ビモーは頭髪になる夢を見るか |(1)一本気な青年
その穴の中は適度に暗く、過ごしやすい。
だが外は過酷だ。
彼らは穴の中で、息をひそめる日々を送っている。
これはそんな彼らのしかして壮大な、ジュブナイルかつサーガでクロニクル的ななにか。レジェンドすなわちミスティックかのようなあれ。群像劇になる予定は未定の小話。
一本気な青年
「もう嫌だ!俺は外へ出る!」
「待つんだ。外は危険だと知っているだろう。」
「知ってるよ!でもこんな暮らしは飽き飽きなんだよ、どうしてこんな狭いところで一生暮らさなきゃならないんだ!」
「出たところでどうするんだ。外は我々にとって、切り捨て御免の世界だぞ。あっという間に見つかって、切られてしまうのが落ちだ。この間だって見ただろう、うっかり出た奴が、、」
「・・分かってる。でも、俺のじいさんは、外に出て寿命まで生きたって。」
「おまえのじいさんは運がよかったんだ。同じように飛び出して、寿命まで生きられた奴なんてどれだけいたことか。。悪いことは言わん、辞めておくんだ」
「心配してくれてるのは分かるよ、でもだめだ、もう俺は止まれないんだ。たとえ短くったって、外の世界を感じてみたい。もう行くよ、おじさん。」
「待つんだ・・!」
・・・
5歳児「とーさん、おはなからなんか出てるよ~」
42歳父「え、出てる?ちょっと切ってくるわ」
・・・