見出し画像

J2ミッフィーを作ってみる

まず、最初にお断りを入れときます。

ロゴの商標権は各企業に、ユニフォームデザインにつきましては各クラブに著作権があると思いますので、個人で楽しむほかは、制作したものを販売することは法律違反になります。もしご自分で作ってみたいと思われる方は、あくまで個人で楽しむための方法として、以下の記録をご覧ください。

はじめに

サッカーJリーグの2部にあたるJ2リーグ。現在22チームで毎年入れ替えがあります。
自分の応援するクラブはJ1から降格してきて、2010年より現在まで所属しています。
もちろん、毎年J1復帰を期待しながら応援しているのですが、年々J2に強豪が増えてきているようにも思います。
J2生活が長くなると、「同病相憐れむ」ではありませんが、他のクラブへの共感のようなものも出てきて、ユニフォームデザインやスポンサーなど気になってきます。

2019年、ダイソー、Seria、CanDo等の100円ショップで透明のテトラパックに入れられたミッフィーのマスコット「ミッフィー テトラフィビッツ」が発売されます。一時品薄状態になり、その後再入荷しました。
ミッフィーのデザインルールに基づいたカラー(ブルーナレッド[=オレンジ]、ブルーナブルー、ブルーナブラウン、ブルーナグレー、ブルーナグリーン、ブルーナイエロー)のほかに、薄めたパステル系のラインナップ、座りポーズ、アースカラー等のバリエーションも出てきました。

「これを使ってなんかできるかも」

試しに、黄色いものを1つ買って、スポンサーロゴを貼り付けてみました。

最初の黄色いもの

「それらしく見えるんじゃない?」

企業ロゴや番号の印刷にはPlusのインクジェットプリンター用フィルムラベルを使いましたが、フィルムの厚みと粘着性の都合から、貼ったロゴが浮いてきてしまう障害が出ました。

その後、素材に関しては試行錯誤して、どうにか22個ミッフィーを買い集め、2020シーズン開幕後に「J2ミッフィー」2020を揃えました。

デザインやイラストの仕事もやってる関係で、あまり一般の方になじみのないソフトAdobe Illustrator(→ADOBEのデザイン系ソフトのサブスクリプションは1年使用の定価で79800円くらい)を駆使して制作しているので、あまり「容易だ」とは言えないのですが、そうでもない簡易な方法もあります。

一番てっ取り早く作ることができるのは「アルビレックス新潟」

身も蓋もないのですが、アルビレックス新潟バージョンは極めて簡単にできます。

1)100均でオレンジのミッフィーを一つ買ってくる
2)お菓子売り場の亀田製菓の製品の中から、パッケージに適当なサイズ(白地含め幅12mm×縦4mmくらい)のロゴのあるものを探し、購入する
3)ロゴ部分を切って、貼り付ける
→完成

胸スポンサーの亀田製菓が活きます。さすが米菓界の絶対王者。100均にはミニサイズの商品もありハッピーターンなど数種の商品からロゴを探すことができます。背番号を入れたい場合、新潟は白縁取りの入った青文字なので、既製品のシールでは見つかりません。カッティングシートや色つきシールの切り貼りで対応しましょう。

かなり手軽にできます

公開されている画像を使ってしまう

例年2月から始まるシーズンを前に、各クラブでは年末あたりから翌シーズンのユニフォームが発表されはじめます。2022では1/28の大分トリニータの発表が最後でした。また、ユニフォームが発表されていても胸スポンサーの発表が遅かった山口と甲府のような場合もあります。

各クラブのサイトに掲載されるユニフォーム画像を縮小して(WORD等で作ったA4版かはがきサイズの)書類に貼り付け、所定のサイズ(幅14mm×縦8mm程度に柄やロゴなどが収まるくらいで)に縮小します。
使われる画像の解像度は印刷物では300〜350dpi、Webで使われる画像は72dpi程度なので、あまり鮮明な画像にはなりませんが、そこは気にしない方向でいきます。
試しに紙で印刷してみて、切って貼ってサイズを調整してみましょう。

大分トリニータ2022
ジェフユナイテッド市原・千葉2022


印刷する素材

先述のようにインクジェットプリンター用フィルムラベルでは厚みと粘着性から、このサイズ/素材で使うには不向きと判りました。ドライヤーなどで熱をかけて曲げればもう少し良く付いたかもしれませんが、別の素材を探します。

