これからの時代は、会社が学校に?
column vol.213
「アプレンティスシップ」って言葉はご存知でしょうか?
私は、AMPの【大学でもインターンでもない第3の進路「アプレンティスシップ」 グーグルも注目する英ブレア元首相・長男が創設した教育スタートアップの取り組み】という記事で初めて知りました。
〈AMP / 2021年2月10日〉
本日はこちらについて話したいと思います。
コロナ禍で大学を休退学する生徒が増加
日本でも全国の大学で休退学する生徒が増えています。
〈大学ジャーナル / 2020年12月21日〉
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国の大学、大学院を10月末までに退学、休学した学生が5,238人いることが、文部科学省の全国調査で判明。
調査は11~12月、全国の大学院、大学、短期大学、高等専門学校を対象に10月末現在で退学、休学した学生数を聞き取った結果、退学した学生は2万5,008人、休学した学生は6万3,463人。
このうち、新型コロナの影響と分かった学生は退学1,033人、休学4,205人で、休退学の理由は経済的困窮、学生生活不適応、心神耗弱・疾患が多かったそうです。
他国でもアルバイトをしながら生計を立てている生徒は多いですが、パンデミックによる飲食店などの閉鎖でバイトは激減。休学・退学を余儀なくされる学生が増加。
こうした背景から、大学ではない別の手段に対する関心が高まっています。
新しい手段「アプレンティスシップ」
アプレンティスシップとは「職業実習訓練制度」。インターンに近い制度なのですが、違いは以下の通りです。
①大学生である必要はない
GSCE(英中等教育一般資格)などの学業資格試験で一定以上の成績をおさめた人なら誰でも応募できます。
②正社員ほどではないが必ず給与が支給される
そして、スキル習得にフォーカスした点も大きな違いです。
③実習生のスキルレベルを担保
インターンシップでは、場合によってはお茶くみやコピーなど終始簡単な作業しか任せてもらえないことも多いのですが、アプレンティスシップでは、その期間のスキル習得にフォーカスし、勤務時間以外でもパーソナルコーチによるアドバイスやトレーニングを提供。
アプレンティスシップが修了した時点で「認定書」を発行するとの徹底ぶり。確実にプロフェッショナルとしてのスキルを習得できます。
ちなみに、英国保険大手Chubbのアプレンティスプログラムは以下の通りです。
実習生のポジションは「データアナリシス」。市場分析やリサーチのサポートを行う。プログラムの期間は18ヵ月、給与は2万ポンド(約280万円)。応募条件は、GSCEのC〜Aグレード、またはそれに相当する学業資格を有するものとなっている。修了後には「Level 4 Data Analysis」という認定書を取得できる。
他にも、広告代理店での一例がコチラです。
「デジタルマーケティング」。期間は18ヵ月で、給与は1万5,000ポンド(約216万円)。Photoshop、After Effectsなどを活用したコンテンツ制作、SEO、広告戦略などのスキルを習得。
イギリスのアプレンティスシップのプラットフォームを提供する「Multiverse」によると、実習生のうちアプレンティスプログラムの期間中により重要な仕事を任せられたという割合は100%。
またプログラム期間中に昇給があったとの回答は91%。
さらに、アプレンティスプログラム修了後に、フルタイムのポジションをオファーされた割合も70%と高いパーセンテージです。
ちなみに、Multiverseはグーグルなどから大型の資金調達を実施。同国EdTechスタートアップとしては史上最大となる4,400万ドル(46億円)を調達したとして話題となっています。
他にもマイクロソフトやフェイスブック、エクスペディアなどの企業が、この分野をサポートしており、これから注目されることは間違いないです。
第二新卒など、新たな挑戦のエンジンに
個人的な考えですが、日本では最初の就職が結構大きな選択だと思っています。社会に出て、他の分野に挑戦したいと思っても軌道修正がしづらいのではないでしょうか?
アプレンティスシップは大学生だけを対象にしているわけではないので、仕事分野の選び直しもよりしやすくなるのでは無いかと期待しています。
また、コロナによって20代の失業率が増加していることがニュースになっていますが、再出発する若者にも最適だと思います。
正直、当社でも実施してみたいです。
特に今期は内定をもらえなかった生徒や、内定取り消しの生徒も多かったのではないでしょうか?
そういった人たちに何かしらのチャンスが提供できたら良いですね。
社内で一度、話し合ってみます!