ベーシックインカム、貧困・格差対策以外のメリット
安全保障>社会保障>生活保証>ベーシックインカム
・福利の構造
ベーシックインカムは、社会保障の一部の生活保証の、さらに一部の現金支給。
安全保障>社会保障>生活保証>ベーシックインカム
・生活保証給はすべて現金を支給するというものでもなく、現物支給できるものも。
・お金を配ること以外に、公共住宅の整備・拡充で、安価に居住環境を提供していくことも、国民の生存権の保障という観点から重要。
貧困・格差対策以外のメリット
①社会保障制度の不備の是正
支援が必要な人を行政が選択、その過程でコストが発生、選択から漏れる人が発生し、必ずしも必要な人全てに支援が行き届くとは言えない。
②行政の効率化とリソースの再配分
申請窓口の担当者、申請を審査する人の多くが余剰となり、政府部門全体でこの余剰人員を解雇の対象とすれば、公務員という身分特権が解体され、民主的かつ効率的な行政運営導入のきっかけに。
③財政
安易に政府通貨または国債を発行し政府支出を増やすと、物価上昇、民間による付加価値の創造が阻害される懸念
➃税制
・支給額を課税所得に含めないかわりに基礎控除、扶養者控除等の各種控除を廃止し、税額計算自体を簡素化することも可能に。
・税額計算自体の簡素化で、今まで雇用主責任であった税金計算・納税業務をなくし、被雇用者自ら申告納税するよう制度変更すれば、雇用者負担を減らすことも可能。
・無条件に全国民に収入が保証されるので、株式の譲渡所得などに分離課税で累進税率より低い税率を適用する根拠も薄れ、総合課税へ移行する、もしくは分離課税で税率を高くすることも可能に。
⑤景気に与える影響
消費が増えて、企業の設備投資も増え、実体経済が上向く。
⑥労働環境の変化
・最低限の収入が保障されるので、雇用者責任が軽減され、より柔軟な事業戦略、雇用戦略が可能に。
・従業員も最低限の収入が保障されることで、転職・起業など新しいことにチャレンジする意欲が高くなる。
・最低限の収入が保障されるので、人の嫌がるような業務に関してはより人材確保のために賃金は高くなる傾向に、またスキルのある人材に求人が集中するので、単純に賃金が下がることにはならない。
・収入に関係なく有意義と思う仕事を選ぶ、今までより少なく働いて他の活動に時間を割くなど、多様な働き方を実現するきっかけに。
⑦セーフティネット
・民間企業の場合、環境の変化により、経営が困難になる場合、最終責任は出資者と債権者が取るのがルール、国民であれば、ベーシックインカムにより最低限の収入が保障される。
・国民公務制と併せれば、セーフティネットがより充実。
ベーシックインカムの試算
・月5万円(年間60万円)支給すると、年間75兆円。
・政府通貨もしくは国債は財源としない。富の再配分・社会的な利害調整が原則。
・社会保障関係施策のベーシックインカムへの置き換えにより、行政の簡素化。
・年金等の社会保障のベーシックインカムへの置き換え時に発生する一時金の支払い(拠出型年金等の精算)や、公務員の退職金の不足分など一時的な支出は、特別会計の剰余金を使う、政府通貨を発行して通貨発行益で賄うこととし、この計算には含めない。
・社会保障のベーシックインカムへの置き換え(案)
高齢/遺族/家族/失業/住宅/生活保障その他 合計:77兆円(2018年度)
まとめ
①福利の構造:安全保障>社会保障>生活保証>ベーシックインカム
②お金を配ること以外に、公共住宅の整備・拡充で、安価に居住環境を提供していくことも、国民の生存権の保障という観点から重要。
③みんなが働かないで暮らせていけるということにはならない。
④ベーシックインカム導入で、格差・貧困問題の是正以外に、様々な社会構造の転換を促す可能性(社会保障制度見直し、行政の効率化とリソースの再配分、財政、税制、景気、雇用、セーフティネット、など)
⑤通貨量(国債、政府通貨)を増やしてベーシックインカムを配り、為替安、物価上昇を招くと、ベーシックインカム自体が機能しなくなるリスク。
⑥財源は富の再配分が基本で、小額から始めるのが妥当。
⑦一律ではなく支給額に強弱をつけるとすれば、高齢者、障害を持った人たちや学齢に達していない子供たちに多くに給付するアイデアもある。
例)
高齢者・障害者 ○○万円/月>成年 ○○万円/月>未成年(学齢) ○○万円/月>未成年(学齢に達していない、親権者に支給) ○○万円/月
⑧学齢に達した子供にも直接支給し、使途は本人に決めさせる、お金の使い方を学び、自立心を養うというアイデアもある。