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自己啓発本の名著『バカの壁』(2003年養老猛司)、もう一度学ぼう!

#自己啓発    #バカの壁
#養老孟司  

日本で歴代売れた本の第5位(累計450万冊)となっている。ベストセラーであり、自己啓発本として、多くの日本人に影響を与えた。出版当時、読んだ事は記憶はしているものの、内容については「?」となってしまった。名著であることに違いないので、ここでもう一度、学び直してみようと思う。

*養老氏のいう「バカ」とは?
一般的な意味とは違ったニュアンスで使っている。それは「ひとつの考えに固着し、他人の話を聞こうとしない」、そして「自分の考えは絶対であり、正しい」とするもの。このため著書のなかで「バカには話が通じない」とする。「バカ」に対して話をするのは無駄だと言うことだ。

わかり易いのが、新興宗教にどっぷりハマる人。本来は、教祖の著わした原典を読むべきところ、その解釈文ばかりを頭にいれる。解釈文とは、自分と教祖との中間者が書いたものであって正しいとは限らない。それなのにそれを信じてしまうのだ。そこに問題があると言える。

宗教においては、かりにその教団の幹部だとしても、話してる内容が正しいとは限らない。あくまでその幹部の個人的な意見なのだ。だが、たいていはそれを「是」としてしまう。つまり自分では物事をふかく考えない!そういった人こそ、まさに「バカ」と言うことになる。

*戦前、戦中のニッポン!
この当時、多くの日本人が「バカ」となっていた。天皇を神として崇め、その言葉にしたがう。だがこれも、軍部や軍の言いなりになった政治家の一方的な意見。これに輪をかけたのが「マスコミ」であり、教育機関だった。まさに日本中が、世界に流れに逆らう方向にむかい動いていく。

欧州では、ドイツにおいても日本と同様なことが起きていた。ドキュメンタリー番組にそのことが映し出されている。ユダ人への迫害やまさに異常とも言うべきもの。自分たちドイツ人の生活が苦しくなったのは、すべてユダヤ人によるもの、そう決めつけた。

冷静に考えれば、それはあまりにも一方的であるし、変な話なのだ。だが当時、誰もそれが間違っているとは思わなかった。一部では確かに声を上げて反対する人はいたが、権力によって押しつぶされる。これが戦争へのヒキガネとなった。

*現在(2024年)も危ない状況に!
養老先生は「答えは決して一つではない」、また「さまざまな意見に耳を傾けろ!」と話している。これが「バカ」にならない方法なのだ。ところが、インターネット社会となり、ロボット管理となったWebの世界では、自分の意見と同じ情報が、大量に流れてくる。これにより、ちがった別の意見に触れることがなくなってしまう。

私自身も、先の都知事選(2024年)で、YouTubeやSNSをよく見ていたが、あのとき候補者の石丸信二氏の情報て溢れかえっていた。1回でもページを開くと、次々に送られてくるのだ。選挙結果をみて気づいたのだが、なるほどこれでは得票を伸ばす!と…。

これは「バカ」につながる仕組みと言える。情報が一方的なのだ。そもそもヒトは候補者の話をまともに聞いているわけではない。あくまでその人のイメージで投票するのだ。また見慣れた人には好意をもつ。そういったヒトの特性も影響するという。

*ある古文書学者の話し!
名前のほうは、すでに忘れてしまった。ただこの先生の話した言葉だけはハッキリ覚えている。「私の説明には間違ったことがあるかもしれません。気軽にドンドン指摘してください!」。流石だと思った。ここまでハッキリいう教師の話を聞いたことがない。これこそ「バカの壁」を打ちやぶるカギなのだ。

「学問」とは、わからないこと、未知への探求と言える。そこには答えなどない。また仮にいま定説であったとしても、新しい資料の発見で変わってしまう。学問の世界とは、そうしたものなのだ。そのことを先生は暗に教えていたと思われる。教師だって間違えるし、それがダメと言うことではないのだ。逆に間違いを指摘されて受け付けないのであれば、それは学問ではなくなってしまう。そういうことだろう。

*まとめ
世界では未だ戦争が長引いている。イスラエルとパレスチナの争い、ウクライナvsロシアとの戦いは、泥沼状態だ。これは自分たちの考えが正しく、相手は間違っている!そんな考えによるものだと言えるだろう。日本においても、そういった原理主義の人たちが増えている。さらに言えば、日本政府内でも一定のチカラを持っているようだ。彼らは自分たちが「バカの壁」によって行動していることがまるでわからない。しかも彼らと話しても、全く通じる事は無い!ほとんどの人は「戦争はしてはダメ」と言う。だが、これが戦争への道を開くことだということを、決して忘れてはならないだろう。

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