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レリゴーのメタファーを考える【アナと雪の女王/歌詞/解説】

前置き

(本題に入る前に述べること)

この記事は岡田斗司夫さんの「アナと雪の女王」を題にした動画を元に作られた記事です

参考動画は一番下にハイパーリンクが有ります

元の動画は30分程度有りますので、ゆっくり楽しみたい方はそちらもご覧になるとより「アナと雪の女王」を楽しめます

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「アナ雪(無印)」と「Let It Go〜ありのままで〜」の歌詞についての内容などを説明

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2021年11月12日と翌週(19日)は金曜ロードショーで「アナと雪の女王」と「アナと雪の女王2」が放映されるそうです

そこで、当時知らぬ人は居ないのでは無いかと思うほどのムーブメントを起こした、いわゆる「レリゴー」こと、「Let It Go〜ありのままで〜」について解説した

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作品あらすじ


まず、アナ雪(無印)のストーリーについて触れる

※ネタバレ注意

この作品は、姉妹のストーリーであり、タイトルで雪の女王と表現されている、姉のエルサと妹アナの話である

エルサは女王として即位することとなるのだが、その即位のお披露目の際に、妹のアナは隣国の王子に恋をする

エルサは、妹アナの早すぎる決断に不快を示す

そんないざこざが発端かエルサは隠していた雪や氷を発生させたり操作する魔法の力を知られ、都を逃げだす

エルサは逃げ込んだ山で、Let It Goの曲にあわせ氷の城を作って行く、あの有名なシーンとなる

エルサは自分を抑えつけるのをやめて独りで生きようと決意するのだが…


その後の物語はあなたが実際に作品を見て確かめてもらうとしよう

全てを解説していると記事が長くなりすぎるので、ここまでとする

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歌詞から紐解くLet It Goその1

さて、あの氷の城が建っていくシーンでかかる有名な曲となった「レット・イット・ゴー」、いわゆるレリゴーだが

日本語では「Let It Go」の部分は歌い変えられ、「ありのままの」という歌詞になっている

本来あの Let It Goとはどうゆう意味をもっていたのか?

この記事ではそこを深く考えていきたい

解説する際に問題となるのは

そもそも日本語と英語では、使える言葉の量に差があるということ

ありの〜ままの〜♪

の部分だけでも日本での「Let It Go〜ありのままで〜」は音符ひとつごとに1つの語しかのせられない

しかし、英語では「ありのままの」部分だけで

Let It Go、Let It Go

と、それ(日本語の歌詞)よりも多くの語を音符にのせることができる

今回はあえてこの部分だけ大袈裟に切り取って書いているが、

とかく歌詞にのせることのできる言葉の量に大きく差が出てくるのだ

よって日本語の歌詞では、縮めなければならない

これにより、本来の英語の歌が日本語の「Let It Go〜ありのままで〜」になったことで替え歌として変容している理由のひとつであろう

では、この Let It Go、日本語に訳すならどんな意味になるのだろうか?

