米国映画2008年『ディファイアンス』ホロコースト映画！

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第二次世界大戦中のナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺、ホロコーストを描いた作品。実際にあった話をもとに、作りあげたと言う。舞台はポーランド東側の森林地帯(現ベラルーシ)、家族で農業をしていたビエルスキ一家は、ナチス親衛隊のユダヤ人狩りに遭い、父母兄弟2人を亡くす。生き残ったのは男4人の息子たちだった。長男トゥビィア35歳、アザエル33歳、ジュス31歳、そして末の弟アローン14歳。彼らは生活圏だった森林に逃れ、生き残ることができた。

＊森林に逃れたユダヤ人たち！
ビエルスキ兄弟は、田舎暮らしで、農業をいとなんでいたが、森林に身をひそめていたユダヤ人のほとんどが街で暮らしていた人たちだった。つまり、都市生活者はインフラなしの生活では生きられない連中である。それでもトゥビィアは彼らを助けようとした。ユダヤ人同胞ではないか！そう思ったのだ。

弟のジュス、これには反対だった。あくまでドイツ軍と戦い、一人でも敵を多く殺そうという。結果として兄弟は反目し、別れることとなった。トゥビィアは元ポーランド軍に所属した軍人で、この土地には顔馴染みのポーランド人友人もいる。彼らに食料や武器の支援を求め、手に入れることができた。

ナチス親衛隊により、ユダヤ人のほとんどは、収容施設であるゲットーに入れられた。トゥビィアはこのままでは彼ら全てが殺されることになると確信する。夜ひそかに忍び込んで彼らを説得したのだ。リーダー格はそれには反対だったが、話を聞いたほとんどのユダヤ人はトゥビィアの誘いにのり、夜密かにゲットーを脱出する。

＊備蓄した食料が底をつく！
大人数となったユダヤ人たち、当然のこと食料は日増しに少なくなっていく。とうとう備蓄はゼロとなってしまう。トゥビィアとしても、こうなるとどうにもならない。自分の愛馬を殺して、その肉をみんなに分け与えたのだ。苦渋の選択だった。

この日を境に、男たち十数名で、近隣の家を襲い、食料を調達してくる。だがそれにも限界があった。トゥビィアは平等に分け与えようとするが、調達してきた連中は納得しない。リーダー格はトゥビィアに対してもうお前は要らないとした。ただトゥビィアはこの男を拳銃で殺す。そして調達班にたいし自分に従うよう指示する。

＊森林へのユダヤ人狩り！
ナチス親衛隊も森林にユダヤ人が潜伏していることを知っていた。掃討作戦を始めたのだ。まずは空からの爆撃、そして地上部隊の投入である。トゥビィアはユダヤ人仲間たちを連れ、森林奥ふかく入っていく。とにかく逃げ通そう！これが合図だった。

ところが突然、目の前にあらわれたのは大きな沼地だった。万事休す！そう思ったトゥビィア、体から力が抜けていく。これを助けたのが弟のアザエル、ひ弱と思われたこの弟は「ローブと皮ベルトをつなぎ合わせれば、渡り切ることができる」と言う。この言葉に、励まされ、全員が対岸にたどり着く。

安心したのも束の間、ドイツ軍地上部隊の襲撃があった。戦車も投入され、反撃するものの徐々に劣勢となる。このとき別れたはずのジュスが、仲間を連れ駆けつけてきてくれたのだ。これにより一気にドイツ軍部隊を殲滅する。

＊抵抗勢力、最大のグループ！
終戦時にはユダヤ人1200名もの人数を抱えていたと言う。ユダヤ人にとって、ビエルスキ兄弟は「英雄」とされる。だが、一方、ポーランド人からみると掠奪をおこなったソ連赤軍と同じ盗賊との扱いだ。ホロコーストの現実を知るだけに、これは多めに見るべきではないかと思う。

映画の内容としては、兄弟の確執があり、生き残りをかけた食料調達あり、ソ連赤軍との対立あり、そして兄弟の和解がある。この土地を熟知していたビエルスキ兄弟がいたからこそ、「デファイアンス」つまり抵抗が可能だったということだ。ホロコースト映画では唯一のナチスへの反抗だった。

＊まとめ
主人公トゥビィアを演じたのは6代目007のダニエル・クレイグ。絶望の淵にいながらも、ユダヤ人同胞を救いだす。一見ニヒルにみえて、じつは仲間思いなのだ。これをうまく表していた。一方、ジュス役のリーブ・シュレイバー。荒々しさが出ており、こちらも光っていた。実年齢はこの映画撮影時ともに40歳くらい。このため、どちらが兄かわからない。

アザエルを演じたジェイミー・ベル。この撮影時は22歳ほど。こちらはなんとも若すぎたようだ。実際はトゥビィアの2歳年下。少し弱々しい感じが否めない。だが、このアザエルの判断により、沼を渡りきることができたのだ。なんとモーセの十戒にも似たシチュエーションである。エジプトから逃げるイスラエル人、「海が突然割れ道ができる」と…。