最終的には、A-oneの「転写シール 白地タイプ」(ヨドバシカメラで495円)、「自分で作る!デカールシール 白地タイプ」いずれもはがきサイズを使いました。前者は3セット、後者は2セット入りで、内容物はほぼ同じなので、「転写シール」の方が少しお得かもしれません。
素材の厚み自体がほぼ0。ただし、貼り方に慣れが必要です。
また、光沢紙などに比べると、印刷ににじみが発生することもあります。そこらへんは多少マイナス要素として含み置きください。

A-oneの「転写シール 白地タイプ」、「自分で作る!デカールシール 白地タイプ」
反転印刷した原稿に白糊シートを貼り付けた状態。ここから切って本体に貼り付けます。
下段は土台に貼り付けるクラブのロゴ

はがきサイズの原稿を用意したら反転印刷で予備含め印刷します。作り方については詳しく製品パッケージ裏面にありますのでよく読んでやってみましょう。

ミッフィーの塗り替え

ミッフィー テトラフィビッツは基本的に6色(ブルーナレッド[=オレンジ]、ブルーナブルー、ブルーナブラウン、ブルーナグレー、ブルーナグリーン、ブルーナイエロー)とパステル系6色となります。J2の22チームのユニフォームでカバーできない赤系統、濃紺、紫などでは、ボディの塗り替えの必要があります。

2020では、塗らずに、カッティングシート(切り売りの店で10cm=90円くらい)の該当色を買ってきて、表側、裏側に分けてドライヤーで伸ばしたり曲げたりしながら貼り付けました。マットな仕上がりと発色の良さが良かったのですが、端部の処理に難があったことと、いろいろ面倒なので初年度で辞めました。

2021からは主に、100均のマニキュアを使っています。乾くのが早いのと、はみ出したところは爪で削って剥がすことができることができるので。とくに仙台の山吹色や群馬の濃紺にはよい色がありました。水色系統に良いマニキュアが無かったので、2022では一部アクリル塗料(→Mrカラーの水性アクリルカラーが模型屋の閉店投げ売りで一色30円で大量に持っていた)を使っています。イラスト用にアクリルガッシュも持っていたので、下地のジェッソにでも混ぜて塗ってもよかったかもしれません。

初年度となった2020の22体。Plusのインクジェットプリンター用フィルムラベルなので、
ロゴ部分の発色とエッジの際立ちは良かったのですが、素材が硬くてすぐはがれてしまい、
厚みの分、端っこに白い部分が残ることがありました。
本体のうち、金沢、京都、岡山はカッティングシートでラッピングしています。

背番号はどうする?

Jリーグでは2021シーズンから「J.League Kick」というフォントを使い始めました。色と形に規定を設けることにより、ユニバーサルデザインと視認性を確保したものです。

2021年から採用されたJ.LEAGUE KICKフォント

フォント自体は販売されていないので、トレースしてデータを自作するか、公開されているフォントのイメージ画像を縮小して印刷するかになります。

各クラブのサイトのユニフォーム新規販売ページに、背番号と選手名表記を一覧にした画像などありますので、それを流用しても良いかも知れません。

また、白い番号の濃色系ユニフォームのクラブだと、厳密なデザインをオミットしてしまえば、Seriaの食器売り場で売ってる「耐水・耐熱シール レター ゴシック」の白い数字シールが、縦7mmのサイズもちょうど良く、おすすめです。

Adobe Illustratorを使うことができる場合

Illustratorはベクターデータを扱うことのできるドローソフトです。
グラフィックのソフトウェアには大きく分けて、PAINT系ソフトウェア(ラスター画像)、Draw系ソフトウェア(ベクター画像)の2種類のソフトウェアがあります。

ドットで絵を描くのが(細かいドットになる=画素数が上がる/解像度が高くなる)ラスター画像。AdobeのソフトだとPhothoshopで主に扱います。

点にベクトル(力の向きや強さを表すデータ)を入れて最低限のデータで絵を描くのがベクター画像です。たとえば、四角形を描くには点を4つ、○なら最低で点2つで描くことができるため、とてもデータ量が少なくなります。フォントなどでも使われます。

