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太田智佳さん(第61回優勝)インタビュー Vol.5-1

 12月22日夜。2022年ラストのスマッシュキャバレーが開催された。
 選曲テーマは「4拍子以外」。出演者のパフォーマンスと共に、聴き馴染みのある曲が何拍子なのかを改めて意識したり、マニアックな曲のリズムの面白さに身を委ねたりと、観客も終始、興味津々で舞台を楽しんでいる様子だった。
 今回はそのような中、久々のパフォーマンスの場で見事優勝を手にした太田智佳さんにお話を伺った。

 今回はその前編をお届けする。(後編はこちら♫)

太田 智佳(おおた・ちか)

千葉県出身。中学生の時にミュージカルに出会い、高校生から俳優を志し、演劇について勉強し始める。現在は憧れだったNYで演劇留学をする為にカフェでアルバイトをしながら歌、ダンスなどのレッスンに通っている。
目標はブロードウェイの舞台に立つ事。


1 優勝が決まった瞬間の気持ちと応募のきっかけ

―  優勝おめでとうございます。

「ありがとうございます」

―  優勝が決まった瞬間はどんなお気持ちでしたか?

「結構みんな上手かったので、まさか自分が優勝すると思っていなくて、“多分、他の人だろうな”と思っていたから、名前を聞いた時は“え!?”っていう感じで、混乱して(笑)。・・・びっくりしました!」

 スマッシュキャバレーへの出演は、初めてオンライン開催された2020年以来2度目だという太田さん。オンライン開催時は採点システムではなかったため、観客による審査形式の回は今回が初出演だったそうだ。

― 今回、改めて応募しようと思われた理由をお聞かせいただけますか?

「ミュージカルをやりたいとずっと思っていて、レッスンは受けていたんですけど、もう何年も人前で歌う機会がなくて。ちょっと前から出たいなと思っていたんですけど、丁度2ヶ月位前から新しい先生のもとで歌のレッスンをやり始めて、“折角だから出てみたら?”と言われて」

―  歌の先生に背中を押していただいての応募だったんですね。

「はい、そんな感じです」


2 準決勝に選んだ“今年の1曲”

「悪いことも含めて美しいもの」

 太田さんが準決勝で選んだ曲は『Waitress』より「She Used to be Mine」。レストランに勤めるヒロインのジェナが、以前は確かに自分の中にいた “彼女”(かつての自分)と今の自分の狭間で葛藤を歌うナンバーだ。パフォーマンス前のMCで、この曲が自分にとっての“今年の1曲”であることを語っていた太田さん。その理由について、改めて伺ってみた。

「去年(2021年)の10月ぐらいにストレスで耳を壊して、会話が全然聞き取れなくなってしまって。ずっとミュージカルをやっていたのですが、お休みして、その難聴を治療するのに半年ぐらいかかりました。
年が開けても治らなくて、“ああ、もうミュージカルできないのかな”とか色々考えたりしたんですけど、良くなってくれて、またこうやって“自分のやりたいことに向かって、ちゃんと立ち上がって頑張ろう”と思えたというのが、この曲の歌詞とリンクしているところがあるかなと思って。悪いことも含めて美しいもの、みたいな」

― たしか、かつての自分を、全てをミックスして焼き上げた美しいパイに喩えた詞がありましたね。

「そうなんですよ。今までは“こんな選択をしちゃったから、こうなってしまった”ってネガティブな方に捉えがちだったんですけど、“いい時のことも悪い時もこともひっくるめて、過去の自分があるから今の自分があるんだ”というような歌詞がすごく胸に刺さって」

― そうした思い入れの深いナンバーを実際にお客様の前で歌われてみて、如何でしたか?

「久しぶりに人前で歌ったので、もう全身ブルブルで(笑)。でも、ちょっとでも共感してもらえるところがあるかなと思って、観ている人の気持ちに刺さるように、 “お客さんの心に届けたいな”と思ったら、ちゃんと歌えました」

 戸惑いや焦燥感。そして、その奥に垣間見える情熱。そのパフォーマンスからは、さまざまな感情がないまぜになった生々しい心の震えが感じられたように思う。安定した歌唱力に、彼女の“届けたい”という熱い思いや久々のステージに臨む緊張感が相乗効果となって、人間らしいリアルな表現として観る者の心に迫ってきたのかもしれない。

インタビュー後編(スマッシュキャバレー編Vol.5-2)はこちら♪


文章・企画構成:Tateko
写真:中山駿

協力:SMASH CABARET https://smashcabaret.com/
   中目黒TRY

※記事、写真の無断転載はご遠慮ください。


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