☆「あぁ、お江戸。大根、長ネギ、牡蠣だよ日本人」~霜月の旬(2013年11月)
●春の七草でも名乗りを上げる、日本古来からある野菜が大根です。
地中海沿岸地方や中央アジアが原産だそうで、日本には中国から弥生時代に渡来したようです。
「日本書紀」の仁徳天皇の歌に「於朋泥(おほね)」という名で登場しますし、その名は「大きな根」から「おほね」→「おおね」→「大根(だいこん)」と呼ばれるようになったとか。 👀
ちなみに、この「大根」という文字は俗字で、本当はこんなに小難しくて「蘿蔔」と書くそうです。
中国風の表記で、ラテン語の大根「Rapha」を、中国では漢字の「蘿蔔(らふく、北京語ではロープ・ローポ)」であてたとか。 ( ̄_ ̄ i)
・・・また、千切りにした大根料理を「繊蘿蔔(センロフ)」といっていたのが。
今は、これがなまって、千切りにすることを「千六本」というようにもなりました。 😅
大根は、とにかく入って来た当時は、まだ形も小さかったし、美味しいものでもなかったようです・・・★ (>_<)
鎌倉時代に生きた日蓮上人が信者の方に送った礼状にも、「大根は大仏堂の大釘(!)のごとし」とあります。
・・・大釘の味って一体、どんな味だったのでしょうか・・・★ (^▽^;)
それからは、おいおいに品種改良が進んでいってのは、室町の辺りからでしょうか。
種類も増えて、形も今の大きさになりました。
●生食・煮食のほかにも、神様にもお供えしますし、民間療法として活用されました。
食べ過ぎ飲み過ぎにはもちろん、美容と健康、さらに熱さましや咳止め、頭痛止めなどの薬用にも。 👀
・・・一緒に食べると食あたりを起さないとのことから、「あたらない野菜」として重宝し、またその事から、下手な役者のことを「決して当たらない役者」ということで、 大根役者と呼ぶようにもなりました。
蕎麦や豆腐、魚介に添えたのも、毒消しの効果を狙っての事だとか★
また京都では、初冬の頃に「大根焚きなる行事」があるそうです。
これって、中風(今でいう脳卒中)除けを願ったものだ そうですが。 👀
・・・大根の特に、皮の部分に「毛細血管を強くする、ビタミンP」が含まれているので(!)
そちらの効果が、全くないわけでもなかったよう。
でもまぁ、日本はもとより、海外でも大根は古くから、野菜としてよりも(!)
実は、薬草としての活躍が大きかったようです。 Σ(・□・;)
●さて大根は、根の部分は淡色野菜で、葉の部分は緑黄色野菜に分類されます。
大根葉がついたままだと、収穫した後でも(!)
葉が根の水分を吸収してしまうので、買ってきたらまず、葉と根は切り落としてから。
それから、別々に保管をした方が良いそうです。 👀
また、葉の部分にも豊富なビタミンやカルシウムなどが含まれていますが、根の部分には「ジアスターゼ」という「でんぷん分解酵素」が含まれていて、これが消化を助けてくれます。 (^_^)/
・・・また、根にある辛み成分「アリルイソチオシアネート(辛子油)」は、摩り下ろす事で酵素に触れて、初めて生成される栄養素なのですが、これが抗菌作用はもちろん、抗ガン作用にもなるのだとか。
そして、・・・なんと(!)
江戸の頃はなんと、大根おろしは味噌汁の具にもなっていたというから、驚きですっ。 (^▽^;)
「和心きらりエッセイ・第1話」味でも、ご紹介をしているのですが・・・。
味噌汁は、平和の象徴なのです♡
・・・何故って、味噌の原料の大豆は、戦国の世には軍馬の飼料になっていました(!)
なので当時は、なかなか口に出来ないメニューだったんです★
・・・それが平和になって、大豆を植えて(!)
それも、大豆の生産量が増えないと味噌が作れませんから、なかなか普及ができなかったわけですよね★
それが、ようやく庶民にも普及してきて、普通に味噌汁を食べられるようになって・・・ようやく。
ようやくにその具も、さまざまに試す事ができたのだとか★ o(^▽^)o
・・・当時はまだ、皿状の陶器の表面に、細かい突起をつけたモノで大根をおろしていたのではないか、との事。
これはもともと、大根ではなくって、その名も「わさびおろし」。
発祥は中国らしくて、ショウガを摩る為に考案されたのが日本に伝わって、わさびはもとより、大根もおろしていたようです。 👀
●さて、今度は長ネギに移っていきましょう。
こちらについてですが、6世紀の書物にもうその名が登場するくらいなので、ずいぶん古くから(!)
