということを軽く説明させていただきます。
マーケティングの本場、アメリカのマーケティング協会によると
マーケティングとは「価値を作り、それを届けて、相手のもっている別の価値と交換する全体のプロセスを考えること」
と定義されています。
他にも、『近代マーケティングの父』『マーケティングの神様』とも呼ばれるフィリップ・コトラーはこのように語っています。
マーケティングは生産物を処分するための技術などではなく、本物の顧客価値を生み出すための活動で、顧客の生活向上を支援する概念でもある。
マーケティングの役割とは、たえず変化する人々のニーズを収益機会に転化することだ。
いずれの定義も、ちょっと小難しいですね…(汗)
まず、端的に理解していただきたいのは、販売のように直接売るという行為ではなく、「売れている状態をつくる」ことにあります。
井上さんの説明をお借りすると
①市場の定義…価値(幸せ)を届けたい相手は誰か?
②価値の定義…相手の求める価値(幸せ)は何で、何を提供できるのか?
③価値の創造…価値(幸せ)をどのような商品(サービス)にするか?
④価値の伝達…商品(サービス)をどのように伝え、選んでもらうか?
4つのプロセスで売れている状態をつくります。
マーケティングというと、広告・宣伝のイメージが強い方もいらっしゃいますが、プロセスでいうと④に該当します。
これをキャリアデザインに当てはめてみます。
まず、自分軸であっても他人軸であっても、自分が「売れている状態」をつくらないといけないということです。
当然、ニーズがなければプロとして仕事を続けることができないからです…。
2つのタイプで考えてみる
続いて、いよいよ本題である「自分軸」か「他人軸」のどちらで考えるかです。
商品には、つくり手が自分でつくりたいものをカタチにする「プロダクトアウト」と、市場を決めてニーズを探りお客様の欲しいものをつくる「マーケットイン」という2つの考え方があります。
キャリアデザインに当てはめると前者が「自分軸」、後者が「他人軸」になります。
商品もキャリアデザインも、一見後者の方が成功するように思われますが、そうとばかりは言えません。
一番の難点は「コモディティ化(同質化)」です。
みんなが求めているものは、それを提供する側も多くいます。
つまり、ライバルが多く熾烈な競争になる。マーケティング的に言えば「レッドオーシャン」に飛び込むことになります。
一方、前者はマーケットにハマればオンリーワンになれる。競合がいない(少ない)「ブルーオーシャン」に飛び込むことができます。
やはり、どちらが良いかは一概には言えず、双方のメリット・デメリットを踏まえて、双方の要素を上手く重ねることが得策のように思います。
マーケットイン的人生ならば
最後にマーケットイン的人生を歩むなら、押さえおきたい視点があります。
それは自分の価値の伝え方です。
先程も触れたように、マーケットイン型だとコモディティ化しやすいので、そこでしっかりと差別化を図らないといけません。
井上さんの話でいう④の「価値の伝達」です。
分かりやすく言うと、宣伝・広告にあたるわけですが、商品にアピールが必要なように、キャリアにおいても自己アピールが非常に重要だということです。
バンバンCMを打つ商品と、全くしない商品では、前者の方が有利となるでしょう。
ちなみに、外資系企業では「PIE(パイ)」という考え方が用いられるのですが、これは、出世や昇進などの成功には、「実力=performance」「印象=image」「露出=exposure」の3つが必要だというのです。
さて…
この3つの要素に対して、重要度の割合をどのように思われますか?
…実は一般的には「実力:印象:露出=1:3:6」と言われています。
印象と露出(アピール)で9割なのです。
恋愛でマメな人がよくモテるのと似ていませんか?
ちなみに、広告業界ではよく「単純接触効果」という言葉が使われます。
目にする(触れる)頻度が高い方が好意的な印象を持つようになる。これは仕事(キャリア)にも当てはまるかと思います。
小まめな発信(接触)が大きな差となるということですね。
noteも毎日書く方が、認知されやすくなり、親近感も湧いてくる。そういった話にも繋がってきます。
(もちろん心理的効果の話で、無理は禁物ですが…)
このようにマーケティングは日常のさまざまな場面で活用できます。
普段この分野に触れることがない方は、一度目を向けていただけると新しい発見があるかと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。