不育症検査を受けた話

今日は、不育症検査を行った時のことをお話しします。

私は、第一子を子宮内胎児死亡により死産となり、23週でお別れしました。
後から調べているうちに知りましたが、
当時かかっていた病院では、亡くなった胎児の染色体検査を
薦められることも、検査があることも教えてもらっておらず
原因不明なまま退院し、それっきりになっていました。

その後、子宮内膜症の改善のため通っていた鍼灸院で
これまでの経緯をお伝えした時に
不育症検査は行ったか聞かれました。
当時の私は、恥ずかしながら
聞かれるまで不育症という存在を知りませんでした。
【不妊】と【不育】の違いすらよくわかっていなかったです。
【不妊症】とは、一定期間(約1年)避妊をしないで性交しているにもかかわらず、妊娠に至らない状態のことをさし、
【不育症】とは、流産や死産の経験が2回以上ある状態です。具体的には、流産が2回、または流産1回と死産(妊娠12週以降に死亡した胎児の出産)が1回あれば不育症と診断されるそうです。

鍼灸院の先生から、
「一般的には死産や流産が連続して続いた場合に
不育症検査を薦められることが多いけど、
当事者からしたら連続するなんて絶対避けたいよね。
次の妊娠を不安なく続けていくためにも、
自分の身体を知る意味で受けておいてもいいと思うよ。」
と言われました。

先生の言う通り、授かれたとしてまた同じ結果になったら
もう立ち直れる気がしなかったので、
帰宅後すぐに調べることにしました。
幸いにも、住んでいた県に不育症の専門医がいたため
すぐに予約をし検査をすることにしました。

その病院では、受付後番号札を渡されました。
診察室に呼ぶときに個人名を呼ばないための配慮がされており、
一人一人の気持ちに寄り添ってくれているんだなと
診察前から少し安心したことを覚えています。

診察では、死産の時のことを聞かれました。
死産が発覚するまでの経緯、
出血はあったかどうか、
赤ちゃんに奇形があったかどうか、
週数や出生時の体重など。
詳細に当時のことを説明しました。

それから、その病院で受けられる検査の種類の説明がありました。
受けられる検査は

子宮卵管造影・子宮鏡検査
血液検査
染色体検査
血液線溶凝固因子
生殖精神分析
など10種類ほどありました。

あらゆる観点から
何が原因で死産になった可能性があるのかを
追求することができるんだなと感心すらした覚えがあります。

その後、看護師さんとの面談の時間があり
どの検査を受けるのか相談しました。

全て受けることもできるし、
自分が受けたいものだけ選択することもできるようでした。
また基本的に自由診療になるため、
医療費がどのくらいになるのかも事前に教えてもらいました。
私の症例から、受けておいた方がいいものを聞き、
遺伝子検査、プロラクチン検査、凝固因子検査を受けることにしました。

検査は採血だけでわかるものばかりで、
身体への負担はそんなにありませんでした。
費用は10万円弱だったと思います。
検査項目により大幅に変わってくると思いますが、
安くはない金額だと思います。
でも、お金で不安を少しでも減らせるなら、
私にとっては迷いなく払うことができる金額でもありました。

結果が出るまでは1か月程要しました。
長く感じましたし、予約日が近づくにつれ、
緊張と不安が増す日々でした。

そして、当日。
緊張しながら、夫の運転で病院へ向かいました。
病院は患者しか入れないので、夫は車で待機。
どきどきしながら診察室へ入ると、結果と思われる紙がおかれていました。
行った3つの検査のうち、凝固因子検査にひっかかっていました。
簡単に言うと血が固まりやすく、血栓ができやすい体質でした。
遺伝的な要因が強く、
私が生きていくうえで問題が起きるような数値ではないこと。
妊娠した時のみ、赤ちゃんとつながっているへその緒や胎盤から
血液が固まってしまうことでうまく栄養が伝わらず
赤ちゃんに影響が出てしまうことがあること。
血液をサラサラにする薬を毎日服薬することで妊娠中も策は打てること。
この3つを丁寧に教えていただきました。

結果を聞いて、
原因不明の状況であった検査前より、
私自身が服薬することで策を打てることに安堵しました。
一方で、不安も強く感じていました。
というのも、ちょうど結果を聞き受診した日が
第2子を妊娠していることが判明した直後だったのです。
そのことを先生に伝えた時、
本来なら妊活を始める時点で服薬を始めておくべきだったと言われました。
服薬が遅かったことで、また繰り返したらどうしよう。
もっと早くから受診しておくんだった。
そんな気持ちでいっぱいでした。

「私は不育症ですか?」

そう聞くと、

「検査を3つしか行っていないし、
1か月前の身体の状態で引っかかったものは1つ。
不育症の傾向にあるという程度で、断定はできない。
マイナスに考えるより、
自分の身体の特性がわかったとプラスに捉えて向き合っていった方が精神的にもずっといいよ。」
と言ってくれました。

そして、血流をよくするバイアスピリンという薬を7か月分もらいました。
また、日常でも1日2リットルはなんでもいいから水分を取ること。
血流は自律神経とも関連があるから、
ストレスをためないように、マイナスに考えすぎないようにすること。
とアドバイスをいただき、病院を出ました。

結果を聞き、薬をもらっただけでしたが
費用は3万円を超えていました。

検査と合わせておよそ15万円近くかかりましたが、
私は検査しておいて本当によかったと思っています。
原因と思われるものが分かり、私自身で赤ちゃんにとってよりよい環境にしていけることがわかったからです。
第1子の妊娠中、何も知らずに過ごしていましたが、
妊活を始めた時点で検査してわかっていたら、
第1子の妊娠も順調に言っていたのかもなんて、
今となっては遅すぎるたらればを考えてしまうこともありましたが、
第2子の妊娠初期で知れた、とプラスに捉えてどうにか割り切り
すこしずつ自分の気持ちと折り合いをつけていきました。

不妊に比べて、まったくと言っていい程知られていない不育。
【赤ちゃんを授かりにくい体質】と【赤ちゃんが育ちにくい体質】。
比べるものでもありませんが、
妊娠している間に赤ちゃんが亡くなることは、
身体的にも精神的にも、本当に、本当に、辛いものがあります。

妊活しようと考えた時、
婦人科系の健康診断と言われるブライダルチェックは
受ける方も増えており、メジャーになりつつありますが、
その検査項目には不育が分かるものはないことが多く、
あってもオプションで追加料金を払わなければならない産婦人科が多いようです。
基本費用でさえ2~3万円するのに、
オプションとなると、検査をする人は一体どのくらいなのでしょうか。

当事者にならなければ、不育症を知る機会が殆どないというのは
妊娠を望む女性にとって、望ましいとは言えないように思います。

私のような当事者にならないためにも、
不妊だけでなく不育についても広く認知され、
自分の身体を知る機会があることを知ってもらいたい。
また、検査の懸念点とも言える費用がもう少し抑えられ、
気軽に受けられる未来が来ることを、
不妊治療のように不育症治療も保険適用がされる未来がくることを
切に願っています。



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