倍々の不思議 ~紙を43回折ったら月まで届く話~
みなさんこんばんは、福田達也です。
先日友達と話していた時に、『紙を26回折ったら富士山を超えるのと聞いたけれど本当なの?』という話を聞きました。
これは本当で、仮に0.1mmの紙を折った場合、26回折ると富士山の高さを超え、43回折ると月まで届きます。不思議ですね。
数学など数を扱う分野では有名な話ですが、改めてどういう事かを考えてみたいと思います。
なぜ富士山を超えるのか
ここに0.1mmの厚さの紙があるとします。これを二つ折りにすると、その分厚さは2倍の0.2mmになります。それをさらに二つ折り、すなわち4つ折りにすると、0.2mmの2倍の0.4mmの分厚さになります。
このように、紙を2つに折るというのは、その厚さを2倍にするということを意味しています。
こうして二つ折りを繰り返す、すなわち紙の分厚さを2倍にする、という作業を繰り返していくと、紙の分厚さは、
と倍々に膨らんでいきます。この分厚さの増加量は、数学的に表すと、2の累乗として表すことができます。
それでは、26回や43回折ったときの厚さはどうなっているのか?計算してみると、以下のような高さになることがわかります。
すなわち、26回折った時には高さ6,711m、43回折った時には880,000 kmもの高さになっています。富士山の高さが3776m、月までの距離が384,400 kmですので、確かに超えている事がわかります。
実際何回ぐらい折れるのか
これを聞いた時、『めっちゃ大きい紙を用意したら20回ぐらいだったら折れそうなのに…』と思ったこともあります。実際、非常に大きな紙を用意した場合、どれぐらい折り重ねられるものなのでしょうか。
ギネス記録では、薄いトイレットペーパーを使った1次元折り(1方向へだけ折る)でも13回が限界だったそうです。その時の様子はこちら。
動画を見てみればわかりますが、13回でもとんでもなく分厚くなっています。それも、非常に長い紙を準備して、歪まないように大人数で慎重に折りたたみ、そして適度にプレスをして膨らまないようにしての結果です。
ちなみに、目の前にあったA3用紙で試してみました所、6回が限界でした。どんなに頑張っても7回以上折ることはできなさそうです。
簡単そうに見えても難しいこと
紙を折り続けるのがいかに難しいのかという話でしたが、直観に反する部分には、3つほどポイントがあるように思いました。
1つのポイントは、厚さなど普段考えたことのないような薄い紙であっても、その厚さはゼロでは無いということです。最初はたったの0.1mmであったとしても、積み重ねるほど分厚さは増していきます。
2つ目のポイントは、当たり前ですが紙を折る時には折り目が必要なことです。仮に1mの厚さの紙を二つ折りするのだとしたら、その折り目は2m以上になります。100mの紙を折るなら200m…確かに段々と折れなくなっていくイメージが湧きますね。
3つ目のポイントは、折り重ねる分、もとの紙の長さや広さが必要なことです。折った紙を広げるイメージをしてみると、一回広げるとは面積が2倍になるということ。2倍の2倍の2倍の…としていけばあっという間に自分の部屋では収まらない面積になるでしょう。
余談
ちなみに、倍々ゲームの有名な逸話の一つに、豊臣秀吉のお供の一人である
曽呂利新左衛門のお話があります。
ある時、秀吉に褒美に何が欲しいかと聞かれた曽呂利新左衛門。彼は、褒美はお米一粒で良いといいます。その代わりに、100日間の間、毎日その数を2倍にして欲しいと。
最初のうちの小さな数に欺かれて、秀吉公は「それだけで良いのか、無欲な奴め」と了承しました。
結果は推して知るべし、ですね。100日後には膨大な数になると気づいた秀吉公は、途中で褒美を変えてもらうようにお願いしたそうです。
終わりに
今回は、ものが倍々で増えていくといかに数字が爆発的に大きくなるかという話をしました。
数学と聞くと難しそうに思える話も、身近なもので例えてみると意外と面白かったりするなと思います。また別の機会に、面白いパラドックスなんかも紹介していきたいですね。
本日も読んでいただきありがとうございました。
また別の記事でお会いできるのを楽しみにしています。