仏教入門講座①
●苦は無明から生じ.愚心に付き随う…
前書き…
仏教とは約2500年前に.お釈迦さまが見い出された真理(真実)に基づいた[苦からの脱出法]であり.人を安全.安心.平安.静逸.涅槃(ニルヴァーナ)へと導く為のものだあるのです…
世の中に溢れている仏教を名乗るプラパンチャ(戯れ言.能書き.空理空論.形而上の観念.妄想.世迷言…)なものとは異なる深淵で微妙なものなのです…
では何が深淵で.何が微妙なのかと言えば…
仏教とは刹那的でも.享楽的でもなく.悲観的でも.楽観的でもない.唯一無二なの現実的な教えであって.全てが常なく変化生滅しながら移りゆくこの世界の実相である.全ては現れては消える現象的な存在であって.変化生滅して行かない実存的(創造神や常住仏など)なものなど存在し得ない世界である実相である.
全ての現象は不安定性(苦)の安定化運動であり.人間の精神作用(色受想行識)も同じで.全ては不安定性(苦)からの安定化運動であり.安定(楽)を欲して.成長し.膨張し.発展して行こうという.苦から逃れようする安定化運動に他ならないなど.深淵で.微妙で.見難い.実相(真理)に基づく教えなのです…
第一章 人みな無明あり
お釈迦様は仰った…
一切の苦悩(ドゥッカ)は.無明(無知)から生まれる…
無明ゆえに偏った見方をしたり.執着.愛着したりして苦しむのだ…
⚫無明とは何か？
❖過去.現在.未来の関係性を知らぬこと
❖内界と外界との関係性を知らぬこと
❖行為と結果との関係性を知らぬこと
❖仏の教えを知らず.苦悩に終止符をうつ術を知らぬこと
❖四聖諦(苦集滅道)を知らず.苦悩(ドゥッカ)を止める実践的方法を知らぬこと
❖原因とそれが引き起こす一切の果報を知らず、善か不善か、有罪か無罪か、良し悪し、浄不浄の分別、縁起(相対的関係性)を知らず、何も知らないこと
❖六根(眼耳鼻舌身意)が惹き起す結果を如実に知らぬこと、自我意識や渇望.愛着の原因が縁起(相対的関係性)によって生じていることを知らず.気付かず.或いは部分的にしか理解していないこと
⚫苦(ドゥッカ)は愚心に付き従う
私達が自分だと思い込んでいるものは…
それは私達の想念の産物(心の反映)であり.人それぞれの想念により如何ようにも見え方が変わるのです…
この世界も同じように自分の想念が妄想しているものであり現実を正確には映し出してはいないのです…
間違った想念に基づき考えたり.話したり.行ったりすれば.煩悩や苦しみが我々に付き従う…
正しい想念に基づき考えたり話したり行ったりすれば悦楽や喜びが我々に付き従う…
心が楽しければ.花も雲も世界さえも希望と微笑みに満ちているように見えるが.心が悲しみに沈んでいれば.風も海も世界さえも咽び泣いているように見えるもの…
私達が暮らす世界は気持ちしだいで如何ようにも変わってゆくのです…
恨み辛みを抱いて執着していれば.恨み辛みの毎日を送ることとなり.恨み辛みなど許し忘れて.解き放たれれば.悦楽に充たされた快適な毎日を送る事となるのです…
[この世の中に.恨み辛みを以って恨み辛みを除いたためしはなく.恨み辛みを除くのは.慈悲の心だけ…万古不易の真理]
●実践が唯一の道
真理は実践によって到達するもの…
形而上の議論.単なる知識や情報(プラパンチャ)などは.何の助けにもならないのです…
絵に描いた餅を.美味そうだ.不味そうだと論評して.真には何にも味わえないのです…
我々を正しい修養に導くことも.執着や煩悩を取り除いて解き放ってくれもしないのですから…
形而上の議論や問題は.苦を取り除く役に立つどころか.却って人を欲深くさせるだけなのです…
●空理空論は無益
世界を構成する要素とは何か…
それは眼.耳.鼻.舌.身.意(六根)と.それらの対象である色.声.香.味.触.法(六竟).これらの出会いが.世界の全てを構成しているのです…
◆苦からの脱出
仏教な目標は.苦からの脱出であり.それは即ち自己救済であり.堅固な幸福の実現なのです…
しかし社会には.悩み苦しむ自分一人さえ救えない.浅薄な人達や.作為ある人達が.口先で.他者救済や慈悲を唱えながら.他者をカルトへと誘い込もうと張り巡らしている罠に引っ掛かっては.折角の仏教との御縁を台無しにしてしまいます…
他者救済や慈悲とは.自分が救われた後に現れるものであり.真の幸福の実現とは.机上の空理空論や形而上学.神秘思想.カルト思想などが入り込む余地など全くない.現実を直視した実践の中に造り出されるものなのですから…
【 定義集 】
○ドゥッカ(苦しみ)
不安定さ.不完全さ.苦しみ.悩み.憂い.難儀.迷い.心痛.嫉妬.憎しみ.恐怖.哀しさ.悔い.飽き.儚さ.脆さ.弱さ.空虚さ.惨めさ.実質のなさ.不満.怒り.無常さ.無明.欲望.渇き.思い通りにならない現実など…
○スカ
悦楽.快感.歓喜.幸福.平穏.安心.静逸など
○所有の次元の事物
金銭.財産.物欲.地位.名誉.称号.身分.権威.権利.承認.理解.権力.勢力.威力.家族.仲間.健康.長寿.容姿.知識.情報など
○存在の次元
人間性.精神性.人格.人の質.人柄.器量.知性.教養.存在価値.本質.性質など
○プラパンチャ
戯れ言.能書き.空理空論.形而上の観念.世迷言.綺麗事.フィクション.カルトなど
○アガティ(真実を歪める心理フィルター)
思い込み.偏見.勘違い.欲目.固定観念.既成概念.錯覚.誤解.色メガネ.無知.主観.感覚.感情など