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羽化
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七月二十四日 水曜日 曇り
夏なのに、空の色が薄くて、雲は水彩で描いたかのように淡い。
だからここ数日は空がどうして秋のような穏やかさを含んでいるのかを知ろうとして、わたしは外へ出るにつけ、空を眺めています。
町はなんとなく、栄えることを終えた人みたいにぼんやりして、それでも町の中で人が育っている。
看板のうしろの荒れた植生に、蝉の抜け殻と、まだ透きとおった薄緑色の羽根を乾かしている蝉を見つけました。
羽化したばかりだから、鳴けるようになるまで、身を守っている。
わたしも羽化したばかりで本当は鳴けないのに、飛ぶようなことをしてはいまいかと思って、蝉が隠れていられるように、すぐに離れました。
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