脱おかっぱ ハサミが怖い3才男の髪を切るための試行錯誤
息子のたるすけ(3才)は、髪の毛を切られるのを嫌います。ハサミのジャキジャキいう音が怖い。耳や首をサクッと行かれそうで怖いというのです。
そんなの美容師さんにお任せすれば一瞬で安全に可愛く仕上げてくれそうなものですが、たるすけとしては見ず知らずの大人にハサミを向けられる方がよっぽど恐ろしい。どうしても切るっていうならママがして!出来るよね?ジャキジャキしないでね?可愛くね?ということで、ド素人の私がちょこっと切っては逃げられ切っては怒られ切っては踊られしつつ、どうにか可愛く仕上げようと四苦八苦しています。
たるすけは基本、おかっぱです。これが彼と私の限界です。サラッサラのドストレートな髪質と愛くるしいお顔が、モッサリ感をギリ中和してくれています。たぶん。
先日、幼稚園の担任の先生からたるすけについて、「前髪が長すぎて体操帽がかぶりにくいようです」と教えていただきました。9月末に控えた運動会に向け、練習だリハーサルだで運動帽をかぶる機会も多く、できればもう少し短くなりませんかと。
確かにおめめのキワキワを攻めた前髪は、アンニュイな風情があってオシャレなんちゃんと自分に言い聞かせて放置していましたが、帽子でペタンコになると視界をさえぎってしまうようでした。
さらに、先生は前髪にしか触れませんでしたが、モサモサ伸び放題のおかっぱ髪は、『千と千尋の神隠し』のハクみたーい☆おかっぱ頭でもイケメンてすごなーい?と自分を騙すには、いよいよちょっと暑苦しいかも……初めての運動会をモッサリモサモサのまま迎えていいのか……?
ということで、たるすけの脱おかっぱ作戦を決行することになったのでした。
切るのはほんの数センチです。ササっと切ってしまいたいところですが、さあ切るよと勢い勇んでハサミを持ち出しては、ハサミ恐怖症のたるすけは怯えきってしまいます。こうなると永久に追いかけっこです。ハクどころかバーバモジャの出来上がりです。
余談も余談ですが、髪の毛モサモサの果てとは……?と考えたところいちばんに思い浮かんだのが『少年アシベ』のスガオくんの先生でした。イエティに無碍にされるあの先生です。が、改めて画像を検索してみると髪の毛は意外とスッキリしていて、髪型だけ見たらヴィジュアル系のバンドマンに見えなくもないほど。居候させてもらって厚かましくなっていくあたりもV系麺ぽさがほのかに香るようで、もしかして先生って元麺なん?など勘繰った次第です。
まずは対話から始めました。
今からあなたの髪を切りたい。スッキリ短くした方が運動のときや遊ぶときに邪魔にならない。短い髪もかっこいいとママは思う。ハサミが怖いのは知ってる。だから一緒に工夫してみよう。どうですか?「ハサミが怖いこと以外に髪を切りたくない理由がある?」と、確認します。
もしここで、長い髪に憧れているなど、「切りたくない」ではなく「伸ばしたい」理由があるならちょっと話が変わってくるなと思ったのです。ここでたるすけが「伸ばしたい」を選択したら、脱おかっぱ作戦はいったん中止するつもりでした。
が、たるすけの返事は否。ハサミが怖いだけで、髪を切られること自体には問題がないとのことでしたので、ここからは「怖くない髪の切り方」を検討していきます。
その1:とりあえずやってみよ☆
日々目覚ましい成長を遂げる3才さん。前回は怖かったけど、ちょっとお兄ちゃんになった今回は大丈夫ってことない?という可能性を試してみましたが、案の定、撃沈。
その2:じゃあママが切ってみようかな☆
私の髪を切るところを見せることで、どこも痛くないよ怖くないよと示してみました。襟足付近の毛束をちょろっと切ってみせると、途端に「たるちゃんもする!」と前のめりになってくれて喜んだのも束の間、たるすけの毛ちゃうでママの毛を切らせろやと迫られ、いくつかの毛束が犬死にする結果となりました。
その3:ハサミやーめた☆
ハサミが怖いなら違うもので切ってみようかと目についたのが、顔そり用の電動カミソリです。これならジャキジャキいわないし、肌に触れても危なくありません。ほらお顔に触っても大丈夫でしょ?怖くなくない?とやってみせれば、「こわくないかも!」と良好な反応。
ところが、電動カミソリをいざ髪の毛にあててみると、ハサミとは違った電子機器特有のジリジリウィンウィンいう音が怖くなり、たるすけは一瞬で逃げていきました。私としても、切れ味が足りずに髪の毛が痛みそうだし、ちょっとずつしか切れないから気が遠くなりそうだしで即座に気持ちが折れたのでした。
その4:まあ歌お☆
好きなおうたを大きな音で流して歌えば怖くない!と、ほぼ精神論でぶつかってみましたが、踊り出してしまい散髪どころじゃなくなり失敗に終わりました。
その5:鏡よ鏡☆
鏡をよく見てごらん?ママなんも危なそうなことしてなくない?と確認してもらいたかったのですが、ハサミの近づいてくる様子が見えるという状況は、余計に恐怖を煽ってしまいました。
このほかにも、イヤホンをつけたりおやつで気をそらしたりとあの手この手で挑んだ末に功を奏したのは、赤ちゃん用の爪切りハサミでした。この小さな小さなハサミなら切るときの音もほとんどありませんし、刃先が丸く加工されているので安全かつ視覚的にも安心です。
さらに、たるすけの首にタオルを巻くことで、ハサミや私の手がたるすけの首に触れることがなくなり、切られているという恐怖や不快感がほとんどなくなるという発見をしました。
赤ちゃん用の爪切りハサミ×首タオルの組み合わせで、おかっぱ頭をスッキリ短く整えることに成功したのでした。
もともと自分のお顔が大好きなたるすけはそれからというもの、しきりに鏡を見ては新たな自分にうっとりしています。
運動帽もキリッとかっこよく被れるようになりました。「うんどうかいは、たるちゃんのおしゃしん、かわいくしてね?いい?わかった?」と言い聞かせられる毎日です。