【ぶら近所】アイメイト発祥地
今年は異常な暑さ。7月、8月は買い物など必要以外ほぼ引きこもり。9月に入っても、まだ暑い日が続いている。もう、猛暑日は結構です。
なので、近所ネタで…。
近所にアイメイト発祥の地を示す説明板がある。(東京都練馬区関町南2丁目)吉祥寺通りに並行する裏道の住宅街。アパートの前の道路に面した場所。気を付けなければ見過ごしてしまうような簡素な説明板。
アイメイト協会は昔は東京盲導犬協会といっていた。盲導犬を育成する公益財団法人だ。協会では盲導犬とは言わず、アイメイトと呼んでいる。
日本で初めて盲導犬を育成した塩屋賢一氏が立ち上げた。
ここは元、塩屋さんの自宅があり、ここで盲導犬が育てられていた。
現在は盲導犬(アイメイト)といえばラブラドールレトリーバーだが、筆者が小学生の頃はシェパードだった。細かい金網を貼った犬舎が道のわきにあり、中の犬たちがよく見えた。
遠い記憶なのであいまいなのだけど、無駄吠えをしないように訓練されているとはいえ、外から見える状態で飼育されていたので、近所から苦情はなかったのだろうか。当時(1960年代)は、まだ周囲に空き地や畑は多かったが…。
犬舎は屋根もついていたが、とにかく夏も冬も吹きさらしなので、今ほどの夏の厳しさはなかったとはいえ、犬たちのストレスは大きかっただろうと思う。(当時は犬は屋外で飼育するのが普通だった)
今はアイメイトは西武新宿線の北側、新青梅街道のところにあり、建物もコンクリート造りで犬たちも空調の効いた場所で快適に過ごしているだろう。
アイメイトが近所にあったころは、よく訓練しているところを見かけた。
時には道路わきに積んであるごみ袋をわざと崩して、そこを歩かせたりする。視覚障害者に的確に障害物があることを知らせなくてはならない。犬がそれをせずに、ただゴミをよけて通ろうとすると、トレーナーはわざとゴミ袋に躓き、すぐに鋭い声で「no!」といって叱り、ごみ袋をバンバン叩いて指導する。犬はトレーナーの顔を見ながら、その意味をくみ取ろうとしている。その顔つきは真剣だ。そして、うまく障害物を知らせることができたら、「good!good!」とたくさんほめて、撫でてやる。こういったことの繰り返しだ。
今も、視覚障害の人が将来のアイメイトとともに、吉祥寺の商店街で人ごみの中を歩いたり、買い物をする訓練をしているのを見かけることがある。バスや電車に乗る訓練もある。トレーナーは4・5メートル離れた後ろからついて歩く。
吉祥寺や武蔵関駅周辺では、割と見慣れた風景なので、周りの人も見かけても特段反応はしない。むしろ訓練中は、むやみに声をかけたりしないほうが良いのだ。(もちろん、訓練ではなく普通に街中で立ち往生していたら、迷わず声をかけるべし)
けなげに人間の目を務めるアイメイトの働ける期間は8年ほどだそうだ。一頭を一人前に育てるにも時間と費用がかかる。当然すべての視覚障害者が利用できるわけではない。
そして、その育成費用はほとんどが寄付で賄っているそうだ。