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9通目 金木犀を食べたこと

 外へ出て、疲れて帰ってくる真夜中(追記:帰ってきてからこれを考えていると、このように朝に近い時間になります)、その分わたしは、世界にひとりぼっちじゃないと知ります。

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 疲れるほど用事をしているとは、なんて幸せなことでしょうね。
 本当に疲れてしまって頭が痛いですけど、出来ることなら、この手紙も、要らない疲れとか、そんなことをして何になるんだとか、そうやって終わらないようにしたいです。

 季節遅れの話になるですけど、金木犀の花のこと、わたしは実はお菓子に違いないと思っていて、いつだったか、十代の頃に余所様の家から出ている花を食べて、お菓子ではなかった、花だった、と納得しながらがっかりしたことがあります。
 その後、誕生花というものがあるのを知って、バラであれ!かすみ草であれ!金木犀であれ!と願って、沈丁花という知らない花だったことに少し落ち込んだときもありました。

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 今は知っていて、金木犀みたいに甘い匂いの花だということを喜んでいます。
 短歌をひとつ、よんでみます。

 この雪をしのびくる春菓子に似た馨りふりまけ白沈丁花
 (馨りは、遠くまで拡がる良い匂い)
 おやすみなさい。

 二〇二一年十一月八日 深夜
 明日の関東は大雨予報です。

 11.729光年彼方へ枯渇しても愛を湧かす 9通目

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蓬野愛
難しいです……。