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ナンナ・エグー 「両親の背中」

ナンナ・エグー。
僕にとっては不思議な選手だった。

ナンナは常に全力で、仲間のために体を張れるハードワーカー。その姿勢はチームが大敗している時でも、自分の調子が悪い時でも全く変わらなかった。

「プロだから当たり前だろ」と思う人もいるかもしれない。でもね、実際にできる選手とできない選手がいるのは事実。そして、ナンナはできる選手の中でもずば抜けたハードワーカーだった。

「なぜ、ナンナはハードワークできるのか?」今回はこれをテーマにナンナのことを深く掘り下げるZ!

1.ハードワーク=ナンナ

まず、ナンナのハードワークがこれまでにどう評価されてきたかを調べてみた。

・高校時代
『ナンナはスキルのある選手ではない。しかし、鹿のように走り、常にハッスルした。そして、その熱意は周りに伝染した』
・大学時代
『ナンナは全てのゲーム、全ての練習、全てのミーティングにプロ選手のような情熱で取り組んだ』
『ハードワークの定義とはナンナ・エグーのことだ』
・ケアンズ・タイパンズ
(プロ2年目に所属したチーム)
『ナンナは素晴らしい人物だった。この土地の文化や、我々のバスケに上手くアジャストし、試合や練習に対してハードに取り組んでいた』
・ブリスベン・バレッツ
(2018年に所属したチーム)
『ナンナはリバウンドを取ることでき、素晴らしいスクリーナーで、ミドルシュートが得意で、チームで一番のハードワーカーだった』

表現に多少の差異はあるが、ナンナのハードワークは年齢も場所もチームも関係なく評価が高い。これらの高い評価に対して、当の本人は次のように語っている。

『僕のバスケに対する姿勢や行動は両親から大きな影響を受けている』

「なぜ、ナンナはハードワークできるのか?」この疑問の答えはどうやら彼の両親にあるようだ。よし、次はナンナの両親のことを調べてみよう。

2.シカゴブルズに憧れて

ナイジェリアで生まれたナンナは、5歳の時、家族と共にアメリカ・イリノイ州・シカゴに移住した。シカゴに住む多くの子供たちと同様に、シカゴブルズからバスケに興味を持ったナンナは、地区のバスケチームに入ろうとしたが、彼の母親はそれを許さなかった。

「背が高いからといって、バスケ選手になる必要はない」

「スポーツは仕事にならない」

「勉強してエンジニアか医者を目指しなさい」

と、母親はナンナにバスケよりも勉強をするように促した。

なぜ、母親はバスケに反対したんだろうか。実はこの理由がナンナのハードワークに大きく関係している。

3.母親の思い

ナイジェリア出身のナンナの両親はアメリカで経済的に厳しい生活を送っていた。

父親はナンナを含む4人の子供を毎朝6時30分に車で学校に送り、2種の仕事を掛け持ちして帰宅するのはいつも深夜だった。

母親はナイジェリアの学歴しかない理由で就職できなかった。

「私は毎晩泣いていた。シカゴの生活が苦しくてナイジェリアに帰りたかった」

当時の心情をこのように振り返るほど生活は苦しかった。それでも、子供の将来を考えて我慢した。必死に勉強して看護師の資格をとり、最終的には病院の夜勤で働いた。

そんな経験から、母親は『教育が成功への近道』という考えを持つようになった。「私たちのような苦労をさせたくない」「学歴をつけて給料の高い仕事に就いて欲しい」そう思ったから、バスケよりも勉強だとナンナに言い続けた。

4.親の背を見て子は育つ

結局、ナンナがバスケチームに入れたのは中学2年(8th grader)だった。夏の間に週1回、限られたプレー機会だったが、ナンナにとっては夢にまで見た大切な時間だった。

バスケに反対していた母親はナンナのプレーする姿を初めて見た時、

「まるで彼の天国を見つけたような気分だった」

と考えを改め、ナンナのバスケ人生がやっと始まった。

ナンナはスタートが遅かったこともあり、スキルは周りの子より劣っていた。しかし、大きい体とハードワークは誰よりも目立ち、高校1年の時には既に大学リクルートの注目選手になっていた。

このハードワークはコーチから教わったものではない。

「僕は両親が僕たち子供をサポートするために一生懸命働いてくれていることを理解している」

ナンナは父親が寝る時間を削って毎日働いていることや母親が無職の状態から努力して資格をとり就職したことをリスペクトしていた。だから、両親のようになりたくて、コート上で父親のように勤勉にプレーし、母親のように困難な状況でも諦めずに戦うようになった。

ナンナの母親は生活に苦労したからこそ、ナンナをバスケから遠ざけようとした。一方、ナンナは母親の苦労を見てきたからこそ、どんな困難でもハードワークできるバスケ選手に成長し、世界で活躍できるようになった。

「なぜ、ナンナはハードワークできるのか?」

ナンナはスポーツ界で知られるハードワークをやろうとしたわけではない。リスペクトしている両親をトレースした行動が結果的に高く評価されるハードワークになっていただけだった。

5.最後に

ナンナの母親は当時の苦しい生活を振り返った後、以下の言葉を付け加えている。

「I toughed it out. Now, all is well」(※)
(※):原文のまま。敢えて訳しません。

僕はこの言葉がナンナそのものだと思った。負けが込んで元気のなかった昨季のアスフレにおいて、ナンナのパフォーマンスだけはずっと変わらなかった。きっと、「I toughed it out. Now, all is well」という母親の考え・行動を受け継いでいたんだね。

今季は色々と制約があって難しいシーズンになるのは間違いない。だからこそ、苦しい状況でもブレずに戦えるナンナがキャプテンとして在籍しているのは本当に頼もしい。

最後、シーズンが終わった時、

「We toughed it out. Now, all is well」

って言えるように、選手もファンも皆で頑張ろう。

今季もよろしく頼むよ、ナンナ。

では、また
Go win Z!!!

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