見出し画像

ブックレビュー、久坂部羊著『人はどう死ぬか』を読んで考えたこと!

#死に方 #久坂部羊
#人はどう死ぬのか
#ブックレビュー
#読書感想文
母方の親族M氏(45歳男性)が、この正月2日に訪ねてきた。若い頃からこの家族とは、仲が良くお互いよく行き来したものだ。話を聞くと、80歳となる父親は、咽頭癌ですでに3回手術していると言う。母親(75歳)はというと、5年ほど前から認知症となり、これがかなり進んだと話していた。料理は息子の自分がつくり、母を風呂に入れているとのこと。元気だったときのことを懐かしく思った。

*人の死とは?日本の現状!
生きているものは、いつかは必ず死ぬ。これにあがなうことはできない。できることなら周りを煩わせることなく、ポックリと逝きたい!誰もがそう思う。しかしこれができないというのが常。この考えは、看取りの現場を立ちあう医師によるとすこし違うようだ。日本人は驚くほど長生きになった。平均寿命と健康寿命はともに世界第一位である。

平均寿命とは、「0歳における平均余命」のこと。健康寿命はWHOの定義では「健康上の問題で、日常生活が制限することなく生活できる期間」である。2023年のデータによると、平均寿命が男性74.1歳、女性84.3歳のようだ。だが、男性で9年、女性で11年も介護が必要となる。国としては、さらなる高齢化に対し、これを縮めようと動き出した。

90歳まで生きる人は、男性で「4人に一人」。女性で「2人に一人」の割合となっている。1980年の時点では、男性9.4%女性20%。2000年では男性17%で女性は38%だった。かなり長生きとはなったが、介護に9年10年も世話を受けなければならず、QOL (生きるうえでの満足度)は高くない。

*どのように死にたいと思う?
長野県は長寿県として有名。この長野で進められているのが「ピンピンコロリ(PPK)」だ。昨日まで元気で誰の世話にもならず生活していたのに、今日布団のなかで死んでいた!これがよいと言う。だが久坂部医師によると、「ピンピン」はわかるが、「コロリ」は難しいそうだ。なぜなら、健康であればポックリは死ねないため。そうはうまくいかないとする。「ピンピンダラダラ」となってしまうのだ。

では「老衰死」はどうか?こちらも楽な死に方ではないとする。嚥下不良となれば、食事を口に入れるのも苦しくなる。また寝たきりになれば「床ずれ」もおき、痛みに悩まされるのだ。こちらはこちらでそう楽な死に方とは言えないという。

「突然死」する人は、だいたいが健康について無頓着な人だ。タバコは吸い放題、酒も毎日ガブ飲みする。食事内容についてもほとんど考えない。血液検査をすれば、いくつもの項目に※印がつく。そんな人が「コロリ」と死ぬのだ。

*医師はガンで死にたいと思う!
この著書で意外だったのは、癌による死がよいという話し。誰もが癌にはなりたくないと思っている。このため、いろいろと健康的な対策をするのだ。だがガンにもメリットがあると言う。そしてほとんどの医師はガンによる死を望むとされる。これはどういうことか。

まず「突然死」だが、死の準備などまるでできていないので、家族や親族に見せたくないものが知られてしまうのだ。それがよくない。また「老衰死」は、人の世話にならねばならず、さらにその苦痛も耐えがたい。いつ死ぬかわからず、苦しみ抜いての死となる。

この点、癌ではおよその死の時期がわかる。しかもゆっくり進むので対応しやすいと言えるようだ。最近では薬もよくなり、ガンと共存しながら生きることができ、QOLも高くなるという。ガンでの痛みも緩和ケアをおこなえば心配がないとされる。

*まとめ
「認知症にともなう死」も辛いようだ。認知症となると何もわからないと思うが、これは違うという。自分の記憶がおかしくなる事はわかるとされる。「認知症」そのもので死ぬことはないが、身体機能が低下し免疫力も落ちる。これにより呼吸器感染や、循環器疾患を引き起こし、死に至るのだ。

人は自殺でもしない限り、「死に方」を選ぶことはできない。ただこの本を読んで、かりにガンとなってもそれにはメリットがあることがわかった。このことは今まで誰も言っていない話である。それがわかっただけでも、この本を読んだ意味は大きかった。これが私の率直な感想だ。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集