#14 Presence Ⅳ
これはまだ僕に子供が生まれる前の話。
2023年12月に今の妻と付き合い始め、
2024年3月に妊娠発覚、結婚を決意。
2024年4月にコールセンターのセンター長に昇格。
2024年6月には限界を迎え、休職届を出す。
2024年8月20日より、以下につづく、休職振り返り記を書き始めた。
2024年8月20日に初回。
2024年8月21日に2回目。
2024年8月25日に3回目。
2024年8月29日に、わっと一息で書いたのが以下。
Presence Ⅳ
欝々
家でうつうつとしていてもしょうがない。
あと身体を動かしたほうがメンタルにも良いとのことで散歩に出た。
というか、夕方になり妻が帰ってくると家でサボってる感じになり居づらかったからだ。
生命
日が沈み始める時間帯とはいえ、気温が高く億劫だった。
気持ちを上げるためイヤフォンで音楽をランダム再生しながら歩く。
ちょうど小沢健二の『ラブリー』という楽曲に行き当たった。昔から大好きな一曲である。
ここ最近は歩くこともしなかったが、夕暮れの河川敷に繰り出すと様々なものに気づく。
進行方向の住宅街へ太陽が沈もうとしている。
水面は夕日で強烈なオレンジ色に輝き、それでいて静かに流れる。
魚たちはめいめいにねぐらへ帰る。
名も知らぬ背の高い植物が背丈を競うように川辺に密集して生えている。
よく見れば亀もその草むらに入ろうとのんびり歩いている。
くちばしの黒い水鳥が川の真ん中に立ち周囲ににらみをきかせている。
中洲の鉄塔にぎゃあぎゃあと鳴き声をたてながらカラスが集まる。
堤防の上で人に慣れすぎて逃げない猫が眠そうにたたずんでいる。
スポーツウェアでサングラスをかけた、同世代くらいの男性がランニングで僕を追い越す。
おじいさんが向こう岸を見ながら紙巻きたばこをくわえている。
部活終わりと思われる中学生が自転車で家路についている。
ベビーカーを押す若い夫婦とすれ違う。
ふと気づけば曲を聴いているようで聴いていないような状態で、心中でなにか勝手にゴールにたどり着いたような心境に至っていた。
今まで目もくれなかった場所だが、近所の河川敷は思っていたよりも意思にあふれた場所だった。
様々な事象・生き物から気持ちの矢印が伸び、たゆまぬ行動力であふれているように感じた。うらやましいと思った。
そして、休職に至る前の自分はやりたいことの意思がなく、
ただ「こうしなくてはならない」という一念でのみ行動し
最終的に病んでしまったんだなと、目の前の情景とオザケンの楽曲とで、瞬時に理解できた気がした。
本当はもっと昔から、こんなことは言語化されてなくてもわかっていたはずだ。ただ目の前の課題を大きすぎる形にとらえすぎていた。
この瞬間が、その時耳にしていたオザケンの歌詞を借りるなら
「Life is coming back!」であり
自分の興味が向くことを、自らの意思をもってやろう!と決意を持った瞬間だった。
具体的に言うと仕事をやめよう!と強く決意した。
退職(Life is coming back!)
その後、会社の上司とのウンザリするようなやり取りを経て8月末にて退職と相成った。
具体的なやり取りはもう書かないが、もう数か月我慢して小銭をもらう方法もあった。が、もうかかわりたくないと思って全力で逃げた。それはもう逃げた。
経済的に不安定となり、出産を控えた妻には申し訳ないことをしたが自分の気持ちはとても晴れやかなものとなった。
そして8月に入り僕を気遣ってくれた大学の友人たちとの旅行に行く。ここの頃から、自分の気持ちを書き出して行こうと決意し、その頃の友人たちが細々とログインしていた限界集落・mixiの再開へとつながっていく。