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間伐作業からの薪づくり
当施設では、薪ストーブが冬季の主暖房である。燃料の薪は、いまのところ敷地内の間伐材でまかなっており、購入することはない。したがって燃料代はゼロではあるのだが、薪づくりはなかなかにして重労働であって、そのコストを換算すると、必ずしも石油ストーブに対して優位性があるとは言い難いところが微妙である。
間伐した樹を整えて管理する
間伐とは、「森林の成長に応じて樹木の一部を伐採し、過密となった林内密度を調整する作業」である(出典:林野庁)。また、建築物を建てたり、クルマが通れる小道を造成する際にも大量の伐木が発生する。これらを蓄積しておいて、随時薪に加工するわけだ。
伐倒した樹はチェンソーで枝を払い、だいたい2m10cmごとに切り揃えて積み上げておく。なぜ2m10cmかというと、薪1本の長さが35cmなので、その倍数にしておけば後々の作業が効率的だからだ。
丸太は土に触れていると腐敗してしまうので、ベースに犠牲となる丸太を敷き、その上に丸太を積み上げて、できるだけ水はけをよくしておく。養生シートは必ずしも必要ではないが、養生する場合は全体を覆わず、風がとおるようにする。
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地道な『玉切り』と『薪割り』
次に行うのが『玉切り』だ。2m10cmの丸太に35cmおきに印をつけて、チェンソーで切断する。この作業がなかなかつらく、重いチェンソーを構えたままカラダを折った姿勢を維持するので腰にくる。あまりにつらいので、速攻で玉切り台を自作したが、太い丸太は台に載せるのも難しいので、結局、中腰作業を強いられることになる。
こうして苦労して玉切りした材を、薪割り機で割って薪とする。『薪割り』といえば、マサカリを振り下ろす作業を想像するかもしれないが、そんなことをしていたら、それこそ腰がどうにかなりそうだ。昔の人はエラかった。
当施設で活躍する薪割り機は、電動モーターによる油圧作動で10tのパワーがある。巨木を割るには無理があるが、当地の間伐材は太くても直径20cm程度なので、これで十分である。
玉切りにしても、薪割りにしても、実に地道な作業だ。量が量だけに、独りでやっていると心が折れそうになる。
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割った薪を乾燥させて翌シーズンに備える
薪割りしてすぐに燃やせるかというと、燃えることは燃えるが、そのままでは水分が多く完全燃焼しない。不完全燃焼によるススやタールはストーブ内部や煙突を汚し、最悪、煙突火災を生じる場合があるから、薪割り後はしっかり乾燥させることが重要だ。一般的に、薪割り後、最低でも1年間は乾燥期間が必要とされている。
以下のサイトがわかりやすく説明してくれている。
当施設では、割った薪はガレージ内のスチールラックに収めている。5台あるラック一杯に薪を詰めた状態で約6立米、ほぼ1シーズン分の消費量となる。
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ここ赤井川村の主産業は農業で、施設の近隣にも農家が点在している。農家の多くが薪ストーブを利用しており、雪が解けて畑仕事が繁忙期に入る前の4月頃になると、あちこちで薪割り作業をしている光景を目にする。
薪づくりは決して楽しい作業とはいえないが、これも山暮らしの大切な風物詩と思えば、気持ちも少しは紛れるというものだ。