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米国映画『フィラデルフィア』(1993年)、トム・ハンクス&デンゼル・ワシントン共演!

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法廷ドラマと医療系ドラマはいつもよく観る。今回は、大物スター2人の共演『フィラデルフィア』、大手弁護士事務所で働いていたシニアアソシエイトが、エイズ発症により解雇されたという話し。アフリカで始まったとされるHIVウィルスによる感染が、1980年代に米国に入ってきていた。この当時、このエイズが発症すれば「死に至る病」とされ、人々から恐れられていたのだ。この背景があり、弁護士事務所としては、罹患したスタッフの排除を狙ったとされる。ドラマはそうしたなかで作成された。

*映画のポイントは役者?
なんといっても、ビックスターの共演である。この映画の制作時、2人はともに40歳少し前だった。トム・ハンクスが1956年生まれ、デンゼル・ワシントンは、1954年生まれで、ほぼ同じ歳。身長もお互い183cmと184cm。両親が離婚していたという環境の中で、彼らは育っている。

ただ役者としては、違った役柄で出ている。デンゼル・ワシントンは、インテリやマジメな性格の人物として捉えられていたようだ。『イコライザ』や『マルコムX』。一方、トムハンクスは、リーダー的な役柄や、ちょっと変わった人物に採用されている。前者では『プライベートライアン』や『ハドソン川の奇跡』。後者では『フォレストガンプ』、『ターミナル』といったところ。

このとき既に40近くなった2人。ともに存在感は際立っていた。トム・ハンクスは、この映画で体重を13 kgも落としたと言う。デンゼル・ワシントンも法廷での弁舌では、説得力のある演技がひかっていた。この映画で、トム・ハンクスはアカデミー主演男優賞をとっている。さらに翌年1994年『フォレストガンプ』で2年連続の受賞となった。

*ごく簡単にストーリー解説!
フィラデルフィア最大の弁護士事務所に勤めるアンドリュー・ベケット(トム・ハンクス)。同性愛者であり、エイズ患者だったことを、同僚に隠し働いていた。だが、病変は徐々に顔にも出始める。これに同僚は気づいてしまう。ベケットとしては、どうにか隠せないか考え、仕事を一時的に休んだ。

このとき何故か?事務所はベケットに対し、大事な案件を任せていた。当然のこと、ベケットは完璧に仕上げ、書類を事務所に保管していたのだ。自分の秘書に、書類を翌日(提出期限の前日)に出すように電話で依頼すると、「それがない」との話し。PCデータとしても残っていなかった。バケットは大急ぎで事務所を探し回り、ようやく見つけだす。

だが、弁護士事務所は、このことでベケットを解雇してしまう。裁判所への提出は間に合ったのだ。それでも落ち度があるとした。これにベケットは疑問を感じる。自分が意図的に解雇されたのではないかと…。

ベケットの体調は良くなかった。訴訟で法廷に立ってくれる弁護士を探したのだ。8人に断られ、9人目にいったのが、ジョー・ミラー弁護士(デンゼル・ワシントン)。ベケットがエイズで同性愛と聞くと、すぐに断る。しかし、たまたま立ち寄った図書館で、差別されているベケットを目撃し、訴訟を引き受けることにした。法廷に立ったミラー弁護士、巧みな弁舌により、陪審員を味方につけ勝利する。

*この映画の見どころは?
とくに華々しい展開というものはない。あくまで弁護するセリフが聞きどころと言える。ミラー弁護士自身、エイズと聞いて自分も感染するのではないか!そう思ったようだ。だが、検診にいった先の医師から、「血液や体液に触れなければ移ることは無い」と告げられ、エイズへの知識を得た。

ミラー弁護士の法廷でのセリフ。「その1、ベケット氏は、いまだに有能な弁護士」、「その2、ベケット氏は自分の権利として、事務所側には伝えず、黙っていた」、「その3、雇用側の事務所は、ベケット氏がエイズであることに気づいた」、「その4、彼らはそれに怖気づいた」。ミラーはさらに続ける「そうして、それによりベケット氏を追い出したのだ」、「同義的に理解できても、これは明らかな法律違反である」と…。

*映画のタイトル『フィラデルフィア』とは?
このフィラデルフィアの街において、1682年に人類史上初となる「信仰の自由」が保障された。そして米国は1776年に、このフィラデルフィアにおいて英国から独立を宣言する。わずか13州ではあったが、独立を勝ちとったのだ。

このフィラデルフィア、ギリシャ語が元となっていると言う。「Phil」は、愛をあらわし、「adelphi」が兄弟を意味する。つまり、この土地において、何よりも大事なのは、同胞兄弟への愛と言うわけだ。かりに障害者だって、同性愛者に対しても「愛」を持って接しなければいけないということである。

*まとめ
この映画、制作費はおよそ30億円(1ドル110円換算)で、最終興行収入が300億円だったと言う。難しい問題をテーマにして、頭を悩ます映画であることを考えると、まずまずの成績と言えるだろう。日本においても同様の裁判が1992年にあった。この映画の影響によるものかはわからないが、この映画と同じように解雇した会社側は敗訴になった。

1990年代半ばから、HIVウィルスに感染しても死ぬという事はなくなっている。ただし、薬は一生飲み続けなければいけないと言う。さらに研究が進み、感染しても完治する日が来るかもしれない。実際、サルの実験では成功しているとされるのだ。

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