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夜気(よるき)(4)
人生の当たりくじを引き続けなされ。
わたしの夢のような世界は崩れやすいから守って。
10月9日土曜日 晴れ
四日目にしてどこにも届かず闇に葬られるだけのような気がして来ることを「根気が無い」と言い直して、理想は部屋に堆く積まれるわたしが伝えようとした言葉。
壮大な未来の先で、白黒の写真になりたい夢を、君とわたし、両方が持っていたこと。
写真にだけなっている場合では無いこと。
愛も夢も大きくなりすぎて、普通の営みの面白さがわからなくなってしまう。
✳︎
赤レンガの建物の前で、歴史的出来事には何も遭遇しなかった。わたしたちはどういう風に時代の一部になっているのかわからずに、明治時代以降建てられることのないこの建物の前で、時間の中にいることを確かめ、また日常を愛でる人々に倣って至上の喜びはそこにあると言い聞かせても、それは生活であって歴史的出来事ではないと、気持ちが戻ってしまう。
✳︎
反逆者になるのも嘘くさく、一見犬のように見えながら燃やす先を決めるのが君。闇に葬られながらあと何年、あと何年。
目覚めの後の本当の輝く心を信じようと、魂のけむりを空にのぼらせる。衝撃的な死には、膨大な数が必要だから、わたしたちは歩みを止めないでいよう。
四日目。終わり。
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