原産地の中国からネギさん、渡来して来られていたようです。
・・・ネギは古称を「キ」といいまして、女房詞(にょうぼうことば;つまり、宮中で女房職の方が使う一種の隠語的な言葉のこと)では、同じネギ科の植物「ニラ」を「ふたもじ」というのに対し、ネギは「ひともじ」といったとか。
・・・そういえば、九州の方に「ひともじのぐるぐる(写真・上)」なるネギ料理がありますが、この「ひともじ」って、ネギという意味だったんですね。 ( ̄_ ̄ i)
関東が、例えば白根の根深ネギがよく育つのは、これは土壌の関東ローム層のせいなんだそう。
逆に、関西では青ネギが好まれるそうですが、これは例えば、九条ネギなんかは、洛南の硬い粘土質の土壌なので、ネギはこんな風に、青く育つんだそうで、料理法も応じて違うんだそうです。
またネギが持つ、あの香りは「アリシン」といって、血行を良くして身体を温め、風邪予防はもちろん、血液サラサラ効果までも。 (゜-゜)
ネギに含まれるイオウの香りには鎮静効果もあり、刻んで枕元に置いておくと、よく眠れるんだそうです。
・・・悪玉コレステロールは防いでくれるし、カロリーも低くて、生活習慣病予防には何役も買って出てくれる食材のようです。 (〃∇〃)
●さて、テーマを牡蠣に移しましょう。
牡蠣は、植物性のプランクトンを食べて育ちますが、5~6月に産卵をします。
この間だけ雌雄が分かれますが、通常は中性で生活をするのだそうで、産卵期を前にして、ちょっと栄養失調気味なのは雄に。
ふっくら、メタボさん(?)は雌になって、卵を産むのだそうです。 (^▽^;)
孵貝した貝は、のんびりと波間を浮遊し、やがて「この辺りでいいか」とばかりに、岩などに定着した生活になります。 👀
・・・以降、全く動かない生活(!)を送るので、筋肉はなくても良いかとばかりに、殆どつきません。 ( ̄ー ̄;)
内臓だけが、ふくふくと育っていきますので、大人になっても、筋肉が1に対して、内臓が9(!)
・・・ちなみに、ハマグリは筋肉が3割、ホタテが5割というくらいなので、もう他貝の追随を許しません★ (^_^;)
また、なんでも牡蠣は、元気の源である」「グリコーゲン」をとても多く含んでいるのだそうで、これは急激な運動をした時に、筋肉中で利用される物質を指すものなんだそうです。
・・・一粒で2度美味しい「グリコ」も、その名の由来はこのグリコーゲンから来ていると聞きましたが、これのおかげで、なんと(!)
牡蠣は水がなく、エラ呼吸ができなくても(!)
・・・ホタテですら、2日の処を(!)
10日間も生きていられるのだ、と・・・とんだ生命力の持ち主なんだそうです。 ( ̄_ ̄ i)
●・・・一生を、定着した岩で暮らしてゆく、牡蠣さんです。
そんなお方なら、養殖だってラクに出来るんじゃないかと・・・考える人が出て来てもムリはない(!)
日本では、1532年(戦国時代ですね★)に養殖法を発明した人が安芸国(つまり、広島県)にあり。
・・・そして江戸時代になって、二代目将軍・秀忠が江戸を治めていた1619年(!)
国替(くにがえ)で地元・紀州から安芸の国へと。
つまりは、和歌山から広島までやって来た・・・浅野長晟さんという人が、産地振興の為に(!)
国元・和歌の浦から牡蠣を移植してきたのだと史実にあります。
そして四代将軍・家綱の頃(1670年)に頃になって、とうとう。
「安芸藩の小林五郎左衛門さんという人が、牡蠣の養殖を始めた」・・・と。
これもまた、史実にあるんですね。 (〃∇〃)
・・・浅野さんが連れてきて、小林さんが打ち立てた養殖牡蠣はどんどんと増えて♡
それが舟で運ばれ、大阪の地では直売もしていたといいますし、川筋に浮かんだ牡蠣船では、美味しい牡蠣料理を提供していたのだとも。 👀
●・・・これが五代将軍・綱吉の頃には。
大坂高麗橋詰に立てられていた町奉行所の制札(せいさつ・よく時代劇で、法令なんか板に書いて立ってますよね)が、大火で焼失しそうになったんだそうです。
危ないというので、牡蠣船を営む安芸国・草津村の河面(かわも)仁左衛門さんと西道朴さんがとっさに、その燃えかかったお札を牡蠣船に移して難を逃れたそうです。 👀
・・・それで、ご褒美という事なんでしょうけど。
こちらの牡蠣船なら、大坂のどこの橋本でも自由に営業して構わないという、御触れが出ました♡
なので草津村の牡蠣船は淀橋屋をはじめ、戎橋、本町橋などの川筋のそちこちで商いをして、大変に繁盛をしたということです♡
・・・牡蠣を国元から移植してきた浅野さんも、ここまで振興に役立つことになろうとは、夢にも思わなかったことでしょうね。 (〃∇〃)
●さて、夏場の牡蠣というと、身も痩せてマズイですし★
また夏の海というのは、細菌も多くて、中毒も起こりやすくなるんだそうです。 (>_<)
なので、日本では「花見を過ぎたらカキ食うな」・・・とか。
そんな言葉があるそうですが★
パック売りの牡蠣は、時期になるとよく、スーパーではく見かけますよね。 👀
「生食用」と「加熱用」とがありますが、生食用は「生で食べられるように」と、ものすご~く洗ってあるので(!)
洗ったぶんだけ、相当に風味が落ちてしまっているそうです。
なので加熱して食べるなら、ぜひとも「加熱用」を使うようにというのが、調理担当の先生のアドバイスです。
大根、ネギとも併せて、「和心きらりレシピ」で旬をぜひ、お楽しみください。 (^_^)/
(文責・山野亜紀 2011.11.1)
〇2013年11月のお膳
※「和心きらり(http://wagokoro-kirari.tokyo/)」より転載
・・・700以上のレシピ・旬エッセイ・ブログを現在、移築中。😅