記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画レビュー『プライベートライアン』、トム・ハンクス主演1998年。

#映画レビュー    #映画感想文
#プライベートライアン
#ネタバレ    #トムハンクス

アメリカの本格戦争映画『プライベートライアン』。なにが凄いのか?とにかく戦闘シーンは、本物のようにも観れるのだ。弾に当たった兵士の頭が吹っ飛んだり、下半身がなくなったり、血まみれになって横たわるものもいる。その銃弾の音も凄まじい。なにせ実弾を使って撃ったものを録音したというのだ。画面に釘付けとなり、戦場に迷い込んだかのような錯覚となった。

*映画の概要
スティーブン・スピルバーグ監督が第二次大戦を撮った4本目の作品となる。一作目が、1979年の『1941』。日米の太平洋戦争を扱ったもの。2作目、『太陽の帝国』(1987年)。日中戦争時の上海、そこにいたイギリス人少年の話し。3冊目は1993年の『シンドラーのリスト』。ナチスによるユダヤ人絶滅、それに対抗して多くのユダヤ人を救った人物シンドラーを描いた。

4作目がこの『プライベートライアン』、原題は「Saving Private Ryan」つまり「平卒ライアンを救え」である。1998年に封切られた米国の戦争映画。主演はトム・ハンクス。脇を固めたのがこのとき売出中のマット・デイモンだった。

*あらすじ (ごく簡単に)
ドイツとソ連は戦争となった。ソ連のスターリンは西側からドイツを攻撃するよう、英国首相チャーチルに頼み込む。これを受けて、米英軍を中心とした連合軍は、フランスの海岸から全軍を上陸する作戦をたてた。当然ドイツとしても、これを防がねばならない。フランス海岸沿いの長い距離に、いくつもの防衛拠点をつくり上陸阻止をはかる。

連合軍は、ドイツにニセ情報を流したり、ダミー兵器を並べたりしてドイツ軍を撹乱する。上陸地点はノルマンディー海岸だった。1944年6月6日、連合軍はこの地を5つの区域に分け上陸する。とくに戦闘が凄まじかったのが、米軍が担当したオマハビーチだった。その死傷者は2千人とも言われ、このオマハで戦った全体数の50%以上(一説には70%)とも言われている。

この海岸で指揮したのが、ミラー大尉(トム・ハンクス)。多大の犠牲者を出したが、ドイツの守りを突破する。ドイツ軍を殲滅し、上官に報告にいくと、次に与えられた任務は「一人の平卒ライアン」を探しだし、本隊に連れ戻すことだった。ミラー大尉は、有能を兵7名選びだし、フランス内部へと進んでいく。

*観どころ、その①
原題にある「プライベート」は、1等兵なしは2等兵を意味する。ライアンは空挺隊に所属し、フランスの内部まで入り込んでいた。この兵隊を探し出すのは、容易なことではない。空からの輸送で、次々にフランス内陸部に降下している。どこにいるかは全くわからないのだ。
 
1人の兵隊のために、歴戦の有能な将兵8名がおこなう任務。ミラー大尉に選ばれた兵は、クチグチに「フーバー(FUBAR)」と言いあう。このフーバー、米軍のスラングで「Faked  Up  Beyond  Al l  Recognition」つまり「めちゃくちゃで、自分たちの理解を超えた馬鹿げたこと」。そう言っていたのだ。

米国においては、一家族にとって兄弟全員を戦死させる事はあってはならないこととしていたようだ。第二次大戦中に、実際にあった話をもとに映画をつくったと言う。ナイランド4兄弟の話しがそれ。長男、次男、三男が次々に戦死。4男はノルマンディ作戦に参加し戦ったがまだ生きていた。そこで軍上層部は、この4男を米本国に呼び寄せ、安全な任務につかせたという話である。

*観どころ、その②
映画の終盤、ようやくライアン1等兵を見つけだす。そして本隊へ連れ戻そうとするのだが、ライアン本人はこの地にのこって仲間と戦うというのだ。ミラー大尉としても、任務上ライアンを残しては戻れない。選んだ道は、自分たちも空挺隊とともに戦うことだった。

ライアンは1等兵である。つまり、部下が4〜5人はいたのだ。彼らは見捨てられないということである。ミラー大尉としてもそのことがよくわかっていたと思う。自分の後ろにライアンを置いて、銃撃されないようかばっていた。ドイツ軍には戦車もあり、次々に兵を繰り出してくる。壮絶な戦いとなり、ミラー大尉の部下も一人一人なくなっていった。

*まとめ
映画のレイティングは「PG12」。という事は12歳以上なら観ることは可能だ。しかし、これだけ血なまぐさい映画を、よくこのレイティングにしたな!そう感じた。たぶん戦争の悲惨さを、子供にも知らせるべきとの考えのもとだろう。

ミラー大尉の選んだ兵たちは、それぞれ独特の個性を持っていた。フォーバス一等軍曹、彼は様々な戦地で戦った勇士である。ノルマンディーに上陸すると、その地の砂を袋にいれ、バックにしまい込んだ。行く先々でそうしているのだと言う。

アパム五等技能兵。彼は司令部付きの事務方だった。ミラー大尉、フランス内陸部に入るため、フランス語とドイツ語はできる部下が欲しかったのだ。まったく戦闘経験のないアパム。このアパムは、最後にミラー大尉が命を救ったドイツ兵を殺してしまう。そこが考えさせられるところにもなっている。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集