「エシカル消費」の最前線
column vol.35
エシカル消費は「倫理的な消費」のことで、環境や社会のためになる活動をしている企業を支持し、商品を購入することを指します。
対象となるのは、動物愛護、エコロジー、3R(リデュース、リユース、リサイクル)、フェアトレード、オーガニック、地産地消、文化継承、利他主義、サスティナブル、人種問題解消、ジェンダーなど、多岐に渡っています。
最近印象に残ったのが、アメリカで行った黒人差別に反対する「バイコット」運動。「買い物は投票だ」をスローガンに、レイシズム撲滅のために行動する企業の商品を積極的に買うことで、消費者が支持を表明しました。
欧米では、エシカルは企業活動とは切っても切れないテーマになっています。
欧米では「ベジタブルミート」の導入が加熱
欧米ではオーガニックは定着しており、アメリカのホールフーズ・マーケットのようなオーガニックスーパーだけではなく、一般的なスーパーでも種類豊富に取り揃えていて、一般商品の約1.5倍の価格で販売されています。
そして、動物由来の食品を避けるビーガン(完全菜食主義者)関連ビジネスも熱を帯びています。日本では美容や健康のためなど、オーガニックも含めて、どちらかというと「意識高い系」と呼ばれ、取り入れている人たちを特別視する傾向にありますが、欧米ではとても一般的です。
環境保全、動物愛護の視点から、ビーガン関連商品を選択する消費者が多いのです。その代表例が「ベジタブルミート(植物由来の素材でつくった人工肉)で、以前よりも味が向上しており、ベジタリアン対象のお店だけではなく、マクドナルドやバーガーキングなどのファーストフード店でも使用されています。
イギリスなどでは4分の1がミートフリーになっているとBBCが報じていますが、日本でも徐々にこの傾向は強まることが予想されます。
拡がる「エシカルファッション」
ヨーロッパで「エシカルファッション」という言葉が2000年前後に生まれました。分かりやすい事例で言えば、古着や3R商品、あとはレザーやファーなど動物由来の素材を使わないことで、この辺は日本でもお馴染みですね。
他にも、生産工程においてサスティナブル(持続可能)な組み立てをし、新興国とフェアトレード(公平貿易)な取引をすることなども対象となります。
H&Mでは2030年までに、ZARAでは2050年までに、100%の製品をサスティナブルな素材にすることを表明。ファーストリテイリングもサスティナブルな取り組みを推進しています。
最新のニュースでは、名古屋の老舗繊維商社「豊島」が、食品廃棄物を再活用する「フードテキスタイル」に取り組んでいる事例があったのでご紹介します。
〈Forbes JAPAN / 2020年8月22日〉
食品会社が廃棄せざるを得なかった野菜や食材を染料とし、アパレル企業などとコラボして、食材の素材に近く優しい色合いの衣服や靴を生み出しているそうです。
日本ではまだまだモードとエシカルが分けられていると思われますが、欧米ではオシャレでエシカルというのはスタンダードになっており、OMOでより世界進出しやすい状況が生まれている中、このテーマは先送りできなくなるでしょう。
エコバッグの次は「プロデュースバッグ」
誰かさんがプロデュースしたバッグではありません(笑)。「農産物(プロデュース)を入れる袋」のことです。
〈TABI LABO / 2020年8月13日〉
7月より始まったレジ袋の有料化によってエコバッグの利用を求められていますが、購入した商品をまとめる荷台にあるロール状のビニール袋は、無料のままです。
このビニール袋を節約するために使われるのが「プロデュースバッグ」です。この素材は、土に還りやすい素材を使っていることが多く、丈夫な繊維を使っていることが特徴。これまた欧米では一般的になっているそうです。
新型コロナウイルスの発生は、環境破壊などが原因であるとも言われています。各国でロックダウンする中、美しい環境が取り戻されていくことを実感した人々は、ますますサスティナブルに向けての意識を高めたはずです。
「エシカル後進国の日本」。そう呼ばれないための企業努力が一層求められていくことになるでしょう。
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