Let It Go Let It Go という表現は

もうどうだっていい、本当にどうでもいい

と言った感じだろうか、もう元には戻れないや、といった意味がこの後の歌詞に続く言葉の流れだ

これだけでは分からないので、歌詞を順に見ていくことにする

「Let It Go〜ありのままで〜」の歌詞が分からない方には下記を参考にしてもらうと良いだろう

日本語版 歌詞

UtaTen

英語版 歌詞

UtaTen

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歌詞解説1、エルサ変貌


先ほどストーリー紹介で触れたとおり

王女としてのエルサがこれまで人間として生きていたが、それが変わっていくことが表現されている

頑張って良い姉であり、良い女王になろうとしていたエルサが、それを辞め、山を登り進めていく

山を登る途中、エルサが纏っていたマントは本来雪から自分の身を守る道具なのだが

しだいに雪によって重くなる、邪魔なものになっていく

それは、これまで纏っていた責任感の重さが段々と重荷になっていくことの暗示にも感じられる

後に「少しも寒くないわ」♪という歌詞が出てくるので分かるが、このしがらみ(マント)を捨て去る表現が作中の映像表現としてなされている

シーン冒頭ではエルサは寒がっているが、この後は踊るように寒さを感じさせない動きに変わっていく

このミュージカルのような歌の表現の最中にエルサが変わっていくのだ

歌の途中、変貌する前のエルサの絶望感を示す表現があるが、全て説明していくと長くなりすぎるので省略する

元の英語の歌詞の文章を読み解いていけばわかるが、「風が心に囁くの、このままじゃ駄目なんだと」♪

の部分はかなりの悲壮感(悲しい出来事のなかで、雄々しく立派に振る舞うようす)が表現されている

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歌詞解説2、エルサ籠城

解説を
日本語の歌詞では

「戸惑い、傷つき、誰にも打ち明けられずに、悩んでた、それももう、辞めよう」♪

で表現されている部分へ移ろう

元の英語の歌詞にはもっと多くの意味が込められているので、日本語の歌詞だけでは伝わりづらいが

王女として育つエルサは

子供の頃から親の真似をし、尊敬される王女となるべく頑張っていたのだが、

あぁ、もう彼ら(国民や妹のアナ)は知ってしまった

自分が魔法を使えることがバレてしまった

その絶望

それゆえに

ここでエルサが手袋を取る描写がなされる

この「手袋を取る」表現は何かというと

その手袋はエルサの魔法を制御しており、

いわばセーフティー、安全装置なのである

己(エルサ)の氷の魔法の力を封じ込める

封印装備なのだ

それ(手袋)をとって、自分のパワーを思う存分使っていく描写がなされていくのだ

だから、このミュージカルのような歌と映像表現の最中に氷の城が建つのである

いわば、これまでの重荷や、自分の本来の力を封じ込める物を取り払い、己(エルサ)の力の解放、を表現するシーンでもある

よって、「ありのままで」という表現となるのだ

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歌詞から紐解くLet It Goその2


そろそろ、本題である歌の最も盛り上がる部分のレリゴーの部分へ話を移していく

日本語では、「ありの〜ままの〜」♪の部分だが

英語では
Let it go, let it go Can't hold it back anymore

(レット イット ゴー、レット イット ゴー、キャント ホールド イット バック エニモア)

この
Can't hold it back anymore 

は「これ以上抑えられない」といった意味だと言えば適切であろうか

では、今回の記事のキモ
肝腎、肝心(とりわけ大切である)部分である

Let it goとは何か?

先ほど説明した通り

もうどうだっていい、本当にどうでもいい

という表現に近いのだが、

どうゆう時に使う言葉かと言えば、

例えば、彼女にフられた友達(未練を引きずって語る相手)に対してかける励ましに近い言葉だと思ってもらうと分かりやすいかもしれない

未練タラタラな相手(男友達)に対して、

もういいじゃないか、(そんな相手(元彼女)なんて))
忘れろよ

というふうにかける言葉に近い

もうどうなったっていいの!!

といった意味を持った表現である

今回は自分(エルサ)が自分に対して語りかけているので、

もう良いわ、これ以上は無理よ!

という逆上(怒り・悲しみ・驚き・悔しさ等のあまり、血が頭にあがって、取り乱す)から

あの氷の城が作り上げられていく、というシーンなのである

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後にオラフとなる物の誕生


レリゴーがかかっている時にどんな事が起きているのかの表現について書いたで、ここからはもっと深く考えるため

歌詞と、その時の映像描写に連動させての解説はここまでにしておいて

少し話を変え、少し違った角度からエルサを見ていこうと思う

このレリゴーの後、(もういいやと思った後に)雪玉、雪だるま(その後、この話の大事な登場物となるオラフ)を作る描写があるのだが

向こうの文化

つまり、キリスト教の文化圏では

物を作って、それを命を与え、それが次第に動き出す表現というのは魔女のなすことと同じである

そう、魔女の所業なのだ

ゲームとかをやる人からしたらゴーレムを作る悪の研究者みたいなキャラをイメージしてもらう方が分かりやすいのかもしれない

ゴーレムとは
ユダヤ教の伝承に登場する自分で動く泥人形
(「ゴーレム」とはヘブライ語で「胎児」を意味する)

エルサが笑顔で雪玉作るシーンが描かれている

この辺がなぜ、オラフというキャラを雪だるまにしたのか?

その理由のメタファーがここから推察(考えられる)

メタファーとは
隠喩(いんゆ)のとこで

隠喩とは、暗喩のことであり

文章やスピーチなどに豊かな表現を与えるための技のひとつ

これが分かるには

比喩(ひゆ)

を知る必要が有る

比喩とは?

言葉を文字通りの使い方あるいは標準的な使い方とは別の方法で用いること

分かりやすく言えば、洒落(シャレ)などが、これに近いものである

この比喩であることを

明示しないもの

明らかでないから暗喩

つまり、比喩を明示しないものを隠喩

メタファーである。

と考えることができる

言葉ではそういいつつも、実際には思っていることは違う様な時などにしばしば皮肉のように表現されたりもする

●表の部分
楽しそうに雪玉を作り、命を吹き込む
(オラフが作り出される)

●裏の部分
エルサが逆上し、魔女へと変わる
狂気し、舞踊り、歌い、悪魔的力で凄まじい力を発揮する(氷城を作り、都に雪を降らせる)

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狂気し、魔女と化す

これが何を指すのか?

