Kokoa Kamili
アフリカ、タンザニアに、良質なカカオと気持ちの良いコミュニティの両方を作っている“Kokoa Kamili” というカカオ施設があり、素晴らしいエコシステムを築いていると聞き、訪れてみたいと思っていました。
2019年に訪れる予定があったのですが、パンデミックが起こり中止になっていたのです。
Kokoa Kamili までは、キリマンジャロからチャーター機で2時間。無人の滑走路のみの空港に着陸し、そこから車で2時間、モロゴロ州イファカラ、ムビング村にあります。
2013年にインドネシア人のシムラン氏が創業したこの施設は、10年間で5トンだった生産量を230トンまで引き上げ、10年で46倍に。スタート時数人だった従業員も、約200人まで増えているというのだから驚きの成長率です。
その仕組みを知るために、ここまでやって来ました!
タンザニアの中でもムビング村はかなりの田舎です。家の壁は泥で出来ていて、洗濯は川でしていますし、村に外食らしき店はありません。
ホテルがないので、僕は修道院に泊めてもらいました(ちょっと怖いですがガマンです)。
何軒かの農家に取材に行くと、農民達の暮らしが、Kokoa Kamili が来てから大きく変わった、新しい家が建ち、子供達を大学に通わせているというのだから、信じられません。
朝8:30、工場には130人のスタッフが集まり、朝礼と掃除から始まります(アフリカの田舎では信じられない光景)。
発酵や乾燥、選別、袋詰めに配送まで全ての業務を見せてもらいました。発酵に関しては、常にカカオの温度を計り、糖度や水分量をチェックし、カットテストを行いながら、発酵状態を把握し記録を残すという、当たり前ですが手間のかかることをきめ細かく管理していて、クオリティに対して意識の高さを感じました。
乾燥や選別は、アナログ的な方法で人海戦術で対応しており、特別な事はなく、きちっとやってるな、という感じでした。
取材を進めていくと、新しいカカオを栽培する農家を増やすために、苗木を育てていて、その苗木をただ同然の値段で配っていることが分かりました。農家に対して育て方をレクチャーし、その講習を受けた農家にだけ配り、育ったカカオは買取る約束をしています。
そして、苗木を配り、買取ることをラジオで宣伝し、契約農家を集めています。
また、初めてカカオを栽培する農家は、分からないことや困ったことは自前のコールセンターで、メッセージか電話でいつでも聞くことが出来、集まった情報はデータベースに蓄積され、常に新しく更新されていました。
また、農家によっては車がなく、収穫したカカオを発酵場まで運ぶのに苦労します。そこには宅配Boxを設置して集配し、ラスト1マイルまで対応しているのだから、GoogleとジャパネットたかたとAmazonを合わせたような、アフターサービスもバッチリな、すごい仕組みを作り出しています。
しかも、競争相手が入って来ようとすると、すぐにマーケットプライスを調べ、それよりも高い価格で買取ることを農家に伝え、他に行かない盤石な体制を作っています。
その効果で、契約農家は5000軒以上に増え、苗木の生産は年間8万本です!
現在2エイカーの施設は、1年後に19エイカーのおよそ10倍に広がり、建築工事は今年中に始まるそうです。
マーケティング、PR活動、組織マネジメント、生産管理、ロジスティック、販売、営業活動、アフターサービス。経営に関する全てが仕組み化され、一体となりグルグル回っています。
タンザニアの小さな村で。
ココア・カミリ、ヤバいです!