ソーメン大嫌い
※この記事は、ログインできなくなってしまった三二〇ボードで書いた記事の再録となります。
私の嫌いな食べ物は素麺です。
「苦手な食べ物」と「嫌いな食べ物」は違います。例えば私はアサリやハマグリが苦手なのですが、これは単に私が食べられない、というだけで好きな人がいるというのは理解できるし、私が避ければいいだけなのでべつに世の中に存在していることはぜんぜん気になりません。
しかし、素麺については違います。そんなものとっとと滅べと思っていますし、好きな人が仮にいたとしたらそいつはきっと正気ではないのだろうと確信しています。
私は別に素麺が食べられないワケではありません。もし人との食事で出てきたら、無の表情で口の中に入れます。腹に収まりきったなら、「御」「様」をつけるまでもないし、そもそも「馳走」でも何でもないよな、と一瞬躊躇しつつ「ごちそうさま」と言うことでしょう。そして感想でも聞かれたなら、胃のあたりがさっきより少し重くなったかな、と思いながら「ああ、人生の貴重な一食分が無駄になったな」と落胆しつつ、「おいしかったです。」と一応、答えることと思います。
食材の組み合わせとしてはそれぞれに好きなのです。ほぼ同じ素材で構成されているざるうどんは何だったら好物ですし、同じ麺を使っている台湾麺線も好きです。ソーミンチャンプルーもおいしいですよね。素麺の、料理としてのイデオロギーがことごとく私と合わないと言う一点につきるのです。
まず、何なんですかあの細くてくにゃくにゃした頼りのない麺は。歯や舌に食べた実感がないまま腹だけが膨れるあの感じの気持ち悪さったらありませんし、そのくせ「我は主食でござい」とふんぞり返ってろくな味付けもされません。ビーフンみたいにきっちり味付けされれば多少は食えるものになるだろうに。
素麺はのどごしを楽しむものだ、などとしたり顔で語っている愚か者もいるようですが、そもそも、のどごしを楽しむ主食ってなんだ。主食としての矜持はどこに行った!!
だいたい、のどごしにしたってのどに感じる質量が大きい方がのどの触感が刺激されて気持ちいいに決まってます。讃岐うどんののどごしは最高です。言ってることがチグハグなんだよあの連中は!
あと、ざるに盛ったときに氷を乗せるからか、細い麺に茹でたときの水分が絡みやすいからなのか知りませんが、食べていると、どんどん、めんつゆが水で薄まっていくのも気に入りません。この辺があの食べた実感のわかない気持ち悪さの原因の一つにもなってるんだと思います。
同じ麺を使っている台湾麺線はその辺わきまえていて、主食ヅラもしていませんし、「のどごしをたのしむんでふー」などというバカな主張もしていません。最初からとろみのついた魚介だしのスープで麺ごと煮込むのでめんつゆが薄まることもないですし、きちんと麺にも味がついています。すばらしい。
とにかく、地上にあるだけで害悪な素麺、一刻も早く滅んでいただき、ソーミンチャンプルーと台湾麺線のみがある世界になることを切に願っている次第です。