日本の漫画で例えるならばアレに近いだろう

アレとは

例えば少女のキャラクターが

そうだ!分かった!、殺せば良いんだ!、アハハハハ

この様に気が狂って、笑い出すシーンを想像してもらうと分かりやすいのではないか?

この様に、単に映像を見るだけでは解き放たれたエルサが単に楽しそうに雪玉を作るという風に見えなくも無いが

考えていくと
狂気の魔女が、怪物を生み出していることを暗喩されているのでは無いか?と考えることもできるのだ

この様に、都を出た女王が絶望感から閉じこもるが、

それをこれまでの柵(しがらみ)からの解放、

もうこれで良いの!

という自由を得た解放であるとか、吹っ切れた、ありのままの私で生きるといった良い意味としての表現になっているが

この作品で描かれる世界に潜む作られ方はそんなに良い物では無い様な気もする

もちろんこれは、昨今の男女平等を叫ぶ女性の女はこうあるべきという刷り込みから解放して欲しいという意識から作られるものなのかもしれないし、

自制心に関わる話でもある

自制とは、

セルフコントロール

誘惑や衝動に直面した際に、自己の意思で感情、思考、行動を抑制することである

この自制心が強い人が、変貌する様子の描写するシーン

エルサは品格ある女王になろうと思考を制御していた

この自制心から解放されていく、悲しさといった表現は

日本語の「Let It Goありのままで」では、歌詞にのせられる語彙の量の都合上、替え歌として変化させざるを得ず

ありのままの自分になるの!

という表現しか無く

狂っていくことで解放されていく悲しさという真相(物事の本当の姿)を見せる、聞かせることが抜け落ちてしまっている

よって、子供たちにディズニーの魔法が使えるヒロイン(女主人公)もののに見せつつ

その子供を連れて映画を見に行く母親や祖母に対して暗示させる

自分の本来の気持ちの表れにより、悪魔に取り憑かれたかとような狂気を見せているのではないか?

「もう辞めよう」♪という歌詞から滲み出る
もうバレてしまったから隠さず生きることを決める
もう隠さなくて良いんだわ、ハハハハの

虚しく(形だけで中身の無い)笑う表現

本当に楽しくて笑うのではなく、狂気から来る笑い

映像描写では、楽しく雪玉を作っているかのように子供にはみせかけるが、裏には違う意味を持たせているのではないか?と感じさせるのだ

超能力を持つ主人公が自分の力に苦しむという話しは色々なアニメにおいてある表現だが、

その苦しみからダークサイド、敵役、ヴィラン(悪役)に落ちていくのだ

エルサの場合、自分の雪や氷を生み出すパワーによって苦しむ

そこから都から抜けて閉じこもろうとする

しかし、その行為によって無意識に王都を苦しめているとも知らず…

作品のネタバレが多くなりすぎるので、深くは
触れないが

自由を手に入れるが孤独に陥る

しかし、その行為というものは反社会的でるというか

王女という立場の人間が逃げたことで民衆を寒さで困らせることに繋がっていたのである

悪気のないテロリズム

テロとは、何らかの政治的な目的を達成するために暴力や脅迫を用いることであり

王に即位し、これから責務をまっとうするべきという時に、その責任から逃げるために城に立て篭もる

王室を投げ出す行為への非難(自分の行動や言動が社会的または道徳的に無責任で否定的な発言をした者に責任を負う行為)

が作中に込められている可能性もある

「女」は、こうあるべき

「王」は、こうあるべき

結婚もしくはパートナー選びはこうあるべき

というしがらみがこの作品からどうゆうものなのか考えることもできるのかもしれない

2021年は日本は王室の女性が結婚するという出来事があっただけに、この記事を書くときに○○ってこうあるべきという言葉が頭をよぎる

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そこから続く日本語の歌詞では

「何も、怖くない、風よ吹け、少しも寒くないわ」♪

となっているが

少しも寒くないわ
この自身は魔女と化し寒さを感じなくなっている

風よ吹け
どんな極寒になろうと関係ない、私が苦しまないなら国民はどうなろうと良いということか?

英語の歌詞になれば、色々な他にも単語が入っていてもう少しわかりやすいかもしれないが、ひとつづ解説していくとより長くなるので省略する

そのような事が作品のメタファーなのかと推測することができる

他にも王子とのキスに秘められた、白雪姫のようには行かない、この作品に込められた愛の謎

記憶を封じられた秘密など

色々と書けるところはあるのだが、力尽きたのでここまで
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まとめ

自制心が強い人ほど、吹っ切れた時の反動が大きい可能性があるのではないか

もういいわ!とヒステリックになった若い女性のパワーは凄まじい

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参考動画

【UG# 266】2019/1/27金ロー『アナと雪の女王』子供になんてものを!“Let It Go”の真実の意味
岡田斗司夫のYouTubeチャンネル

松たか子ver(日本語吹替版)「Let It Go」

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