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日本酒の発展に貢献した幻の全国清酒品評会 その2 紹介酒は月桂冠大吟醸パック

本年は、コロナウィルスの蔓延の影響で全国新酒鑑評会の決審が中止になりました。この全国新酒鑑評会での賞ですが、正に酒造りのF1で毎年、税務署から酒造りに関しての指導があり、その指導方針に基づいた酒造りが出来るかどうかを競うのが全国新酒鑑評会です。※F1とは本来の意味合いはF1カーで競うグランプリでは無くて、規定の範囲内で車の作り仕上げられた車で競い合う競技です。( 下記動画は本田技研工業さんのチャンネルより引用)

全国清酒品評会の後、4年後に始まったのが全国新酒鑑評会です。1907年(明治40年)に発足した清酒品評会は、醸造試験場の外郭団体である日本醸造協会の主催で、運営は醸造試験場が行っていました。清酒品評会の審査員は、酒造協会から選ばれて醸造試験場の技師たちは審査に立ち会うだけでした。醸造試験所自体は明治37年(1904年)の発足以来、速醸もとや山廃もとによる酒造りをはじめ、酒造業界の技術指導に置いて大きな成果を上げてきました。(下の記事は山廃酛の誕生に関して詳しく書かれているSaketimesさんの記事を引用しました。)

https://jp.sake-times.com/knowledge/culture/sake_g_meiji-jozoshikenjo

そこで明治44年(1911年)に自分たちの技術開発、指導、鑑定、評価を世に問うために第1回の全国新酒鑑評会を開催しました。目的はその年の新酒の品質傾向を探ることと、各酒蔵の醸造技術の修得・向上を目指すことになっています。第1回目の出品蔵は17、点数は27点で、1位が京都の月桂冠、2、3位が広島の菱百正宗でした。この中で、月桂冠さんから協会2号酵母、出自がはっきりしない協会4号酵母に関しては、菱百正宗さんから分離された酵母だったのではと一説では語られています。(下の記事はKurandさんの記事を引用しています。協会酵母に関して書かれています。また、wikipediaにも協会酵母がもっと詳しく書かれていますのでご興味があれば)

https://kurand.jp/blogs/magazine/387065970743

全国新酒鑑評会の出品基準は、平成12年酒造年度(2000年~2001年)の全国新酒鑑評会から、主宰者が国立醸造試験場から独立行政法人酒類総合研究所へ移りその間に出品基準が変わり、全国どんな蔵元でも自由に出品することができていましたが、平成12年酒造年度以前は全国約2000社の中から800社ほどが全国新酒鑑評会に出品するという形をとっていました。(下は酒類総合研究所の全国新酒鑑評会に関する引用です)

https://www.nrib.go.jp/kan/kaninfo.htm

これは、各地方の国税局主催の鑑評会が予選会のような形で行われていまして、その中から800社が全国新酒鑑評会に出品していました。各蔵元が鑑評会に出せるお酒の数は、酒造免許をもつ製造場(蔵)につき1つで、大きく複数の蔵を持つメーカーは複数の酒を出品でき、小さな酒蔵は、1点しか出品することができないシステムになっています。この全国新酒鑑評会は、明治44年(1911年)より、昭和20年(1945年)を除き、今日まで約1世紀間、毎年春に行われています。(下の記事は全国新酒鑑評会の様子です。灘酒研究会のHPより引用)

http://www.nada-ken.com/main/jp/index_se/521.html

鑑評会で開発された技術による酒造りへの効果として、鑑評会や品評会において連続して優秀な成績を収める蔵があると、醸造試験場はそのお酒を研究し、酵母を分離し、造りのマニュアルとともに配布し、日本酒の造りの向上を図ってきました。ここから出た酵母を協会酵母と呼んでいます。具体的には、協会1号酵母が櫻正宗さんの酵母、第2号が月桂冠さんの酵母、3号が酔心さんの酵母、4号が広島系の酵母、5号酵母が賀茂鶴さんの酵母、6号酵母が新政さんの酵母、7号酵母が真澄さんの酵母、9号が香露さんの酵母、10号が明利小川酵母と呼ばれていて出所がはっきりしていません、12号が浦霞さんの酵母で、11号が7号酵母の変異種です。以下1号酵母までありますが、蔵から分離された酵母は12号酵母までです。(下は協会酵母写真で美味しい日本酒・酒蔵紀行のページより引用しています。http://sakekiko.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%85%92%E3%81%AE%E5%8E%9F%E6%96%99/%E5%8D%94%E4%BC%9A%E9%85%B5%E6%AF%8D/)

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実際、鑑評会用の出品酒と一般販売用の酒造りは異なり、鑑評会の審査基準が毎年異なるので、その審査基準に沿ったお酒を造ることにより、各蔵が新しい技術を修得する機会を得ることで、酒造りの進化にこれまで貢献してきたということが言えます。その意味では、鑑評会自体は、酒造りのフォーミュラ(規定)1とも言えますし、実際のF1GPで培われた技術は市販車に生かされていますから、酒造りにおいても鑑評会のこれまで果たしてきた役割は非常に大きいし、一部では鑑評会自体必要ないという意見もありますが、日本酒の進化の為には私は鑑評会は必要だと私は考えています。(下の写真は愛知県 澤田酒造(白老)速醸酛試験醸造の際の礼状※澤田酒造提供)

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日本酒テイスティングデータ
銘柄 85、月桂冠 大吟醸パック(京都府 伏見)

主体となる香り

原料香主体、淡いハーブ香と清楚な果実香有

感じた香りの具体例

 炊いた白米、生クリーム、マシュマロ、水飴、白桃、ライチ、白ユリ、マスカット、スダチ、甘夏、スペアミント、瓜、若草、ミネラル、カシューナッツ、クレソン

甘辛度 中程度

具体的に感じた味わい

シャープで爽やかな飲み口、繊細で柔らかい旨味が主体、後味はシャープでスッキリ、スペアミントやスダチを思わせる含み香

このお酒の特徴 シャープでスッキリ、繊細な味わいの薫爽酒

4タイプ分類 薫爽酒

飲用したい温度 12℃前後、38℃前後

温度設定のポイント

12℃前後にて、シャープでスッキリ清楚な果実香を引き出す
38℃前後にて、柔らかく繊細な味わいを引き出す

この日本酒に合わせてみたい食べ物

豚しゃぶ鍋、白菜の浅漬、鏑の千枚漬、大根の浅漬、かまぼこ、たたきごぼう、キスの天ぷら、イカの塩焼き、蕗の煮付、筍の土佐煮等

お問い合わせは 酒蔵 https://www.gekkeikan.co.jp/
Quoraテイスティングブック https://jp.quora.com/q/vqteahszdbwtotmx

※日本酒4タイプ分類に関しては、SSI(日本酒サービス研究会)の分類方法を引用し、参考としています。
※日本酒写真は製造元酒蔵様のHPより引用しています。


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