変わる「小売」の新しいカタチ
column vol.364
昨日、文化学園大学の生徒さんの有楽町マルイで行なったサスティナブル施策をご紹介しましたが、今度は横浜駅にある商業施設「ニュウマン横浜」でのポップアップ企画に協力するようですね。
〈JIJI.COM / 2021年7月15日〉
ニュウマン横浜でインパクト大のサスティナブル企画
株式会社ワールドが8月19日(木)〜9月5日(日)までの間、期間限定店舗「246st.MARKET(ニイヨンロクストリートマーケット)」を展開。
こちらのポップアップでは「GOOD FOR FUTURE」をコンセプトに、一過性のトレンドに左右されない持続可能で本質的な価値を提供するブランドを集積します。
そして、文化服装学院は産学連携企画として参加。
株式会社ワールドスペースソリューションズのVMD担当が講師を務めるインダストリアルマーチャンダイジング科を受講している学生と共に、店舗の空間創造を企画。
設営準備サポートや開催期間中の販売サポートをするそうです。
ニュウマン横浜では各階のポップアップスペースがあるのですが、その内3箇所を使うということで、かなりの目玉企画の予感…。
ニュウマン横浜は大好きでよく買い物をしているので、私もぜひ行ってみたいと思います。
ウォルマートが「巨大なメディア企業」に変身?
ちなみに、サスティナブルというテーマで言うと、アメリカのウォルマートが取り組みを強化していますね。
これまでは「エブリデー・ロー・プライス」を謳っておりましたが、今では「セービング・ピープル・マネー・ソー・ゼイ・キャン・リブ・ベター」にアップデート。
環境に良いものが棚に並ぶ、経済性と環境性の2つを両立していくスタイルになりました。
そんなウォルマートですが、驚異的な成長を遂げているのをご存知でしょうか?
食品や消費財の宅配プラットフォームの「オンライングローサリー」の急増にともない、ストアピックアップと配送のサービスが2020年度第一四半期に300%も成長しているのです。
〈現代ビジネス / 2021年7月4日〉
「ウォルマートはメディア企業と化した」――。
同店の成長のカギはDXの成功によるものですが、3つのポイントが挙げられます。
(1)3密回避需要を受けキャッシュレス機能搭載のアプリが消費者に浸透(デジタルで顧客とつながる)
(2)同アプリにより、アプリで注文・指示、店舗で商品受取の流れが加速 (デジタルで利便性向上)
(3)リアルとデジタル双方での顧客接点を活かし広告プラットフォーム事業展開 (デジタルで成長戦略展開)
決済機能を持ったスーパーアプリを独自開発し、DXを成功させることで、日用品、食料品などの巨大スーパーの利便性を画期的に押し上げられました。
もともと、世界一の小売り企業(リアル店舗)だったところに、利便性の高いスーパーアプリが導入され、圧倒的な規模をもつ「リアル×デジタルの融合」が実現。
さらに、抜かりなく「広告プラットフォーム事業」に進出し、大きな収益を手にしたというわけです。
今、日本の小売業でもOMO(オンラインとオフラインの融合)が叫ばれていますが、1つの歩むべき姿をウォルマートが示してくれていると思います。
当然、規模が違うということはありますが、他にもショッピファイとの提携など、1つのお手本企業としては押さえておきたいところですね。
コロナ禍で変わるセブンイレブンの売れ筋商品
セブン&アイ・ホールディングスが7月8日に発表した2022年2月期第1四半期(21年3~5月)連結業績は、純利益が前年同期比3倍の430億円でした。
国内コンビニ事業では、コロナ禍で小商圏化が加速しておりますが、同店でも売り場や品ぞろえを見直すなど対応を急いでいます。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2021年7月8日〉
小商圏化が進み変わったのが、ファミリータイプアイスや、冷凍食品(冷凍総菜)の購入額が増えるなど、使われ方に変化が生まれています。
さらに、食品だけでなく生活雑貨のニーズも見据え、20年12月には、一部でDAISO商品のテスト販売も開始。
コロナ禍の中、消費者の購買行動が「特定店舗で」「一度に高額利用」など、店舗利用の新しい傾向が生まれているので、そこを上手く捉えていく流れですね。
コンビニのニューノーマルショッピングが、セブンイレブンの戦略を眺めるとよく見えてきます。
「KITTE」で自律移動型の警備ロボが誕生
ニューノーマルと言えば、リアル店舗でも無人化傾向にあります。もはや、セルフレジが当たり前の時代になりました。
そんな中、東京駅前にある日本郵便株式会社の商業施設「KITTE」が、地下1階共用通路にて警備ロボットシステム「SQ-2(エスキューツー)」の実証実験を完了。
〈TECHABLE / 2021年7月3日〉
独自開発の3D LiDARを搭載し、対象物件の詳細な3Dマップ作成と自己位置推定を行い、障害物や歩行者などを検知。広視野角で狭い通路や障害物の多い場所でも安全に走行することができます。
自社開発のクラウドシステムでは、ロボットの巡回・立哨・動哨といった警備業務を遠隔地から指示することが可能。
ロボットから送られてきた情報はすべてクラウド上に蓄積され、巡回結果のレポート作成やロボットのカメラのストリーミング動画の録画・再生なども行えるのです。
人手不足が深刻な警備業界において課題解決の糸口として期待されています。
とはいえ…、昭和世代からすると何でもかんでもロボット化されるのも…とは思うこともありますね…。
リアル空間と人間の価値。
DXが急速に進行する中で、改めて熟慮しなくてはいけない課題であることを実感します。
小売業は当たり前ですが、信じられないぐらい本当に過渡期ですね(汗)