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日光の歴史的建築を見学(後)

イタリア大使館別荘記念公園

 昼食後、いろは坂を上り中禅寺湖へ向かいました。湖の南側に旧イタリア大使館別荘があります。

 この建物は昭和3年[1928]に建てられました。設計者はアメリカ人のアントニン・レーモンドです。平成9[1997]年まで別荘として使用されていました。

イタリア大使館別荘
居間と食堂
書斎
家具や建具はできるだけ当時のものを再利用している。
イタリア製の生地が張られた椅子

 この建物の特徴は何といっても壁や天井に多様なパターンで貼られた杉皮と竹。全体的なつくりは洋風ながら、この杉皮と竹の内装がエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。

休憩室
湖が目の前
二階の寝室
とても質素
実は外壁も杉皮張りの山小屋風
正面から
建物の目の前には桟橋がある

英国大使館別荘記念公園

 旧英国大使館別荘は元々イギリスの外交官だったアーネスト・サトウの山荘として明治29年[1896]に建てられ、後に英国大使館の別荘になりました。平成20年[2008]まで、利用されたということです。

湖に面した広縁のガラス戸を全面解放でき、
外との一体感を感じられる
二階も素晴らしい眺め
この椅子に吉永小百合さんが座っていたCM、
覚えていますか?
二階の一室
壁には別荘として使われていた頃の写真などが展示されている

 サトウが初めて日光に来たのが明治5年[1872]。それ以来日光にドはまりして幾度となく訪れ、四半世紀近くたってこの山荘を作ったわけです。どれだけ好きだったんだ。故郷の景色に似ていたのだそうです。

 二階にはティールームがあり、紅茶とスコーンでイギリスのティータイム気分を楽しむこともできます。
 そして、JR東日本の大人の休日倶楽部のCMの吉永小百合さんのように、広縁の椅子にゆったりくつろぐのもいいですね。(ポスターの写真が入口の所に飾ってありました)

 見学したのはこの二か所だけでしたが、フランスとベルギーの大使館別荘は現役だそうです。(非公開)

 かつては外国人の別荘が沢山あり、中でもトマス・グラバーの別荘が有名でした。残念ながら今は在りません。昔はロシアやドイツの大使館別荘もあり、夏は大使の家族が湖にボートを浮かべ、ハイキングを楽しみ、外務省の役人が東京から出張し、なんて風景があったのですね。

写真にちらっと写っていますが武田久吉は
サトウの次男で植物学者
尾瀬の高山植物を研究し尾瀬の父と呼ばれた。

 ここでふと、もしもミステリー作家のアガサ・クリスティーが日光を訪れていたら、どんな作品を残しただろうと想像しました。
 エルキュール・ポワロが友人のヘイスティングス大尉と金谷ホテルに滞在中、奥日光でイギリス大使の関係者が殺された。大使の依頼でいろは坂の凸凹峠を車で急行し、車酔いでヘロヘロになりながらも到着するポワロ。
 近隣の大使館別荘や、外国人の別荘の住人も事件に絡み、へたをすれば国際的外交問題に発展しかねない中、名探偵ポワロの灰色の脳細胞は事件を解決できるのか??
 そして最後は華厳の滝で犯人と対決…と、これではシャーロック・ホームズか。
 ━━余計な妄想でしたね。


 日帰り旅ということもあって駆け足でしたが、十分満足できる内容でした。(ガイドの説明は最小限で自由に歩きまわれたのもよかったかなと)
 写真を見てお気づきかもしれませんが、少し紅葉が始まっていました。この時は割合観光客が少なく、建物も景色もゆっくりと楽しめましたが、次の週は紅葉シーズンに入り、いろは坂も大渋滞だったそうです。
 いいタイミングで旅ができました。


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