ツナグ ツナゲル +hanaネットワーク GLOWER'S FILE ⑧〜稀少な国産のアンスリウムで本来の姿と美しさを広める、大佐和花卉園 後編〜
前回ご紹介した、アンスリウムの切り花専門農園である大佐和花卉園さん。稀少な国産のものを多くの人に楽しんでいただけるようにと、手間と愛情をたっぷりかけて育てています。引き続き、生育環境の現状や平野社長の想いを伺いました。
国産の切り花だからこそお届けできる、姿と美しさ
Q:国産のアンスリウムはすごく人気、珍しいと弊社スタッフが言っていたのですが。外国産との違いはあるのですか?
外国産は早く成長させて輸出の関係で箱にぎゅっと詰めて送るので、苞と花の部分がペタンと、みんな同じ形になっているものがほとんどなんです。でも、苞に対して花の部分が垂直に近い感じで咲くのが本来の姿。国産だとその姿のまま送ることができるので、まずは見た目が違いますね。向きや色の出方などもそれぞれ個性があるので、手間や輸送コストは上がってしまいますが、箱へ無理に詰めこまず、自然な姿を大切にして出荷しています。
Q:なるほど。大きさも、とても大きいなと思ったのですが、それは品種によるのですか?
品種によりますね。さっき見ていただいた特に大きいものは「おばけ」と呼んでいるものです。他国でも「OBAKE」とそのまま呼ばれているそうです。あと、いまアンスリウムは需要が高くてよく売れるので、コストの関係で小さめのものがたくさん輸入されているんです。それが見慣れているので、大きく感じたのもあるかもしれませんね。
Q:大佐和花卉園さんのアンスリウムは、以前+hanaの定期便に加えさせていただいたことがあるのですが。花持ちの悪い夏だったにも関わらず、1ヵ月以上きれいな状態が続いたので、すごいなと思いました。
こだわりというか一番意識しているのは、農場で咲いているのと同じ形でお客さんのところへ届くようにすること。そして、届いてから2週間以上はもつ花を育てること。そのために花や茎が充分なハリと硬さのあるしっかりとしたものになるよう十分に育てて、採花してから水揚げもしっかりして、鮮度の高いものをお届けすることを心がけています。
Q:大佐和花卉園さんの、大きな特長ですね。
うちから出荷するアンスリウム全てが、「きれいで長もちする」という印象を持っていただけるようになりたくて。そのために、品質を安定させたいと試行錯誤しているところです。
Q:そういえば、以前+hanaで出荷させていただいた時に、原種の「クラリネルビティウム」も入れてくださっていましたよね。あれはとても驚きました。
ありましたね。葉の方を出荷している品種の、花の部分だったんです。
Q:切り花としてはワイルドな見た目でびっくりしましたし、本当にアンスリウム?と思ってしまいました(笑)。
あの花を「いい!」と言ってくれる人がほとんどいなくて。葉を出荷する時に花も切って、捨ててしまうことが多くてもったいないんです。
Q:お客様からも反響がすごくて。最初箱を開けた時に分からなかったけど、よくよく見たら入っていましたという方もいらっしゃいました(笑)。それ、稀少なので当たりです!とお伝えすると、喜んでインスタに投稿してくださったり。
嬉しいですね。花が爪楊枝の先っぽくらいのものもありましたからね。
Q:でも+hanaは発送のことを考えると小さい花もありがたいので、こちらも助かりました。お花の部分がまだ育ってない規格外のものもありましたが、それもお客様にはこういうものですとご案内したら、クレームにはならずにみなさん個性として捉えてくださいました。
通常ではほとんど出荷できないので、こちらもありがたいです。
鉢植えで育てるワケ
Q:農園を拝見して、鉢に植えられていることに気づいたのですが。何か理由があるのですか?
