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映画レビュー『ハント・フォー・ザ・ワールドピーポー』(2016年NZ映画コメディー)
#映画レビュー #映画感想文
#ニュージーランド映画
#ハントフォーザワールドピープル
ニュージーランド(NZ)映画というのを初めて観た。この国の人口はわずか500 万人、日本の24分の1しかいない。国土面積は27万平方キロメートル、日本より2割ほど広い。一人当たりのGDP、日本3万4千ドル、NZは4万ドルとされる。これを見ると、何か住みやすい国と思ってしまうが、犯罪は日本より15倍ほど多いのだ。日本旅行者は気をつけなくてはいけない。NZ人の気質はおおらか。知らない者同士でも会話する人たちである。言ってみれば日本の田舎の風景とも見てとれるようだ。
*映画での登場人物
まずは、リッキー少年。リッキーベーカーと言っていた。里親になるのが、ベラおばさんとヘクターおじさん。そして児童養護局の役人、ポーラ・ホール。彼らの間でくりひろげられるコメディー。そこに、森林キャンプを通じ、人と人との心が通いだすヒューマンドラマとなっていた。
*簡単なあらすじ
森林の奥、またさらにその奥へとパトカーは進んでいく。たどり着いたのは60代の夫婦の家だ。車から警官1名と、児童養護局の役人ポーラが降りてくる。後部座席に乗っていた少年リッキーを、この夫婦には預けるため、この土地までやってきた。
リッキー少年は札付きの問題児。モノは壊すし、盗みもおこなう、嘘も平気で言う少年だった。そのことをポーラは夫人のベラに告げる。だが、そんな話を聞いても、ベラは全く意にかいさない。暖かくリッキーを迎える。このベラの凄いところ、それは何事にも動じないこと。少年が脱走することなど初めから見抜いている。そうして、少年との心の壁を徐々に崩していくのだ。一方、夫のヘクターは無口で、少年に関心など全く示さない。ニ人の距離は埋まらずにいた。
そんなある日のこと、妻のベラは心臓発症により急死してしまうのだ。途方にくれたヘクターだが、いちばん困ったのは少年リッキーだった。また児童養護局に引き取られ、里親へとたらい回しにされる!これを防ぎたかった。ヘクターとしては、リッキーのことなど、どうでも良い!早く引き取ってもらいたかったのだ。ここでリッキー少年は、ヘクターと一緒にいられるよう策を練る。自分がヘクターに連れ去られたように工作したのだ。………それからと言うもの、ニ人の森林での逃亡生活が始まった。
*見どころは森林サバイバル術
町場で育ったリッキー少年。森林の中で生活する知恵など持っていなかった。ヘクターと言えば、長年にわたり森で生活していた人物だ。森のなかでの生活、その全てを知り尽くしていた。これをリッキーに教え込むことになる。
道に迷ったら、川を見つけ、上流に向かって登って行け!という。ここで見晴らしの良いところへ出たら、自分の現在地がわかると教える。川には魚もいて、食糧には困らない。また水はいつでも飲めるから、サバイバルにはこの方法はベストと言える。
いちばん気をつけなくてはいけないのは、精神がおかしくなることと言う。ヘクターがいうには、気が狂い出すと、真冬に服を脱ぎ捨てる人間が多くいると言う。そんな凍え死んだ人物を何人も見てきたと言うのだ。森林のなかでの生活、心を落ち着かせる!これが大事だと言う。
*途中で起きるアクシデント
森林のなかで3人の猟師に出会う。児童養護局のポーラの通報により、ヘクターが子供を拐ったとして、テレビニュースにもなっていた。猟師3人とヘクターはもみ合いになる。そこにリッキー少年が銃をかまえ、ヘクターを救い出すのだ。
馬に乗った少女(高校生くらい?)との出会い。この少女、少年リッキーについては、テレビを見て知っていた。リッキーを自分の家に招き入れる。この少年には「懸賞金」がかかっていたが、そんな事はどうでもよかった。父親も、娘同様にリッキーについて優しく接してくれたのだ。
*まとめ
この映画、少年にサバイバル技術を教えるという設定になっていた。そこが何といっても良いところと言える。巨大な猪とも思われる動物。これをいとも簡単にナイフで仕留める。これに問題少年は驚くという設定。町では味わえなかった田舎に住む人たちの交流、これにより少年リッキーは、徐々に心を和ませていくのだ。
はじめヘクターは、少年リッキーとは別れたいと思っていたようだが、彼との交流のなかで、徐々に心を通わせていくようになっていく。コメディー要素も多分にあるが、ヒューマンドラマとなっていた。ニュージーランドの自然もふんだんに見れたことも、この映画の良い点といえるだろう。