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夜記(よるき)(12)

 学習性無力感とは、ある状態を克服しようとして、何度、何をしても無駄だと覚えてしまうと、生命維持だけを目的に生活するようになり、挑戦することや不当なことへの戦いを避け、意欲を喪失している状態。
 自分のすることは周囲にとって悪いと行動の結果を断定します。
 自身の状況に強い危機感を持った上、何をしても悪い結果に繋がるだけだったという結論に達したため、周囲を守ろうとして起こす反応でもあるでしょう。

 10月17日 日曜日 曇り 寒い夜の日

 星の君よ、わたしは学習性無力感という言葉を昼に覚えて、ずっと気にかけて調べたりなどしました。
 経験した気がするけれど、それは続けて生きていけるような状態ではなく、君を守ろうと思えば、永遠に君には触れられなくなるもので、怪物に似ています。
 嫌な顔や疑いの顔をする君は、健康できれいだとわたしが証明できるといい。

                 *

 まだ何も知らないくらいの記憶が、歩みを止めてしまうだけの悪い誤解に近いなら、全部忘れることにして、やり直そうと思います。
 あの気に入っていたビニール傘をどこかに忘れてきてしまいました。
 探しに行ったら、最後の記憶の場所からは、もうなくなっていました。
 どこかでまた会えるかな。約束してくれなくていい。
 思い出したらまた、わたしが探すから。


 十二日目。終わり。

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蓬野愛
難しいです……。

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