もともと原種は地面に根を下ろさずに、大きな樹木の上で育つ着生植物なので、あまり地植えに適していないんです。それと、全世界に広まっている「キサントモナス」という細菌の黒腐病に、アンスリウムは感染しやすくて。ハワイではその感染で一つの農園が全滅しただけではなく、他の農園にも全部うつるという一大事になったことがありました。汗でもうつっていく水媒介の性質を持っているので、地植えするとどこかにその細菌が入った場合は一気に全滅してしまう。それを防ぐために、株ごとの鉢植えにしています。
Q:怖いですね。
そういう心配など、日々苦労しています。15、6年程前、新しくできたオランダの種苗会社から取り寄せた苗に、虫がついていたことがあって。検疫を通ったはずなのになぜかついてきて、うちにある30万株の花全部にうつって全滅になったんです。保証がないから、クレームを入れることもできなくて。泣き寝入りするしかありませんでした。
Q:ものすごい損失ですよね。
数千万円規模でした。新たに苗を注文して、花が咲くまでに1年かかる。じっと待っておくしかなかったのは辛かったですね。
Q:逆に、この仕事をしていてよかったことや嬉しかったことはありますか?
普段は一般のお客さんと会うことがあまりないのですが。先日あるお花屋さんへ行った時、たまたまうちのアンスリウムのことをお客さんに説明してくれているのを見て、照れましたし、嬉しかったですね。お客さんがうちのアンスリウムを選んでお店の人と話をしているのを聞けた時も、この仕事をしていてよかったと嬉しくなりました。
Q:育てた子の晴れ舞台のような気持ちですよね。
ほんと、そうですね。花そのものというより、好きなお花屋さんからの注文には、何としてでもご希望にお応えしたい気持ちになります。そうしたいと思える、人と人との付き合いも、この仕事では多いのかなと思います。
イメージと可能性が広がる、+hanaとのコラボレーション
Q:生産者さんだけが知っているような、アンスリウムのオススメの飾り方などはありますか?
一輪挿しに一本だけ飾っている方が多いのでは?と思うんですけど。アンスリウムだけの花束で飾るのも、存在感があっていいですよ。たまに直接ブーケの依頼があるんですけど、アンスリウムの花と葉だけのアレンジメントは、見応えがあって華やかですから。
Q:素敵ですね。他に、皆さんに知ってもらいたいことなどは?
お花屋さんで買うと、延命剤がついてくることがあるじゃないですか。品種にもよるんですけど、アンスリウムは延命剤が苦手な品種も多いんです。うちが持っている品種だと、わりと延命剤は苦手ですね。
Q:そうなのですね。+hanaの定期便でも、延命剤はいつも一緒に入れて送っています。お水の量や延命剤や、それぞれ特長があるので都度説明もしているのですが。そのまままとめて飾られる方もいらっしゃいますが、ずっと定期便をしてこちらが発信する説明を読んでくださっている方は、その花にあったケアを少しずつ試してくださったりもしています。
そうやって情報を出してくださるといいですよね。私たち生産者も助かりますし。お花を少しでも長く楽しんでいただくためにも、プチ情報があればいいと思います。
Q:+hanaの取り組みを聞かれて、どう思われましたか?
アンスリウムは傷つきやすい花でもあるので、若干心配もありました。でも一度送ってみて大丈夫だったので、参加させてもらえたら国内産のアンスリウムの需要がもっと広がるのではと期待しています。需要の少ない葉や原種の花も廃棄することが多いんですけど、通年ありますので、使っていただけたら嬉しいですね。
Q:普通じゃ出会わない、レアな当たりの楽しみをお客様にお届けできるので、こちらも嬉しいです。
ぜひ+hanaさんで、国産のアンスリウムを広めてください。
Q:最後に、今後の目標や挑戦したいことはありますか?
今は成育する品種をお花屋さんと相談して決めたりしていますが。将来的には自分からの提案型でしてみたいですね。それに、この仕事をし始めてからの一番の目標である、オリジナルの品種をいつか自分で作ってみたいです。
花は自然に近い姿だと、より魅力が高まります。それを多くの方のもとにお届けして長く楽しんでもらえるようにと、平野社長は今日も農園を見守ります。通年咲く稀少な国産アンスリウムを今後も皆さまの元へお届けしてまいりますので、 “延命剤を入れず”に、その魅力を存分にお楽しみください。
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