2度目の転職宣言 そういえば夫、ミスチル好きやったな
夫が転職活動を始めると言い出しました。約2年ぶり2度めの転職宣言です。
初の転職宣言は、2022年の年明け早々、唐突に下されました。息子のたるすけは1歳10ヶ月、私はコロナウイルスに感染中でした。
高熱でふらつきながら、夢か現か、「ちょっと転職するわ」「忙しくなるからヨロシク」という言葉を耳にしました。
なんだコイツ……コレが私の夫?
夫が得体の知れないクリーチャーに見えました。
「パソコン要るから買ってくる」
まだ初売りしてるんじゃないかなと、ソイツは軽やかに家を出ていきました。高熱の私と、元気いっぱいのたるすけを残して。
そのとき私が苦しんでいたコロナウイルスは、もともと年末に夫が持ち込んだものでした。まず夫が発熱し、年末年始の予定をおじゃんにし、たるすけがちょっと熱を出してすぐ復活し、せっせと看病に育児に家事に勤しんだ私がいよいよ熱を出すと、「転職するわ」で放ったらかしとは。
さらにそもそもの話をすると、当時の私は、おそらく産後うつと思われるものに長らく悩まされていました。「おそらく」というのは、人見知り場所見知り炸裂中の爆泣きボーイであるたるすけを連れての通院は私の心身への負担が大きく、なかなか病院に行けなかったため、詳細な診断がおりていなかったのでした。が、今ふり返ってみればどっからどう見ても純度100パーセントの産後うつ状態にあったと思います。脳内の8割は「死にたい」、残りの2割は「どうやって死のう」でした。
しかしやすやす死んでもいられません。たるすけのプレ幼稚園を選んで申し込んで面接行って年末年始の用意もしてと、何かと忙しい時期でした。
コロナ騒動勃発前の2021年12月初旬には、「もう無理だ」「休まないと死んでしまう」「死んで休みたい」「ワンオペがつらい」「せめて幼稚園を選ぶときくらい相談に乗ってほしい」などと夫に訴えていました。それに対して夫は、もう少し協力すると言い、休日の過ごし方を見直すこと、夫婦の会話を増やすことを約束してくれました。
その約束、忘れた?
キサマの頭んなかには消しゴムがあんのか?
ぜんぜん関係ないんですが、『私の頭の中の消しゴム』の主題歌ってアンダーグラフだったかアクアタイムズだったか、はたまたバックナンバーだったかわからなくなるんですよね。「人生が比較的上手くいってる人が聴くバンドさんたち」というド偏見があり、その最高峰にはミスチルとスピッツがいると思っています(私は人生低空飛行のバンギャ出身です。そちらの世界はキラキラ眩しいです。お許しください)。
そんなこんなで協力とか夫婦の会話とかいった約束は何一つ果たされないまま、夫はコロナウイルスに感染し、その療養中になんか急に思い立って「転職するわ」と、忙しくし始めたのでした。
私はもともと育児疲れで弱っていたせいもあってかコロナ後の回復に時間がかかり、倦怠感や味覚の不調などに悩まされながらプレ幼稚園の手続きを進めたり、まだ止まぬ夜泣きに翻弄されたり、死にたいし、こちらも大忙しです。
ヘットヘトで1月が終わり、プレ幼稚園の面接を無事に終えて今度は入園準備だと慌ただしくしている頃のことです。夫がまた唐突に、
「転職やめるわ」
と、転職終了宣言を下したのです。やっぱ今の年収捨てるのはもったいないとかリスクがデカいとかつらつら理由を説明していましたが、よく覚えていません。
あーなんかアホくさ。
夫に対して、スウッと冷めていくものがありました。
私はこんなヤツに助けを求めようとしていたのか。こんな男と一緒に育児がしたくて泣いていたのか。コイツは私の誰なんだ。
それから私は、夫に期待することを止めました。相談もしなくなりました。
心身の調子は相変わらず最悪でしたが、無駄な期待をしないというのは、その分、絶望することもないので、どうせひとりで頑張ることになるならその方が気が楽なようでした。
そして今、たるすけは年少さんになり、爆走爆睡ボーイに成長しました。私は夫を諦め、自身の自由と健康を諦め、うっすら死にたいと思いながら、やっぱりたるすけが愛おしくて、心配でたまらなくて、筋トレを始めたり怪談を収集したりと足掻いています。
そこに投下された2度目の転職宣言。
特に思うことはありません。もう好きにしてください。ただある程度のご機嫌は自力で保ってください。淡々と思うのみです。
ただ、2度目なんやし、やるなら全力でやり尽くしてくれなダサいで?あともうちょっと痩せた方が有利ちゃう?アラフォーが毎日カフェオレをガブ飲みして太ってるのみっともないで?と、やっぱりなんかいろいろと気をもんでしまうのでした。