ベクトルを表すハンドルが出ています

企業ロゴやチームのロゴなどは、無料で公開しているサイトもあります。(著作権やトレースの精度などの問題もあります)
従来はillustratorのai形式やEPS形式のものが世の中に溢れていたのですが、最近ではWebサイトのロゴ画像などにベクターデータとして利用できるSVG形式を使うところも増えてきました。

また、企業やクラブがウェブ上に載せているPDFも、illustratorで作られたもので、再編集を防止するロックをかけられていないものであれば、illustrator上で編集できる場合があります。京都サンガの胸スポンサー「京セラ」のロゴが必要だったときに、製品カタログPDFからベクターデータを持ってきて使ったことがあります。

ベクターデータであれば、サイズを拡大しても縮小しても鮮明な画像になります。また、ユニフォームの柄についてもトレースなどで再現できます。
また、ベクターデータが無い場合に、illustrator上で必死にトレースすれば、ロゴデザインの意図もなんとなく学ぶこともできます。
2022年版では盛岡、山形、栃木、水戸、東京V、金沢、岡山、山口、大分、熊本の胸スポンサーの企業ロゴをトレースしました。

2021年のJ2ミッフィー22体

デカールの貼りつけ

インクジェットプリンターで印刷したデカール。2022年は自宅のプリンターの調子が悪く、エッジが少しにじんでしまいました。

さらに、毎年忘れるちょうどいい具合。水を付けて剥離紙を外す過程でことごとく失敗。水の付けすぎで印刷面が更にインクのににじみが発生。折れ曲がるなどのトラブルも頻発。かなりのやり直しとなりました。
デカールには強力な糊が付いているので、剥がす際には100均などで購入した「シールはがし液」をティッシュに付けて取るとやりやすいです。

土台も付けてしまえ


企業ロゴを貼り付けるだけである程度ユニフォーム感は出るのですが、オフィシャルな雰囲気を出すために、クラブのロゴも掲示します。
透明なプラ板を切り、ロゴも(拾う→印刷する)貼り付けて土台にします。両面テープでミッフィーの足の裏に固定することで、倒れにくくもなります。
クラブロゴも2020年シーズン中に東京Vと岡山が、2021年には山形がリニューアルしています。

2022の土台

胸スポンサーについて

J2の潮流とクラブの経営を考える
経済学の見地までは踏み込む訳ではないのですが、胸スポンサーはクラブの傾向のようなものを表してもいます。
千葉の場合、現行の「富士電機」はクラブの母体企業の一つ古河電工の関連企業ではあります。「古河のフ」とドイツの「ジーメンス(Siemens)」の頭文字を取って「フジ」とした富士山由来ではない富士電機の名称です。2006年までの地元カー用品販売店「オートウェーブ」に代わって使われています。できれば富士電機の旧・英文ロゴの方がかっこよくていいのですが、使われないだろうなと思っています。
2021年シーズン、永井という人格欠損者を監督に置いたためにクラブを揺るがす厄災に遭った東京Vは、かつての「胸スポンサーなし→サポ組織による『緑の心臓』ロゴ掲出」事態は回避。ニチガスの契約が継続されました。
2020年に首里城正殿復興プロジェクトのロゴを掲出した琉球はその後、順調にIT関係企業のスポンサーを得て、今年は「GMOコイン」を付けています。2022ユニフォーム発表時に胸スポンサーが空いていた甲府と山口も、それぞれ「はくばく」「upr」が無事継続されました。
J2昇格のいわてグルージャ盛岡は「NOVA」 。全国展開している英会話スクールですが、図らずも「NOVAウサギ」になりました。
2022はJ3に降格してしまいましたが、北九州は「安川電機」より背面に回った「TOTO」の方がインパクトあって良かったな、とも。


2022年のJ2ミッフィー22体

やってみてわかったこと

「立ちポーズの方が、座りポーズのミッフィーに比べてロゴを貼りやすい」
応援するクラブだけでも、作ってみると楽しいので、やってみてはいかがでしょう?
私よりもクオリティの高いものを作ることができる方はいると思います。
自軍のみ背番号違いで大量に作ってみるとか、GKユニで作ってみるとか、アレンジの方法はいろいろあります。

このあと応援するクラブが大失速した

J2ミッフィーを使って「順位表」を作ってみた最初のシーズン。応援するクラブが失速して、順位表に使うのはやめました。

J1は?

お問い合わせを受けることもあります。
応援するクラブがJ1に昇格することがあれば、喜んで作りたいと思います。

この記事が参加している募集